韓国野球がまたもやグループリーグで「脱落」した。「脱落」という言葉が非常に馴染み深いものになってきた。
【写真】ドジャース優勝を導いたのは大谷翔平ではなく、韓国系選手だった
2023年のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に続き、今回終了したプレミア12でもグループリーグで姿を消したのだ。WBCはメジャーリーグ(MLB)事務局が、プレミア12は世界野球ソフトボール連盟(WBSC)が主催する世界大会だ。
韓国はプレミア12の第1回大会(2015年)で優勝、第2回大会(2019年)で準優勝を果たしたが、今年はベスト4にも進めなかった。
第1回、第2回大会を振り返っても、実力的に完璧だったから決勝まで進出したわけではない。第1回大会では準決勝の相手だった日本が決定的な失策を犯した。当時のベンチは、完璧な投球をしていた大谷翔平(現ロサンゼルス・ドジャース)を早すぎるタイミングで降板させ、韓国がこの隙を突いて逆転したのだ。
第2回大会では東京オリンピック出場権がかかっており、選手たちはすべてのエネルギーを注いで決勝進出を目指さざるを得なかった。野球が12年ぶりにオリンピック正式種目として復活し、オリンピックでメダルを獲得すれば兵役免除の特例が与えられたからだ。
もっとも、そのようにして進んだ東京オリンピック(2021年開催)の本大会ではメダル獲得に失敗し、手ぶらで帰国する羽目になったが。
野球韓国代表の国際大会成績の低迷は、昨日今日のことではない。
韓国は兵役特例がかかるアジア大会(金メダルの場合)を除いて、国際大会での成績が芳しくない。各国が最強メンバーで臨むWBCだけを見ても、2013年、2017年、2023年と連続してグループリーグで敗退している。2017年のWBCではイスラエルに敗れたりした。2008年の北京オリンピック金メダル、2009年のWBC準優勝が韓国野球の全盛期だったといえるだろう。
一方でアジア大会に関しては、日本が独立リーグや社会人野球の選手を出場させるのに対し、韓国は最強プロ選手を揃えて金メダルを目指しているため、2010年以降の4大会で連続して1位に輝いている。韓国のアジア大会のライバルは実質的に台湾だけだ。
韓国野球がなぜ世界大会で「張り子の虎」に成り下がったのか。
まず今回のプレミア12では、負傷者が特に多かった。先発投手であるウェン・テイン(サムスン・ライオンズ)、ブン・ドンジュ(ハンファ・イーグルス)、ソン・ジュヨン(LGツインズ)らが負傷のため代表チームに合流できなかった。イ・ウィリ(KIAタイガース)も肘の手術を受けて外れた。
代表チームのエースとして定着しつつあった今季最多勝のウォン・テインは、韓国シリーズで負傷しただけに一層痛手だった。ソン・ジュヨン、イ・ウィリは日本を相手にできる左腕先発投手だった。ソ・ヒョンジュン(KTウィズ)も手術の影響で先発として起用できなかった。
コ・ヨンピョ(KTウィズ)、クァク・ピン、チェ・スンヨン(斗山ベアーズ)、イム・チャンギュ(LGツインズ)などの先発陣は、グループリーグ5試合中、一度も5イニング以上を投げ切れなかった。
相対的にリリーフ投手が良かったため早めの継投策を取ったともいえるが、グループリーグ初戦で必ず勝つべきだった台湾戦でコ・ヨンピョが序盤2イニング6失点したことは非常に痛手だった。台湾戦での6点差は挽回が難しいスコアだ。
リュ・ジュンイル監督が大会終了後に「国際大会で結果を出すには先発投手を育てなければならない」と語った理由でもある。
韓国野球が国際大会で成績を残していた頃には、パク・チャンホ(引退)、リュ・ヒョンジン(ハンファ)、ポン・ジュングン(引退)、キム・グァンヒョン(SSGランダース)、ヤン・ヒョンジョン(KIA)など、常にエースが存在していた。しかし現在では彼らは引退するか年齢を重ね、代表チームで「エース」と呼べる選手はいない。
ちなみに2023年WBCの日本戦の先発はキム・グァンヒョンだったが、彼は2009年WBC予選ラウンドでも日本戦の先発だった。実に14年もの間、KBOリーグはキム・グァンヒョンに続く左腕投手を育てられなかったのだ。これがリーグの現実だ。
先発投手を質・量ともに育てるという課題があるにもかかわらず、KBOおよび球団は現在、アジア枠の導入を議論中だ。オーストラリアや日本から選手を補強しようというのだが、球団が求めるポジションは主に投手であり、これもまた国内の若手選手の席をさらに脅かすことになりそうだ。未来は一層暗いといわざるを得ない。
打線ではかろうじて世代交代が進んでいる。代表チームの4番打者ノ・シファン(ハンファ)をはじめ、カン・ベクホ(KT)、キム・ヘソン(キウム・ヒーローズ)らが今回の大会にそれぞれ怪我や軍事訓練で欠場したが、キム・ドヨン(KIA)、パク・ソンハン(SSG)が可能性を示した。
特に正規リーグの最優秀選手(MVP)の有力候補であるキム・ドヨンは、今回のグループリーグ5試合で17打数7安打(打率.412)、3本塁打、10打点、1盗塁という目覚ましい成績を収めた。7本のヒットのうち、長打が5本(本塁打3本、二塁打2本)を占め、破壊力が際立っていた。OPS(出塁率+長打率)は1.503に達した。
また、正規リーグでは守備でのエラー数がリーグ1位(30個)だったが、プレミア12ではかなり安定した守備を見せた。キム・ドヨンには杭州アジア大会の代表から落選した悔しい経験があり、それだけに彼にとって太極マーク(韓国代表の象徴)はより切実なものとなっている。
パク・ソンハンもまた成長した姿を見せた。打撃成績は14打数5安打(打率.357)、2打点、4得点、OPS 0.938を記録し、ショートとしても存在感を示した。
一方でキャッチャーのポジションでは世代交代が依然として遅れている。34歳のパク・ドンウォン(LG)が主力として起用され続け、グループリーグ敗退が決まった後になって、ようやく25歳のキム・ヒョンジュン(NC)がマスクを被る機会を得た。
また、相手チームの戦力分析への不満も残った。リュ・ジュンイル監督は台湾戦の先発としてコ・ヨンピョを起用し、「台湾打者は低めに投げれば打てないだろうという分析があった」と語ったが、結果的には試合序盤(2回)で韓国野球に致命傷を与える「グランドスラム」を許してしまった。
韓国野球が足踏み状態にある間に、日本は2023年WBCで優勝し、台湾は韓国を押しのけてアジア野球の「ナンバー2」となりつつある。
韓国野球は、今や「辺境」にまで転落している。セミプロリーグを有するオーストラリアと対戦しても、もはや勝利を保証できない状態だ。国際大会で屈辱を味わいながらも、選手の年俸は高いままで、「井の中の蛙」との批判が高まっている。
過去初の観客1000万人突破に酔いしれている場合ではないという声が出ている。人気が高まるのも一瞬だが、冷めるのも早い。国際大会ほど新しいファンを獲得するための入り口となる場は他にない。国際大会を通じて、全国的なスター選手が生まれるからだ。
2026年のWBCまで残り15カ月、2028年にはロサンゼルスオリンピックも控えている。ロサンゼルスでは現役のメジャーリーガーが出場する可能性が取り沙汰されている。いつまでも世代交代だけに頼るわけにはいかない。
「アジア野球ナンバー3」という評価が定着してしまう前に、リーグ全体の体質改善が必要だ。それによってこそ、野球人気を持続可能なものにすることができる。
(記事提供=時事ジャーナル)
■ドジャースの優勝を導いたのは大谷翔平ではなく、韓国系選手のエドマンだった
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