BLに百合マンガなど“19禁漫画”も人気の韓国ウェブトゥーンの実情

2021年11月18日 話題 #サブカル #事情
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ウェブトゥーン(Web Toon)というものをご存知だろうか。

文字通り、「Web」と「Cartoon(漫画)」を組み合わせた造語で、ウェブ上で公開されているデジダル漫画のこと。韓国では2003年からネット上に姿を見せはじめ、Daum(現Daum Kakao)、NAVER、Nateといったポータルサイトを通じて爆発的に普及した。

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スクロールでコマ送りし、すべてがオールカラーというWebの特性を生かしたコンテンツであり、多くの作家たちがプラットホームに作品を提供したことでコンテンツのボリュームも増え、今では韓国の3~4人に1人は「ウェブトゥーンを読んでいる」とさえ言われているほど。ドラマ『未生』など映像化されたウェブトゥーンも多い。

韓国の大手通信会社KT傘下のKT経済研究所によると、2015年度のウェブトゥーンの市場規模は4200億ウォン(約420億円)。

同経済研究所の調査によれば、2012年度は1000億ウォンだっただけにわすが3年間で4倍になったことになり、将来的には1兆ウォン市場になることも夢ではないという。

そんなウェブトゥーン市場で爆発的に業績を伸ばしているのが、2013年からスタートした有料サービス「LEZHIN COMICS(レジンコミックス)」だ。

ポータルサイトが展開するウェブトゥーン・サービスは、ポータルサイト側が作家に原稿料を支払いユーザーはほぼ無料で楽しむことができるが、有料のウェブトゥーン・プラットホームとして2013年にサービスを開始した「LEZHIN COMICS」は、サービス開始からわずか2年で有料会員数700万人を突破。2015の売上は300億ウォンを超えたというのだ。

そして、その急成長の原動力となったのが、韓国では“19禁止(数え歳で19歳以下禁止)ウェブトゥーン”だと言われている。

ポータルサイトのウェブトゥーンが「学園モノ」「恋愛ドラマ」「SFアクション」「コメディ」などをアップロードするなか、「LEZHIN COMICS」は、「悪い情事」「若い彼女」「カラダがいいオトコ」など、タイトルを見ただけでそれとわかる成人漫画に力を注いできた。

そんな『LEZHIN COMICS』は韓国政府からも目を付けられたこともあった。

2015年3月26日、韓国政府から委嘱された委員たちで構成された韓国放送通信審査委員会が「19禁表示はあるが、性行為や性器が余すところなくそっくりそのまま露出されている。淫乱物と判断する」として、「LEZHIN COMICS」への接続を遮断してしまう処置を断行したのだ。

成人ウェブトゥーン以外のサービスも遮断されたことにユーザーたちが猛抗議したことで、接続遮断騒ぎは一日で終わり、その後は正常にサービスされているが、“19禁ウェブトーン”を得意とする「LEZHIN COMICS」だけにマークされることは間違いないだろう。

ただ、そんな邪魔が入ったとしても“19禁ウェブトゥーン”は衰退するどころか、ますます勢いを増しそうな気配だ。「LEZHIN COMICS」関係者も言っている。

「19禁ウェブトゥーンの読者層は意外にも7対3で女性が圧倒的な多い。特に20~30代の女性たちに人気で、作者も男女比率が4対6と女性作家が多いです。女性作家たちは作品作りのために日本産のアダルトビデオを見て研究したりもする。そんな熱心ぶりに女性たちも熱くなる。この流れは止められません」

さしずめ、韓国版レディスコミック隆盛時代といったところか。エッチな女子たちのおかけで、韓国のウェブトゥーン業界はますます勢いが増しそうな予感だ。

文=サーチコリアニュース編集部
 

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