“NewJeansの母”ミン・ヒジン前代表とHYBEの本当の激闘はこれから…約27億円のプットオプション

2024年12月01日 話題 #時事ジャーナル
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「史上まれに見る事件」――これは、ミン・ヒジン前ADOR代表が7カ月にわたり続けてきた親会社HYBEとの激闘を要約する言葉だ。

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HYBEとミン前代表の双方にとって「事件」と化したこの対立は、260億ウォン(約27億9000万円)規模の「金銭」をめぐり再び揺れ動いている。

株式買取請求権(プットオプション)の成立可否をめぐり正面衝突したHYBEとミン前代表は、対立する解釈と主張を繰り広げている。法的判断次第で、ミン前代表はHYBEに対し260億ウォンを全額請求できる可能性がある一方で、1ウォンも得られない可能性もある。

ミン・ヒジン、「契約違反がなかった」立証する必要

プットオプションとは、事前に定めた時期に特定の基礎資産を、事前に決めた行使価格で売却できる権利を取引するオプション取引を指す。このプットオプションは、ミン前代表がHYBEと結んだ株主間契約の核心要素の一つだ。

ミン・ヒジン前代表
(写真=時事ジャーナル)ミン・ヒジン前代表

契約によれば、ミン前代表はプットオプションを行使する際、ADORの直近2年間の平均営業利益に13倍を掛けた値から、自身が保有するADOR株式の75%分に相当する金額をHYBEから受け取ることができる。

法曹界では、「どちらがより客観的で明確な証拠を提示するか」によってプットオプション訴訟の勝敗が決まると見られている。

ミン前代表は、11月19日にADORの社内取締役辞任を発表する前日、ソウル中央地方裁判所にHYBEを相手取った「プットオプション行使に基づく代金請求訴訟」を提起した。HYBEとの株主間契約にプットオプション権利が明記されている以上、法的枠組みの中でこれを行使する意向を示したものだ。

しかしHYBEは、すでに「信頼の損失」などを理由に、7月にミン前代表との株主間契約を解除すると通知しており、裁判所に「株主間契約の解除確認の訴え」を提起したことから、プットオプションも消滅したと主張している。

基本的に、プットオプションの行使は契約上の権利であるため、ミン前代表が主張することは可能だ。ただし、「契約の内容を誠実に履行した場合」という前提条件が満たされなければならない。HYBEがプットオプション行使の根拠となる契約自体をすでに解除通知していると繰り返し強調するのも、この前提を覆すためだろう。

HYBE側は、ミン前代表がADORの社内取締役として契約に不誠実に臨み、契約解除の責任が全面的に相手にあるため、プットオプション行使を受け入れる理由がないと論じている。

ミン前代表が260億ウォンを手にするためには、自身がいかなる契約違反行為も行わず、誠実に契約を履行してきたことを詳細に立証する必要がある。専門家らは、ミン前代表の最も強力な反撃カードとして「NewJeans」を挙げている。

ミン前代表に有利な条件で締結された株主間契約は、2023年3月にNewJeansの成功を確認したHYBE側がミン前代表と自主的に結んだものだ。ADORは2022年に年間営業損失40億ウォン(約4億3000万円)を記録していた赤字企業であったが、2023年には335億ウォン(約36億円)の営業利益を出し、一気に黒字転換した。

ミン前代表が所属アーティストと会社の爆発的な成長に大きく貢献したという点を、HYBEが認めた客観的指標が株主間契約である可能性があるという意味だ。

キム・テリョン弁護士(テリョン法律事務所)は、「ADORとの紛争がなければ、ミン前代表がプットオプション行使時に受け取ることのできる金額である約260億ウォンは過剰な金額ではないだろう」と説明する。

その理由について「NewJeansというグループの現在の地位と将来の展望を考えると、ミン前代表が発掘し育てた能力を会社側が十分に評価したためだ」と述べ、HYBEが株主間契約にプットオプションを盛り込んだ理由と、それを裏付けるデータがミン前代表に有利に働く可能性があると分析した。さらに「ミン前代表がHYBEの論理をうまく防ぎきれれば、『株主間契約は依然として有効である』という裁判所の判断が出るため、プットオプション行使も問題なく進められるだろう」と予想した。

ミン・ヒジンの敵はミン・ヒジン?

NewJeans
(写真=OSEN)NewJeans

HYBE側の反撃も容易ではないと予想される。

2023年12月に株主間契約の更新交渉を行っていた両者は、2024年3月に意見の違いを埋められず交渉を中断した。その後、4月からミン前代表の予想外の内部告発とHYBEのADOR監査着手、さらには注目を集めたミン前代表の公開記者会見が矢継ぎ早に展開された。

HYBEは、ミン前代表が「経営権奪取」を画策した状況が確認されたとして、ADOR副代表とのやり取りを証拠として提示した。2024年4月、ADOR副代表は「2025年1月ミン・ヒジンのプットオプション行使→ADORが空の殻に→財務投資家を探しHYBEにADOR売却を提案→HYBEが売却を実行するタイミングを狙いADORの株式を取得」というシナリオを含むカカオトークメッセージをミン前代表に送信した。

ミン前代表はこれに「最高だ」と答え、肯定的な反応を示した。HYBEはこのメッセージを含む監査で入手したADOR内部資料や社員の証言などが、すべてミン前代表の業務上背任など違法行為を裏付けるものだと指摘している。

ミン前代表がHYBEとの契約を履行する意思がない状態で、外部勢力と結託して経営権を狙った何らかの計画を進めていたという主張だ。

さらにミン前代表が記者会見の過程でHYBEに所属する特定グループに言及したことで、HYBEが大きなイメージ損失を被るなど、有形無形の損害が多大であった点を攻撃する場合、HYBE側に有利な展開が開ける可能性もある。

また、NewJeansが11月29日0時をもってADORとの専属契約の解除を宣言したことや、契約期間中に「もはやNewJeansではなくても」という議論を呼んだ発言をした点も、HYBEの防御論理として活用される可能性がある。

法律界「交渉に乗り出す可能性は低い」

先立って行われた仮処分訴訟ではHYBEが「1敗」を喫したものの、資料準備のための時間を十分に確保したことを考慮すると、ミン前代表の責任を立証する証拠や証言を多角的に入手している可能性があるとの見方もある。

プットオプション行使をめぐる法廷闘争が刑事訴訟ではなく民事で進行している点も“変数”とされている。訴訟の結果によって勝者が明確になるというよりは、和解の可能性が高まることもあるというのが法律専門家らの共通した意見だ。

キム・テリョン弁護士は「どちらも裁判で完全勝利を収める可能性は低く、最終的に和解で収束する場合、両者にとってWin-Winの結果になるかもしれない」と見解を示した。

ただし、HYBEとミン前代表の立場の差が大きすぎるため、交渉に乗り出す可能性は低いという意見も少なくない。

瑞草(ソチョ)のある弁護士は、「もし劇的な妥協が実現するならば、プットオプション行使による金額(260億ウォン)を無効とし、ミン前代表が合意に応じる程度の一定金額をHYBEが支払うのが一般的な手続きである」としつつも、「しかし、訴訟にかかっている金額があまりにも大きく、意見の違いが鋭いため、現状では当事者たちが譲歩することを期待するのは難しそうだ」と述べた。

(記事提供=時事ジャーナル)

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