「一日の天気ではなく、時代の気候を読む政党へと進化しなければならない」
かつて次々と疑惑が暴かれる様子から“たまねぎ男”と呼ばれた韓国の元法務部長官、チョ・グク「祖国革新党」革新政策研究院長が9月1日、特別赦免で釈放されて以降、初めて党の最高委員会に出席し、このように述べた。
彼は「社会的不平等の壁を壊すための金槌を振るわなければならず、改革5党の連帯を強化する役割も重大だ」とし、「私も力を添える。獄中生活の間ずっと悩み、構想してきた革新党の“リブート”を推進する」と強調した。
「チョ・グクの念願」は果たされるのだろうか。出所直後から精力的な行動に乗り出したチョ・グク院長の姿に、「祖国革新党シーズン2」の行方をめぐり政界の関心が集まっている。
チョ・グク院長が公言した通り、祖国革新党が外延拡張に成功すれば、現行の二大政党体制に亀裂が入ると同時に、チョ・グク院長自身も次期大統領候補としての地位を固めることができる。
しかし、出所後も祖国革新党の支持率は一桁台にとどまり、チョ・グク院長、そして同党は難易度の高い課題を抱え込んでいる姿だ。
検察改革の殉教者か、それとも不正を働いた権力者か。チョ・グク院長に付きまとう2つの極端な修飾語はいずれも、尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領との複雑な因縁に端を発している。
チョ・グク院長が文在寅(ムン・ジェイン)政権の民情首席から一党の首長になるまでのすべての局面に、「尹錫悦」が存在した。ある政治界の元老は逆説的に「チョ・グクがいたから尹錫悦がおり、尹錫悦がいたからチョ・グクがいる」と語った。
12・3非常戒厳以降、2人の運命は交差した。大統領から被疑者へと転落し獄中の身となった尹錫悦の一方で、最高裁の有罪判決により収監されていたチョ・グク院長は、李在明(イ・ジェミョン)大統領の特別赦免で自由の身となった。
チョ・グク院長が総選挙から叫んできた「3年はあまりにも長い、尹錫悦政権退陣」のスローガンが結局実現した格好だ。
政治復帰に乗り出したチョ・グク院長は、今や「尹錫悦の時代」ではなく、「尹錫悦以後の時代」で自身の競争力を示さねばならない局面に直面している。祖国革新党も、もはや尹錫悦政権と戦う「砕氷船野党」ではなく、与党陣営の一翼として「共に民主党」との差別化を模索しなければならない課題を抱えることになった。
チョ・グク院長も最高委員会で、「我々は尹錫悦以後の時代に対する答えを出さなければならない」とし、「党の内実を強化し、外延を拡張する作業を行う」と述べた。
まず、党の求心点であるチョ・グク院長が戻ってきたことで、祖国革新党は汝矣島(ヨウィド、韓国の国会がある場所)内で存在感を取り戻した様子だ。出所直後に湖南と嶺南を行脚し精力的に活動するチョ・グク院長の姿と共に、「チョ・グク」、そして「祖国革新党」がニュースに頻繁に取り上げられ、大衆の関心度も高まった。
実際、9月1日時点の「Googleトレンド」によれば、李在明大統領(48ポイント)を除いた最近1カ月間の与野党主要政治家のうち、最も高い平均関心度を記録したのはチョ・グク院長(14ポイント)だった。
その他は、チャン・ドンヒョク「国民の力」代表(8ポイント)、チョン・チョンレ「共に民主党」代表(7ポイント)、イ・ジュンソク改革新党代表(4ポイント)などだった。「スター政治家」チョ・グク院長の赦免後の行動に、メディアや大衆の関心がそれだけ集中している証左だ。
問題は、民心だ。
チョ・グク院長への大衆の関心が、祖国革新党への好感にはつながっていない。左派の共に民主党支持層も、非尹(反・尹錫悦)・中道志向の改革新党支持層も、容易には取り込めていない様子だ。
リアルメーターが『エネルギー経済新聞』の依頼で、8月28~29日に全国18歳以上の有権者1006人を対象に実施した政党支持度調査で、祖国革新党の支持率は前週比0.7ポイント下落の2.5%だった。これは改革新党(3.7%)よりも低い支持率だ。同期間、共に民主党は46.7%、国民の力は36.1%をそれぞれ記録した。
他の調査でも類似の流れが観測される。
EMBRAINパブリック、Kstatリサーチ、コリアリサーチ、韓国リサーチが8月18~20日に満18歳以上男女1001人を対象に実施した全国指標調査(NBS)によれば、祖国革新党の支持率は改革新党と同じ4%だった。
年齢別では40~49歳、50~59歳(各6%)で最も高く、70歳以上(1%)で最も低かった。18~29歳の祖国革新党の支持率は2%で、党の平均支持率を下回った。
政界では、いわゆる「チョ・グク事態」を記憶する中道層と、2030世代の依然とした反感、出所後に続いたチョ・グク院長の「青年極右狙撃論争」などが党の拡張性を制約する障害となっているとの分析が出ている。
チョ・グク院長は8月30日、自身のフェイスブックに「ソウル居住で経済的に上層であるほど極右青年である確率が高い」という記事を共有した。
これに関連して、イ・ジュンソク改革新党代表は9月1日、国会で開かれた最高委員会で「若い世代が自分を支持しないからといって極右に仕立て上げている」とし、「表彰状偽造、試験不正疑惑など便法に関する論争があるにもかかわらず、他人を教え諭そうとするから若者世代が拒否感を持つしかない」と批判した。
共に民主党内部からも、チョ・グク院長の行動に対する不安や不快感が感じられる。共に民主党のある院内関係者は、「“自然人チョ・グク”にとって、家族まで狙った検察の過度な捜査は一生の恨みだろう」としながらも、「“政治人チョ・グク”が未来を夢見るなら、自分自身にもっと厳しくある必要がある。特に青年層の反感を解釈しようとすればするほど、“誤解”が深まる恐れがある」と指摘した。
一部では、尹錫悦前大統領の弾劾後、李在明政権が誕生したことで、祖国革新党を支えてきた明確な反尹路線、その支持層の結集の名分が弱まったという見方もある。同時にチョン・チョンレ共に民主党代表が強硬な党員を基盤に高強度の検察改革を予告しているため、祖国革新党の強く鮮明な進歩色が尹錫悦政権時ほどは目立たないという分析もある。
祖国革新党としては、差別化された新しい政治スローガンを探すことが急務となっている。
チョ・グク院長が復帰してからわずか18日、政界では支持率の停滞と青年層の冷淡な視線が続けば、祖国革新党の存立だけでなく、チョ・グク院長の政治的未来までも危うくなるとの懸念が出ている。
チョ・グク院長は、このような危機を打開し、次期地方選挙まで「チョ・グクの時間」を作り出せるのか。彼は、一喜一憂しないという立場だ。危機を克服するために民生改革、政治改革、人権改革の3大改革を掲げ、党を民主・進歩陣営を包括する「リンクタンク」へと進化させる構想を明らかにした。
チョ・グク院長は8月28日、本サイト提携メディア『時事ジャーナル』とのインタビューで、「私への批判はすべて受け入れ、過去ではなく未来の成果で評価を受ける。資産も負債もすべて背負っていく」と語った。
続けて「これからも全国を回り、党代表になっても、私が集中すべき事案は草の根組織を強化することだ。現在、党次元で政治研修院を運営し、党員教育も進めているが、これを全国的にさらに拡大する計画だ」と明らかにした。
なお、記事で引用したリアルメーターの調査は無線自動応答方式で行われ、政党支持度調査の標本誤差は95%信頼水準で±3.1ポイント、回答率は5.1%であった。NBS調査は携帯電話仮想番号(100%)を利用した電話面接で実施され、標本誤差は95%信頼水準で±3.1ポイント、回答率は14.2%だった。詳細は中央選挙世論調査審議委員会ホームページを参照のこと。
(記事提供=時事ジャーナル)
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