もはや韓国に「検察」は存在しない。
韓国国会が9月26日の本会議で、検察庁廃止などを盛り込んだ政府組織法改正案を可決した。これにより検察庁は1年間の猶予期間を経て、2026年9月に閉鎖される。
1948年8月の韓国政府樹立とともに検察庁が設立されてから、78年の歴史が閉じる。
国会はこの日午後の本会議で、政府組織法改正案を出席議員180人のうち賛成174人、反対1人、棄権5人で可決した。最大野党「国民の力」の議員らは改正案の強行に反発し、採決に不参加となった。
「国民の力」はフィリバスター(無制限討論)を前面に押し出して、最後まで政府組織法改正案に反対した。しかし与党「共に民主党」など与党系は同日18時57分、国会本会議で多数の議席を背景に「国民の力」のフィリバスターを打ち切った。フィリバスターは在籍議員の5分の3以上(180人以上)が賛成すれば強制的に終了できる。
こうして韓国の検察庁は看板を下ろすことになった。
検察の捜査機能は新設される「重大犯罪捜査庁」に移管され、検察庁は起訴・公訴維持のみを担当する「公訴庁」に改編される。重大犯罪捜査庁は行政安全部の下に、公訴庁は法務部の下に置かれる。
改正案の施行は公布から1年後であり、検察庁は2026年9月、設立78年で幕を閉じることになる。
検察庁廃止は、李在明(イ・ジェミョン)政権の誕生とともに予告されていた。検察の「標的捜査」の被害者を自任する李在明大統領は、大統領選候補時代に検察の起訴権と公訴権を分離する検察改革を公約に掲げていた。
「共に民主党」のチョン・チョンレ代表も繰り返し、「秋夕(チュソク)前に検察改革を完遂する」と公言し、立法への意志を固めてきた。
ただし、検察の補完捜査権廃止などをめぐっては、与野党間のみならず与党内部でも意見の相違がある。このため政府与党は、検察改革の後続課題を国務総理直属の「汎政府検察改革推進団」で協議する方針だ。
一方、今回の政府組織法改正案には、企画財政部を「財政経済部」と「企画予算処」に分離し、企画財政部の予算機能を国務総理室傘下の「企画予算処」に移管する内容も含まれている。
また、産業通商資源部内のエネルギー分野を環境部に移し、「気候エネルギー環境部」へと改編。尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権が廃止を宣言していた女性家族部は、「性平等家族部」として拡大改編される。
政府組織法改正案可決直後には、放送通信委員会を「放送メディア通信委員会」に改編する「放送メディア通信委員会設置および運営に関する法律」が上程された。この法案も「国民の力」がフィリバスターを申請しているが、「共に民主党」など与党系主導の採決を経て、9月27日の本会議で通過した。
(記事提供=時事ジャーナル)
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