弾劾罷免パク前大統領時とは大違い。韓国の経済指標はどれだけ深刻なのか

2025年04月09日 経済 #時事ジャーナル
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尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領の罷免を巡った弾劾政局が過ぎ去り、韓国の政治的激動はひとまず一段落したが、韓国経済には依然として冷たい風が吹いている。

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政治的不確実性が解消されたことで、内需市場の活性化および経済回復に対する期待感も出てきたが、アメリカのトランプ政権による報復関税政策と、高物価・高金利・高為替という「三高」現象によって韓国の経済的不確実性はさらに高まった状況だ。2017年の朴槿恵(パク・クネ)前大統領の弾劾前後に比べて経済関連の指標は悪化し、経営不振や危機に直面する企業も増えており、消費心理の回復が遅れるのではないかという懸念も出ている。

韓国国内の小売市場における体感景気はますます悪化している。

4月8日、大韓商工会議所(大韓商議)によると、第2四半期の小売流通業の景気展望指数の調査結果では展望値が75と集計された。4四半期連続で下落傾向を示しており、弾劾後も消費市場には依然として赤信号がともっているとの見通しが出ている。これはアメリカの通商政策に対する不確実性や、高物価・景気下方への懸念、政治的不安などの否定的要因が複合的に作用し、体感景気が下降曲線を描いているとの分析がある。

韓国国内外の「悪材料」が重なり、消費市場の不振は長期化し、消費心理も凍りついている。韓国の消費者心理指数は1~2月の2カ月間は回復傾向を見せたものの、3月には再び下落に転じて93.4を記録した。

消費者心理指数が100未満というのは、消費者が経済状況を平均より否定的に認識していることを意味する。非常戒厳令が宣言された昨年12月には88.2まで落ち込んだ消費者心理指数は、依然として100を下回っているのだ。

(写真提供=時事ジャーナル)閑古鳥が鳴くソウルの明洞

弾劾後の消費心理の回復が容易ではないという見通しは、現在の韓国経済状況が朴前大統領の弾劾前後よりも困難であるという分析に基づくものだとも言えなくもない。過去、韓国開発研究院(KDI)は、朴前大統領の弾劾当時、消費者心理指数が3カ月にわたって9.4ポイント下落したのに対し、尹錫悦前大統領の内乱事態以降は1カ月で12.3ポイント急落したと分析している。

朴前大統領の弾劾当時、消費者心理指数は弾劾案が可決された2016年12月に94.2まで落ち込み、罷免が決定された2017年3月には97.0を記録し、同年4月には101.8まで回復した。

KDIは「朴槿恵前大統領の弾劾時は景気が上昇サイクルにあったが、経済状況はその時よりも困難だ」とし、「不確実な状況が長引き、経済政策がまともに推進されなければ、実体経済に影響を及ぼす」と見通した。家計・企業の心理的萎縮がより深刻で、「変数」にさらに敏感に反応するというのだ。

朴前大統領の弾劾直前には、小売販売が1.8%増加するなど、景気にも肯定的な流れが見られていた。しかし、昨年の小売販売は前年に比べて2.2%減少するなど、尹前大統領の弾劾以前から消費低迷の現象が際立っていた。物価も安定化の兆しが見えず、財布の紐は容易には緩まない見通しである。

3月の消費者物価指数は116.29で、前年同月比で2.1%上昇した。消費者物価の上昇率は昨年下半期には1%台だったが、今年に入ってからは2%台で推移している。為替レートは1997年の通貨危機以降、27年ぶりに最高水準を記録。2016~2017年の年間平均為替レートは1130~1160ウォン台だった。

企業も否定的な展望を示しており、「来年になってようやく回復」とする回答が49.8%に達した。大韓商議の調査結果によると、企業は経営実績に影響を及ぼす主要因として、高物価・高金利の継続による消費心理の萎縮(64.0%・複数回答)、国内政治の不確実性(39.2%)、運営コストの増加(36.8%)、アメリカの通商政策(16.8%)などを挙げている。弾劾以降、政治的不確実性という要因は除去されたとしても、否定的な要素は依然として残っているということになる。

そのため、回答した韓国企業のおよそ半分にあたる49.8%が、消費市場の回復は来年以降になると見ている。16%の企業は消費市場の回復時期を2028年と予測するなど、企業側でも消費不振の長期化を見込んでいることが明らかになった。

実際、今年2月基準では、オフライン流通業の全業態で売上が前年同期比で減少した。大型マートは前年同月比で売上が18.8%減少し、百貨店の売上も3.6%下落した。近距離チャネルとして代表的に実績を上げていたコンビニエンスストアの売上も、前年同月比で4.6%減少した。

百貨店の中核部門である高級ブランドの人気が景気の低迷や価格の上昇によって冷めたうえ、ファッション消費の流れが「スモールブランド」に向かっていることが期待値を下げたという分析がある。大韓商議は、生鮮食品をめぐる競争が激化し、特定の大型マートにおける経営危機が全体の体感景気の低下に影響を及ぼし、大型マートの業績も否定的に展望されたと判断した。

Coupangを除けば、主要Eコマース企業も昨年は営業赤字を記録するなど、状況は芳しくない。年間取引額基準で韓国6~7位圏に入っていたTmonとWEMAKEPRICEは、大規模な売上代金未清算の事態を乗り越えることができず倒れたうえ、高級ブランドプラットフォームのBALANでも未清算の問題が起きるなど、一部のプラットフォームの経営危機も顕在化している。朴前大統領の弾劾時とは異なり、2017年以降「THAAD報復」の影響で始まった免税業界の不況も続いている。

業界関係者は、「政治的不確実性の解消という側面からは消費心理の回復を期待できるが、対外リスクが大きく、企業の相次ぐ危機状況により消費者の信頼獲得も難しくなった」とし、「短期間で消費心理が回復するのは難しいと見ている。新政権による政策支援が切実な状況だ」と語った。

(記事提供=時事ジャーナル)

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