知人から借りたネックレスは“偽物”?韓国・ユン前大統領夫人がさらなる窮地、証拠隠滅疑惑も

2025年07月30日 政治 #時事ジャーナル
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錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領の妻であるキム・ゴンヒ氏に関する疑惑を捜査しているミン・ジュンギ特検チームが、家宅捜索で押収した高価なネックレスを「模造品」と判断し、追加の捜査を続けている。

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特検チームは8月6日に予定されているキム・ゴンヒ氏の召喚を前に、ネックレスのすり替え疑惑の解明に向けて捜査力を集中する方針だ。「借りたもの」としていた最初の釈明が「模造品であることの認定」に変わったことで、キム・ゴンヒ氏に対する厳しい取り調べも避けられないものと見られている。

7月30日、法曹界によると、ミン・ジュンギ特検チームはキム・ゴンヒ氏の兄キム・ジヌ氏の義母の自宅から押収した「ヴァンクリーフ&アーペル」のネックレスを鑑定した結果、「模造品」との結論を下したと伝えられた。

キム・ゴンヒ、ユン・ソンニョル
(写真=時事ジャーナル)尹錫悦前大統領(左)とキム・ゴンヒ夫人

問題のネックレスは、2022年6月のNATO(北大西洋条約機構)首脳会議訪問時にキム・ゴンヒ氏が着用していたもので、6000万ウォン(日本円=約641万円)台で販売されている高価なアクセサリーだ。

公職者倫理法によると、宝石類は1点あたり500万ウォン(約53万円)を超える場合、財産申告の対象に該当する。ただ、大統領室の当時の財産申告リストにこのネックレスが含まれていなかったことが確認され、議論を呼んだ。

このネックレスのほかにも、それぞれ約2000万ウォン(約213万円)相当の「カルティエ」のブレスレットと「ティファニー」のブローチも物議を醸した。

当時、大統領室は「キム・ゴンヒ氏が知人から借りたもの」と説明した。大統領室関係者は「アクセサリー3点のうち2点は知人から借り、1点は小商工人から購入した」とし、申告対象には該当しないと主張した。

ただ、高価なアクセサリーをどのような関係の知人から借りたのか、小商工人が一般的に販売できないブランド製品をどうやって購入したのかなど、具体的な経緯については明かさなかった。

しかし、「ネックレスは借り物」としていたキム・ゴンヒ氏側の立場は今年5月に覆された。キム・ゴンヒ氏側はソウル中央地検の捜査チームに提出した陳述書で、「すべてのアクセサリーは模造品で、自ら購入したもの」と主張した。問題のアクセサリーには正規品にあるような「シリアルナンバー」がなく、現在の所在もわからないとする立場を示したという。

ところが、このネックレスはキム・ゴンヒ氏が立場を変えてから約2カ月後の今月25日、キム・ジヌ氏の義母の自宅から見つかった。特検チームが家宅捜索した際、NATO訪問時にキム・ゴンヒ氏が着用していたものと同じデザインのネックレスを確保したのだ。特検チームは、ネックレスに関する家宅捜索令状に贈賄の疑いを記載していた。

特検チームは現時点で、「ヴァンクリーフ&アーペル」のネックレスにシリアルナンバーがなかったという報道について、「(ネックレスが本物かどうかは)確認できない」としており、模造品であることを公式には明らかにしていない。

特検チームは、キム・ゴンヒ氏がNATOで正規品のネックレスを着用した後、模造品と「すり替え」た可能性も排除していない。

ファーストレディが国際的な公式行事に偽物のネックレスを着けて出席したというのは常識的に考えにくく、また関連する説明が何度も変わった点も、容疑を隠すための「証拠隠滅」を試みたと解釈され得るためだ。

法曹界では、ネックレスが本物かどうかにかかわらず、キム・ゴンヒ氏にとって不利に働く可能性があると見ている。

ネックレスが正規品であれば、尹前大統領の在任中に財産未申告の疑いで処罰を免れがたく、購入経緯から贈賄の状況が確認されれば、捜査対象や範囲はさらに広がらざるを得ない。

逆に、特検の取り調べでも変えた陳述を維持して模造品を主張した場合は、自ら証言の信頼性を損ねたことになり、不利に働く可能性が大きい。

特検の捜査が最長170日間という期間制限がある点を踏まえ、キム・ゴンヒ氏側が意図的に言い分を変えて捜査を妨害する戦略を立てたとの分析も出ている。法務法人イルロのチョン・グスン弁護士は「(キム・ゴンヒ氏の陳述翻意により)真偽の確認や犯罪容疑の争点を再検討せざるを得ない状況となった」と述べた。

特検チームは当該のネックレスの出所や購入経緯、保管ルートなどについての捜査を進めており、来月6日にキム・ゴンヒ氏を召喚し、事実関係を把握する方針だ。

キム・ゴンヒ氏の兄キム・ジヌ氏は、今月28日の特検による召喚調査で、自身の義母宅から見つかった高価なネックレスについて具体的な供述を拒否したという。

キム・ゴンヒ氏側は、特検が家宅押収で確保したイ・ウファン画伯の作品や現金などに関しても「まったく知らない」という立場を示している。

シン・インギュ弁護士は、キム・ゴンヒ氏の陳述が変わったことについて「キム・ゴンヒ氏のこのような行動は一度だけではない。楊平(ヤンピョン)高速道路の特恵疑惑、ドイツモーターズ株価操作疑惑、そして母親による残高証明書の偽造など、彼女の常習的な虚偽発言は国民の怒りを買うに十分だ」としたうえで、「特検の捜査過程で行われた陳述の翻意は、キム・ゴンヒ氏が起訴された場合に裁判で不利な要素として作用するだろう」と述べた。

(記事提供=時事ジャーナル)

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