俳優イ・ビョンホン独占インタビュー コロナに戦争勃発…映画を追い越す現実世界で僕ができること

2023年01月09日 韓流 #映画 #インタビュー
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「最初に『非常宣言』の出演オファーをいただいたとき、“果たしてこの世の中でこんなことが実際に起こるだろうか”と思っていましたけど、実際に新型コロナというウイルスが流行して世界各地でさまざまな衝突も起きました。『非常宣言』の劇中でも描かれたように、現実世界でも人と人との関係が遮断され、隔離され、それが誤解や偏見を生むこともあった。フィクションであるはずの映画よりも、現実世界のほうが先を進んでいるんですよ。僕はそこに、なんとも言えない複雑な感情を抱いてしまいます」

新型コロナだけではない。いまだ解決できない温暖化問題で地球のあちこちで歪みが生じているだけではなく、ロシアによるウクラナイ侵攻なども起きている。ほんの数年前には想像すらできなかったことが現実に起きていることを、イ・ビョンホンは憂いでいる。

「パニック映画を彷彿させるような新型コロナのパンデミックの脅威だけではなく、気候温暖化の影響で地球のあちこちで異常気象が発生していますよね?パキスタンではモンスーンがもたらした洪水で国土の3分の1が水没してしまったらしい。そしてウクライナで起きている戦争です。国際化が進み人も情報も国境を軽々と超えてしまうグローバル時代に、戦争が起こるなんて誰も思わなかったと思うんです。これまで映画でフィクションとして描かれてきた出来事が、現実世界でも次々と起こってしまっている。リアル(現実)が映画を追い越し、先に進んでしまっている。そういう時代に僕は俳優として何をどうすべきなのか。答えはまだ出ていませんけど、自問し続けたい」

映画よりも先を行く現実とどう向き合い、何をすべきか。その答えが出るのはまだ先のことなのだろうが、イ・ビョンホンはこれからも映画を通じてさまざまなメッセージを届けててくれるはずだ。

『非常宣言』にも、イ・ビョンホン演じるジェヒョクが“地上の人々”に向けて送ったメッセージは示唆に富んでいた。その想いを今度は日本の劇場でぜひ、受け止めたい。

イ・ビョンホン(写真提供=BHエンターテインメント)

◇イ・ビョンホン プロフィール
1970年7月12日生まれ。1990年にKBS公開採用14期生に合格し、ドラマ『アスファルト、我が故郷』でデビューした。2000年に公開された主演映画『JSA』は韓国でメガヒットし、社会現象に。2004年にドラマ『美しき日々』が日本で放送され“韓流四天王”のひとりとして第一次韓流ブームの牽引役に。紅白歌合戦・特別ゲスト(2004年)、韓国人俳優初の東京ドーム単独公演(2005年)など快挙も多く、2009年には『G.I.ジョー』でハリウッド進出。『REDリターンズ』『ターミネーター:新起動/ジェネシス』『マグニフィセント・セブン』などにも出演し、第88回アカデミー賞(2016年)では韓国人俳優初のプレゼンターも務めた。映画では『王になった男』『インサイダース』、ドラマでは『IRIS-アイリス-』『ミスター・サンシャイン』など代表作多数。最近は『KCIA 南山の部長たち』『イカゲーム』『私たちのブルース』など、幅広いジャンルの作品で存在感を放っている。

文=慎 武宏

*この原稿はヤフーニュース個人に掲載した記事を加筆・修正したものです。

【インタビュー前編】イ・ビョンホンが語る『非常宣言』「ラスト解釈は人それぞれ」

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