先日、千葉・幕張メッセで行われた韓国カルチャーフェスティバル「KCON 2019 JAPAN」に足を運んだ。
第5回目となる今年は3日間で8万8000人が来場するという過去最大規模だったらしく、会場を埋め尽くした10~20代の日本の若者たちが韓国の最新カルチャーに触れ、楽しむ姿はとても印象的だった。
今回の取材で何よりも驚かされたのは、やはりK-POPアイドルたちの人気ぶりだ。
ほとんどの来場者がTWICEやIZ*ONEといったグループのグッズを持ち歩いていて、K-POPなくしてこのフェスティバルが成立しなかったということがよくわかった。
会場にいる若者たちにとっては、もはや韓国大統領よりもK-POPアイドルの発言のほうが影響力のありそうな雰囲気だったが、実際にK-POPアイドルは日韓のみならず世界でもその影響力を広げている。
その先頭に立つグループが、BTS(防弾少年団)だろう。
今やアメリカ・ビルボードチャートの常連になっている彼らは、2018年にアメリカの経済誌『フォーブス』が選ぶ「韓国のパワーセレブリティ40人」で1位を記録し、同年9月にはニューヨークの国連本部で行われた国連児童基金(ユニセフ)の行事で世界の若者たちに向けてスピーチを行っている。
昨年秋、メンバーのJIMINが着用した“原爆Tシャツ”騒動が日本のメディアで騒がれていたが、その直後から今年の2月にかけて日本で開催された全4都市9公演のドームツアーでは38万人を動員し、揺るぎない人気を見せつけた。
SNSやユーチューブが若者の日常にすっかり定着した今、Twitterを通じて世界のファンと交流するBTSの影響力は計り知れない。メンバーらの兵役入りが始まる前まではK-POPを代表するグループとして世界で活躍することだろう。
今年の12月から日本3大ドームツアーを控えているガールズグループBLACKPINKも、非常に興味深い。
TWICEとも交流があるというBLACKPINKは、今年4月に『フォーブス』が発表した「アジアを代表する30歳未満の30人」でエンターテインメント&スポーツ部門の1位に輝いた。
BLACKPINKが世界的に注目を集めていることは、YouTubeのミュージックビデオ再生回数を見ても一目瞭然だ。最新曲『Kill This Love』のミュージックビデオは公開から62時間で再生回数1億回を突破したが、これはYouTube史上最短記録だという。
また、メンバー個々の人気と影響力もすごい。
昨年12月に映画情報サイト『TC Candler』が発表した「世界で最も美しい顔100人」にはメンバーのジェニーが13位、リサが9位にランクインしていたが、今年『フォーブス・コリア』が選んだ「韓国セレブリティー40人」のなかでもBLACKPINKが1位となった。
同ランキングでは2015~2018年までEXOや俳優パク・ボゴム、BTSのような男性タレントが常に1位を占めていただけに、BLACKPINKの躍進は断然目立つ。
そんなBLACKPINKを輩出したのはYGエンターテインメント。最近、日韓を騒がせたBIGBANGの元メンバーであるV.Iの元所属事務所でもある。BIGBANGメンバーたちの相次ぐ兵役入隊で営業利益が減少した上に、“V.Iスキャンダル”によってかなりのイメージダウンも余儀なくされている。
韓国は今月、大学などで学園祭シーズンを迎えており、大学生の間でYG所属歌手の“ボイコット運動”まで勃発したほどだが、今やBLACKPINKがYG復活のカギを一手に担っているといっても過言ではないだろう。
K-POPが世界的な名声を獲得しているからこそ、V.Iスキャンダルのような不祥事が起きると大きな波紋が広がるものだが、その一方で自分たちの影響力を正しく発揮しているアイドルたちも多い。
先月、X JAPANのYOSHIKIも寄付を行った韓国・江原道(カンウォンド)山火事の被災地域に、歌手IUをはじめ、BTSのJIMINなど数多くのK-POPアイドルが寄付金を贈っているのがその一例だ。
今後も多くのK-POPアイドルが登場し、世界の人々を熱狂させることだろう。彼らには今後も夢と希望、元気を与える存在であり続けてほしいと思った「KCON 2019 JAPAN」だった。
(文=慎 武宏)
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