韓国と北朝鮮。朝鮮半島が分断されて長い年月が経った。親北派とされる文在寅(ムン・ジェイン)大統領の就任から、南北統一への機運が高まっていくかに見えた。
しかし蓋を開けてみると、昨年時点で「統一が必要だ」と感じる国民の割合が、文在寅政権発足以来“最低”を記録していることがわかった。
9月18日、峨山(アサン)政策研究院は『韓国人の外交安保認識』を発刊した。これは2020年12月3日から17日まで、全国満19歳以上の成人男女1500人を対象にアンケート調査したものであり、2010年以降、毎年「統一と南北関係に対する韓国人の認識」を調べて発表している。
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この調査によると、「統一が必要だ」と回答した割合が調査以来の最低値の64.4%を記録した。2017年の文在寅政権発足時には70.8%だったこの設問は、2018年66.2%、2019年64.7%と徐々に減少している。
朝鮮半島に平和ムードが醸成された2018年に統一に対する関心が85.4%で過去最高を記録したことと比較すると、対照的であり、さらに全体の30%近くが「統一税を出すつもりはない」と答えている。
こうした状況となった理由として考えられるのが、新型コロナウイルスの流行や不動産価格の高騰、失業などの韓国を取り巻く不況による個人の生活の圧迫が大きな要因だ。
実際に調査結果を発表した峨山政策研究院は、「統一後、さらなる経済悪化が予想されると思う人が増加している」と明かした。さらに「国家や個人の経済状況がいい状況の時は、統一問題に関心を持てる」と分析した。
また、興味深いのが「統一」の有無どころか、「北朝鮮を敵国」と表現した回答が全体の37.2%にも上り、調査以来最高値を記録していることだ。
韓国ネット民の中では「北朝鮮の非核化に期待していたが期待を裏切られた」「ただでさえ不況なのに、統一なんてしたら経済が崩壊する」など、厳しい意見も目立った。
2017年に就任した文在寅大統領は、1年後の来年5月9日に任期満了となる。この流れでは、彼が大統領の間に北朝鮮との関係が飛躍的に前進することは難しそうだ。
(文=サーチコリア編集部)
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