「歴史を見るさまざまな観点を尊重すべきだ」(「国民の力」チャン・ドンヒョク代表)
「歴史を踏みにじり、済州島民を侮辱する発言には明確な責任を負うべきだ」(オ・ヨンフン済州知事)
「歴史とは権力者が裁定するものではなく、国民が直接見て判断するものだ」(「国民の力」チュ・ジヌ議員)
「10万人を超える4・3遺族の傷を再びえぐる行為だ」(済州4・3汎国民委員会)
“済州4・3事件”とは、1948年4月3日、米軍占領下の朝鮮半島南部で予定されていた単独選挙が南北分断を固定化するとして、済州島の住民や青年たちが反対して蜂起したことをきっかけに、本土から派遣された軍や警察による大規模な鎮圧が行われ、数万人の島民が犠牲になった事件のことだ。
最大野党「国民の力」のチャン・ドンヒョク代表が10月7日に映画『建国戦争2』(原題)を観覧したことをめぐり、政界と市民社会の間で作品性や歴史の解釈をめぐる賛否が巻き起こっている。
与党「共に民主党」側と済州の市民社会を中心に、『建国戦争2』が済州4・3事件を貶め、歪曲しているとの批判が殺到する一方、野党側は「歴史を見る観点の違いだ」と反論し、論争は拡大している。
済州4・3汎国民委員会と済州4・3記念事業委員会は10月8日、声明を出し「チャン・ドンヒョク代表は4・3遺族や市民団体の丁寧な要請を無視し、国民の力所属の一部国会議員や青年らと共に映画を観覧し、監督との対話の時間まで持った」と指摘した。
続けて「民意を汲み取るべき政党の代表が、秋夕(チュソク)連休の最中に極右の世論ばかりを気にする政党に堕していることを自ら証明した」と非難した。
同団体はさらに、「チャン代表は監督との対話の席で『歴史を見る多様な観点が認められなければ、歴史は容易に歪曲され得る。勇気を出してこの映画を作ってくださった監督に感謝する』と述べた」とし、「4・3当時、済州島民への弾圧を主導したパク・ジンギョン大領(大佐)らを美化する内容の映画に感謝の意を示すことは、3万人の4・3犠牲者を二度殺す行為であり、10万人を超える遺族たちの傷を再びえぐる行為だ」と批判した。
オ・ヨンフン済州知事も前日、自身のフェイスブックを通じてチャン代表を批判し、「数万人の済州島民を虐殺した済州4・3事件は、国家が犯した残酷な暴力であり犯罪だった」とし、「済州島民が77年間、血の涙で目撃し、証言してきた真実が、いまや常識となり、歴史となった」と強調した。
さらに「犯罪を『多様な歴史的観点』として包装するチャン・ドンヒョク代表は、国民がテレビで内乱の現場を見守っていたにもかかわらず、尹錫悦(ユン・ソンニョル)を擁護する“内乱党”の代表らしく厚顔無恥だ」と述べ、「歴史を踏みにじり、済州島民を侮辱する発言には明確に責任を取るべきだ」と警告した。
「共に民主党」の済州特別自治道党も同日、論評を出し「遺族と済州島民の声を拒絶・無視する非人間的な行動だ」として、「国民の力」とチャン代表を糾弾した。
「共に民主党」は「4・3犠牲者遺族の切実な観覧中止の要請を無視し、4・3を歪曲した映画を党代表が公然と観覧することが、国民の力が選挙のたびに口にしてきた“4・3の完全解決”なのか」と批判。「本当に完全な解決を望むなら、犠牲者と遺族、そして済州島民の心に杭を打ち込むような暴言をまず慎むべきだ」と訴えた。
『建国戦争2』は、1945年から1950年までの“解放政局”を舞台に、政府樹立をめぐる左右の対立を描いた作品だ。済州の市民団体からは、済州4・3事件を共産主義者の暴動として描いたと批判されている。
映画振興委員会も、偏向性と完成度の不足を理由に独立映画としての認定を行わなかった。
しかし「国民の力」側は、『建国戦争2』を一つの芸術作品として認めるべきだという立場だ。映画は歴史を見る一つの視点であり、歴史歪曲ではないという主張である。
チャン代表は10月7日、チョン・ヒヨン事務総長、ソ・ジヨン広報本部長など党幹部や青年党員らと共に『建国戦争2』を観覧した後、「歴史を見る多様な観点を互いに尊重すべきだと思う。だからこそ、この映画も尊重されるべきだ」と述べた。
チュ・ジヌ議員も同日、自身のフェイスブックで「歴史や文化は権力を握った者が裁断するものではなく、国民が直接見て判断するものだ。重要なのは“公権力による妨害”だと思う」と主張した。
また、「映画振興委員会が偏向性や完成度を理由に独立映画として認めなかったことは、OTTやテレビ進出を妨げている。これは憲法で禁止された事前検閲だ。観客が判断すべきことだ。真実を恐れる側ほど、見聞きを遮断するものだ」と強調した。
さらに「思想や表現を政府に統制されない国!自由が息づくことこそ、大韓民国の誇るべき建国理念だ」と締めくくった。
(記事提供=時事ジャーナル)
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