最近、韓国で、日本食がちょっとしたブームになっているという。
韓国メディアは、「外食業界の新たなトレンド、“日本食”」(『MoneyS』)、「外食市場に“日本食”の風…ホットスポットを占領」(『ファイナンシャルニュース』)などと報じている。
もっとも、人気を集めているのは、うどんや寿司といった典型的な和食だけではないらしい。
前出の『ファイナンシャルニュース』の記事は、「外食市場で“日本食”が勢いづいている」としながら、「うどん、寿司などよく目にする料理ではなく、食べ方や調理法、名前などが独特な日本の外食メニューを求める消費者が大幅に増えている」と報道。すき焼きやお茶漬け、サバの味噌煮、オムソバなどが注目されていると伝えた。
より広い意味で“日本食”が親しまれているわけだが、ブームに火をつけたのは、日本を訪れた韓国人観光客だという。
前出の『MoneyS』の記事は、「日本スタイルの外食ブームの主役は、日本で多種多様な食事を経験して日本式食文化の魅力にハマったトレンドセッターたちだ」と綴っている。
韓国観光公社と日本の観光庁によれば、今年1~10月に日本を訪れた韓国人観光客は、前年同期比416万9008人増の583万8600人に上ったという。
1カ月に平均60万人ほどの韓国人が訪日しているわけだが、日本で気に入った食べ物を韓国に帰っても楽しむという流れが生まれているのかもしれない。
それだけに気になるには、日本食レストランの実態だろう。
そこで今回は、韓国に進出している日本の外食チェーンについて調べてみた。次ページからは、韓国店舗の特徴や利用者の感想などを一気に紹介したい。
『カレーハウスCoCo壱番屋』は、ソウルや蔚山(ウルサン)などに28店舗を展開中。
店内の雰囲気も日本の店舗と似ており、カレーライスにお好みでトッピングをするスタイルも変わらない。トッピングメニューに「プルコギ」があることは韓国ならではといえるだろうか。
価格は韓国のほうがちょっぴり高い印象。例えば、日本で753円(一部地域774円)のロースカツカレーは9600ウォン(約960円)だ。
また、日本では721円(一部地域742円)のハンバーグカレーは、9300ウォン(約930円)と設定されている。
利用者からは、「店内は清潔だし、店員も親切」「あまりにおいしいからまた訪ねてしまった」「ルーをおかわりできるのが最高」「ソーセージがしわくちゃだったけど、おいしかった」「ご飯がとても多かったので、調整した方がいい」といった声が寄せられている。
韓国に11店舗を展開している丸亀製麺は、韓国限定メニューが面白い。
「ビビンうどん」や「おでんうどん」がそれだ。
韓国版ホームページでは、「おでんうどん」をこのように説明している。
「新鮮で安全な国内産高級おでんをうどんと一緒に楽しめるベストセラーうどんです」
看板メニューの釜揚げうどんは、3900ウォン(約390円)。並290円の日本のほうが、100円ほど安く食べられるようだ。
韓国のネット上には、「つるっとした麺が美味」「日本の丸亀製麺にはないユニークなメニューが多くて楽しめた」「ファストフード店のようで少々落ち着かないが、きれいでスマートだった」などと利用者の感想が綴られている。
料金体系が興味深いのは、かっぱ寿司だ。
日本では今年、かっぱ寿司が期間限定で実施した食べ放題キャンペーンが話題を呼んだが、韓国店舗では通年、「ビュッフェ」という名で食べ放題システムが導入されているのである。
利用者のブログによれば、ランチタイムは1万8600ウォン(約1860円)、ディナータイムは2万4800ウォン(約2480円)と料金が設定されているらしい。制限時間はいずれも80分。ちなみに、11月に日本で食べ放題が実施された際は、60分1580円だった。
日本では提供されていない「サムギョプサル寿司」といったメニューがあることも韓国ならでは。
韓国のかっぱ寿司の利用者は、「メニューが豊富で楽しい」「注文した寿司が電車に乗って届けられることに興奮した」「コスパが良い」「毎日でも行きたい」などと評価している。
日本の外食チェーンが少なからず“現地化”しながら韓国に進出していることが伝わってくるが、はたして、今後も韓国で“日本食”の人気は続くだろうか。
引き続き、動向を追っていきたい。
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