主催するテレビ局や新聞社の収入源になっていることがその一因にあるのは言うまでもないが、近年、音楽配信サービスが勢力を拡大していることも背景にはあるという。
「韓国では音楽利用者の大部分がストリーミング配信サービスを利用している」(『韓国経済』)とされているが、前述のように音楽配信サービスの『Melon』や『SORIBADA』『genie music』が授賞式を設立し、自身のブランド力を高めようとしているというのが韓国メディアの見方だ。
韓国の音楽授賞式ではファン投票の方法がとられることも多く、その投票過程に新たな利用者を獲得しようという狙いもあるらしい。
もっとも、授賞式が飽和状態となっていることに、「疲労感を訴えるファンも少なくない」(『オーマイニュース』)という。
例えば、BTS(防弾少年団)は近年毎年のように賞を総なめにしている。いまや世界中で支持されるBTSだが、韓国国内だけでこれほど授賞式が多いと、その情報を追うだけでファンが疲れてしまうのも無理はないだろう。
そんななか、授賞式の数が増えるのに反比例し、賞の権威は落ちていると指摘するメディアも少なくない。ブランド力を高めるために授賞式を新設したはずが、なんとも皮肉な話である。
いずれにしても、日本と同様に韓国でも、年末年始にかけて賞レースに関心が集まるのは間違いない。韓国ウォッチャーの筆者としても数々の授賞式を追うのは一苦労だが、今年はどの芸能人が話題の中心となるか注目したい。
文=慎 武宏
*この原稿はヤフーニュース個人に掲載した記事を加筆・修正したものです。