自身の裁判を念頭に置いた?韓国大統領、検察に激怒「1審無罪、2審有罪。逆なら無罪ではないか、運次第だ」

2025年09月30日 政治 #時事ジャーナル
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韓国の李在明(イ・ジェミョン)大統領が「検事たちが成立しない案件を起訴し、無罪が出れば免責を避けようと控訴・上告して国民に苦痛を与えている」と述べ、控訴制度の改善を指示した。

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李在明大統領は9月30日、ソウル龍山(ヨンサン)の大統領室で主宰した国務会議で、チョン・ソンホ法務部長官に向かってこのように述べた後、「刑事処罰権を乱用して国民に苦痛を与えているのではないか。なぜ放置するのか」と問いかけた。

続けて「刑事訴訟法は10人の犯人を逃しても、1人の冤罪をつくってはならないというのが基本であり、有罪か、無罪か疑わしい場合は無罪とせよということではないか」と指摘した。

これに対し、チョン・ソンホ長官が「検察はそれとは逆に運営されてきた」と答えると、李在明大統領は「だからだ。検察は勝手に、気に入らなければ起訴して苦しめ、身内なら罪が明白でも見逃す。基準がすべて崩れている」と検察を批判した。

李在明大統領
(写真=時事ジャーナル)李在明大統領

さらに「今後は検察改革を通じて緩和していくが、私の疑問は、無念にも起訴され、何年も金をかけて裁判を受け無罪を勝ち取ったのに、検察が理由もなく控訴することだ」とし、「大金をかけ苦労して無罪を得ても、(検察が)また上告して最高裁まで行けば莫大な費用がかかり、無罪になったとしても家庭は破綻する。これは尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領が言っていたことではないか。今も同じことが起きている」と批判した。

また、「1審で裁判官3人が無罪を宣告したのに、(検察は)必ず控訴する。高裁の控訴審で裁判官が有罪に変えたが、これは妥当なのか」とし、「3人が無罪と言い、3人が有罪と言うなら、無罪かもしれないし、有罪かもしれないということだ。3人が無罪としたものを、別の3人がひっくり返して有罪にするのが妥当か」と重ねて述べた。

李在明大統領は「罪を犯した人が逃げるのではないかと思うかもしれないが、それは法の原則に反する。冤罪で全財産を失い人生を壊していいのか」とも付け加えた。

チョン・ソンホ長官が「1審で無罪が出た事件が控訴審で有罪に覆る確率は5%」と説明すると、李在明大統領は「95%は無罪をもう一度確認するために控訴審へ行き、苦労するということだ。無罪事件が最高裁で覆るのは1%台なら、98%はただ苦しめられることになる」と指摘した。

チョン・ソンホ長官も「大統領の言う通り、妥当ではない。全面的に事実関係や法律適用が誤っている事例は稀だ」とし、控訴・上告を制限する必要があると応じた。

李在明大統領は「1審で何年も裁判し、家を売って弁護費を工面し、ようやく無罪を勝ち取っても(検察が)控訴する。覆るのは、せいぜい5%なのに95%は無駄な苦労だ。国家が国民にどうしてこれほど残酷なのか」と改めて非難した。

さらに「今も依然として控訴を乱用していると聞いた。一般的な指揮をするなり、規則や検事の判断基準を変えるなりしろ。1審は無罪、2審は有罪となるなら、順番が逆なら無罪ではないか。結局は運次第ではないか。話にならない」と述べた。

これに対してチョン・ソンホ長官は「具体的な事件については(検察)総長を通じて指揮しなければならないが、毎日検察の業務報告を受けて口頭で指示している」と説明。李在明大統領が「優秀な法務部長官が交代すれば、また変わるのではないか」と問うと、「制度的に規定をすべて改正しようとしている」と答えた。

一方、この日の発言について、李在明大統領自身の公職選挙法違反容疑の裁判状況を念頭に置いたものではないかという見方が、政界の一部から出ている。

李在明大統領の同違反事件は、1審で2024年11月に議員資格喪失に当たる懲役1年・執行猶予2年が言い渡された。2審では今年3月に無罪が宣告されたが、最高裁は有罪の趣旨で破棄差し戻した。

(記事提供=時事ジャーナル)

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