なかなか最終結論を出せずにいる韓国憲法裁、尹大統領の復職が濃厚?そうなれば刑事裁判を受ける初の現職大統領に

2025年03月25日 政治 #時事ジャーナル
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尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の弾劾審判の判決を目前に控え、憲法裁判所の慎重な検討が長期化している。

【注目】結論出ない尹大統領の弾劾審判、憲法裁判所で何が

このため法曹界の一部では、当初「罷免」に傾いていた天秤が揺らいでいるのではないかとの疑念も提起された。つまり、憲法裁が尹大統領の弾劾案を「棄却」または「却下」する可能性があるという見方だ。

一部の憲法裁判官が弾劾を支持しないという話も同時に伝えられている。このような見通しが現実化すれば、尹大統領は韓国憲政史上初めて、現職のまま刑事裁判を受ける大統領として記録されることになる。

遅れに遅れている最終結論

今回の事件は、異例にも最後の弁論期日から最終判決まで1カ月以上を要することが確実視されている。2月25日に行われた第11回弁論をもって弾劾審判の審理は終了している。

そこから数えて28日目にあたる3月24日時点でも、憲法裁判所からの決定は出ていない。憲政史上初めて現職大統領が弾劾訴追された故・盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領や、制憲国会以降に発議された計50件の公職者弾劾訴追案のうち、唯一、憲法裁が「引用」した朴槿恵(パク・クネ)元大統領の事件と比べても、異なる様相を見せている。

憲法裁判所の8人の裁判官
(写真=時事ジャーナル)憲法裁判所の8人の裁判官

憲法裁判所は盧元大統領の場合、最後の弁論から14日後に、朴元大統領は11日後に判決を下している。

このような状況は、「迅速な審理」を強調してきた憲法裁判所の当初の立場とも食い違っている。憲法裁の裁判官たちは、昨年12月14日に国会で尹大統領の弾劾訴追案が可決された直後から本格的に審理に着手し、12月27日と1月3日に準備手続きを終え、1月14日から弁論を開始した。

週2回のペースで弁論期日を設け、証人尋問がある際には1日に最大4人を呼んだ。尹大統領側代理人が「被告である尹大統領の防御権保障のためにも、証人尋問時間に制限を設けるべきでない」と主張したが、裁判所はこれを退けた。

「大統領職務停止は国政の空白であり、社会的混乱である」というのが、憲法裁が迅速な審理を強調した核心的な理由であった。

ところが、最終決定を前にして憲法裁判所の苦悩が長引いている。

定員9人のうち1人が空席であるなか、裁判官8人は2月末の弁論終了直後から検討に入った。法曹界によると、各裁判官が個々の見解を整理し、憲法裁の研究官たちが用意した複数のシナリオ草案をもとに意見調整が行われているという。

決定文の完成時期は見通せない。複数の法曹関係者によれば、「裁判官たちはすでに2月の審理中に各自の結論を出していた」とされるが、「決定文は宣告直前に執筆されるのが一般的」という説明もなされている。

問題は、この「最終的な結論」だ。

現行法上、公職者の弾劾審判における結論は、「引用」「棄却」「却下」の3つに限られる。「引用」は、国会の弾劾訴追案を受け入れ、公職者を罷免するという意味だ。「却下」は、形式的に訴訟要件を満たさないために判断を行わないという意味であり、「棄却」は要件こそ満たしているが、実体的な理由がないとして弾劾を退けることを意味する。

「引用」の決定には、裁判官6人以上の賛成が必要だ。これを導き出す過程で、各裁判官の意見の調整が鍵となる。特に大統領の弾劾審判は、国論の分裂や世論とも密接に関わるため、憲法裁はできる限り全員一致の形を取ろうとするという。

尹錫悦大統領
(写真=憲法裁判所)尹錫悦大統領

このため憲法裁の「苦悩」はすなわち、意見調整が困難な状況を示すものだという声が法曹界から出ている。少なくとも1人、多ければ3人が弾劾の「引用」に疑問を抱いているという裏話も伝えられている。

裁判官たちが定例の合議は行ったものの、まだ正式な採決には至っていないという事実もこの見方を補強している。元憲法裁の研究官を含む複数の法曹関係者は、「過去の大統領弾劾事件の先例や、事件の重大性を考慮すると、宣告が遅れているということは、内部で意見が割れている証拠だ」と語っている。

また、「決定文の執筆スタイルは主審など個別の裁判官によってまちまちだが、ある程度の合意が形成されなければ、宣告期日を双方に通知し、決定文を執筆することはできない」という元憲法裁判官の説明も、これを裏付けている。

ハン・ドクス大統領権限代行・国務総理の事件もまた、この見方を補強する要素となっている。

憲法裁は3月24日午前、裁判官8人中7人の意見でハン権限代行の弾劾案を退けた。主な弾劾事由は「12・3非常戒厳の黙認」などであったが、「裁判官たちはハン権限代行事件において、非常戒厳が即ち内乱に該当するかどうかについて判断を避けており、憲法裁内部でその点に関する整理がなされていないようだ」(国会側の弁護士の見解)という見方も出ている。

このような予測が現実となった場合、尹大統領は韓国憲政史上初めて、刑事裁判を受けながら職務を遂行する現職大統領として記録されることになる。大統領は「内乱罪」や「外患罪」以外では刑事訴追されないが、尹大統領の主要容疑が「内乱」であるためだ。

実際、これに関する刑事裁判は4月から本格化する予定だ。ソウル中央地裁・刑事合議25部(裁判長チ・グィヨン)は、内乱首謀の容疑で起訴された尹大統領の事件において、3月24日に公判準備期日を終え、4月14日に初公判を開くと予告している。

検察は、週に最大4回の裁判を受けた李明博(イ・ミョンバク)、朴槿恵元大統領の前例に基づき、週2~3回の集中審理を裁判所に要請している。被告人は正式な公判に出廷する義務があるため、裁判所が検察の要請を受け入れれば、尹大統領は今後、毎週ソウル・瑞草洞の裁判所に出向く必要がある。

(記事提供=時事ジャーナル)

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