親日派の子孫に土地の返還を求めていた韓国政府が、事実上の敗訴という結末を迎え、議論を呼んでいる。
韓国最高裁・全員合議体(主審ノ・テアク大法官)は12月19日、韓国政府が親日派の李海昇(イ・ヘスン、1890~1958)の孫であるグランドヒルトンホテルのイ・ウヨン会長を相手取って提起した所有権移転登記訴訟で、原審と同様に原告一部勝訴の判決を確定した。
ただし返還対象は、138筆の土地のうち、わずか1筆(4平方メートル)のみとなったため、事実上政府の敗訴と解釈されている。
いったいどういうことだろうか。
そもそも今回の訴訟は、韓国政府が「親日財産帰属法」に基づき、イ・ウヨン会長が相続した土地を還収したことに始まる。
親日財産帰属法とは、2005年に成立した「親日・反民族行為者の財産の国家帰属に関する特別法」のこと。日本統治時代に日本に協力した親日派の子孫の財産を没収し、国有化するとともに、独立運動に貢献した人物やその子孫に補償する目的を持つ法律だ。
イ会長の祖先である李海昇は、朝鮮王朝25代王・哲宗(チョルジョン)の父である全渓大院君の5世子孫。1910年の日韓併合後、朝鮮貴族で最高の地位である「侯爵」の爵位と恩賜公債16万8000ウォンを受け取った。
その後、1945年8月15日の終戦まで特権を享受したとされる。
韓国政府は2007年、李海昇を親日・反民族行為者と指定し、イ・ウヨン会長が相続した土地192筆を還収した。
これに対してイ会長は翌年、土地の返還を求める訴訟を起こした。イ会長側は、親日財産帰属法は「日間併合の功労により爵位を受けた者」の財産を還収することになっており、「李海昇の侯爵の爵位は併合の功労ではなく、王族であったため受けたものだ」と主張した。
その結果、2010年に最高裁はイ会長の勝訴を確定させた。
この争いは、その後も続くことになる。
批判の世論が続くと国会は2011年、「親日財産帰属法」の「日韓併合の功績で爵位を受けた者」という条項を削除し、法を改正した。韓国政府は、改正された法を根拠に2015年、再びイ会長を相手に訴訟を起こした。
しかし、2023年4月の1審では「法改正があったとしても、確定判決には遡及適用されない」と判断され、今回の最高裁判決でも事実上敗訴が確定した。
裁判部は「親日財産帰属法附則第2条但書には、『確定判決で法の適用対象外と決定された場合には適用しない』と規定されている」とし、「李海昇の財産に対する国家帰属決定は裁判所の確定判決によりすでに取り消されているため、改正された親日財産帰属法の適用対象にはならない」と判断した。
今回返還が決まった1筆は、2010年の判決には含まれていない土地だという。
親日派の子孫が土地を守り抜いたという結果を受け、韓国のオンライン上では大きな反発が広がっている。
「もし再び植民地になっても、独立運動をせずに親日的に振る舞えという判決なのだろうか」「こんな時だけ法治主義をしっかり適用するなんて」「法を遅れて改正したのは国会議員たち。いかに仕事をやっていないかがわかる」「解放後に親日派をきちんと清算できなかったことが、今になっても問題を引き起こしている」といったコメントが寄せられた。
国民感情と法的な判断の間に横たわる溝は、依然として埋まらないようだ。
(文=サーチコリアニュース編集部O)
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