韓国の最大野党「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)代表が、“不信”の沼から抜け出せない状況が続いている。
与野党を通じて次期大統領候補のトップの座を維持しているものの、李代表の支持率は依然として30%台の壁を突破できずにいる。
「尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の弾劾を支持」「政権交代」の世論が一貫して過半数を超えている状況にもかかわらず、第一野党が民心を十分に引き寄せることができていない雰囲気だ。
李代表が支持率回復を狙って打ち出した「実用主義」戦略は、アイデンティティ論争とともに信頼性の問題を引き起こした。戒厳・弾劾局面でも容易に解決しなかった“非好感リーダー”という世論が今後も続くのか、注目される。
本メディア提供サイト『時事ジャーナル』は、「12・3非常戒厳」後に実施された、韓国の「3大世論調査」機関である韓国ギャラップ、リアルメーター、全国指標調査(NBS)の調査を全数分析した。
その結果、韓国ギャラップとNBSの定期調査(韓国ギャラップ5回・NBS5回、計10回)において、李代表の支持率は一度も30%台を超えることができなかった。
李代表の支持率が最も低かったのは1月第4週のNBS世論調査で28%、最も高かったのは12月第3週の韓国ギャラップ世論調査で37%だった(詳細は中央選挙世論調査審議委員会のホームページを参照)。
まず、韓国ギャラップは、尹大統領が非常戒厳を宣言した週である2024年12月第1週から2025年1月第4週までの間に、計5回にわたり「将来の政治指導者の好感度」調査を実施した。
週ごとの李代表の支持率を見ると、12月第1週29%、12月第3週37%、1月第2週32%、1月第3週31%、1月第4週31%と推移した。なお、12月第2・4週および1月第1週には世論調査は実施されなかった。韓国ギャラップは、毎週「デイリー・オピニオン調査」を定期的に実施している。
非常戒厳事態後、李代表の支持率が反騰したのは12月第3週のみだ。直前の調査結果である29%から、37%へと急上昇した。当時、この変動に影響を与えた主な出来事として、尹大統領の2回目の弾劾訴追案可決による大統領職務停止、与党「国民の力」のハン・ドンフン代表の辞任、「祖国革新党」チョ・グク前代表のソウル拘置所収監などが挙げられる。
与野党の有力人物が大きく入れ替わる状況のなか、「共に民主党」の支持層の69%が李代表を支持し、同党内の他の野党候補は皆無だった。一方、「国民の力」の支持層では、尹大統領の弾劾案可決により実質的な求心点が失われた状況だった。
その後、李代表の支持率が再び5ポイント下落したのは、「共に民主党」主導でハン・ドクス大統領権限代行の弾劾訴追案が可決された後の時点だ。
さらに1月初め、チェジュ航空機事故によって災害対応の司令塔が不在である現実が明らかとなり、「権限代行弾劾」に関する賛否が広がった。同時に、尹大統領に対する逮捕状執行手続きが進むなか、かえって保守支持層の結束が強化される結果となった。
NBSの調査結果も同様だった。
EMBRAINパブリック、Kstatリサーチ、コリアリサーチ、韓国リサーチが実施したNBSの「次期大統領適任者」調査によると、李代表の支持率は一度も40%に達することなく推移した。
1月第2週31%、1月第3週28%、1月第4週28%、2月第1週32%、2月第2週32%と、5回の調査で20~30%台を行き来した。
ただし、李代表が1月23日の新年記者会見で「成長と回復」というキーワードを掲げ、「右寄り」路線を公式化した後、支持率が4ポイント上昇する効果が見られた。
李代表の支持率は、記者会見前の1月第4週調査では28%だったが、記者会見後の2月3~5日に実施された調査では32%まで上昇した。しかし、それでも依然として30%台に留まったままだ。
選挙の核心は、中道層であるというのが政界の共通した見解だ。しかし李代表の中道層への「拡張性」については、多くの疑問符がついている。
これは根本的に「李在明を信頼できない」という流れが広がっていることの表れだと解釈される。実際、「信頼度」調査の結果がこれを裏付けている。
韓国ギャラップが尹大統領による非常戒厳宣言の1週間後である2024年12月10~12日に実施した「政界要職人物の信頼度」調査によると、李代表を「信頼しない」と回答した割合は51%(信頼する41%)で、過半数を超えた。
また、NBSも毎週「大統領候補の好感度」調査を実施したが、李代表は1月から2月第1週にかけて、一度も好感度が40%を超えることができなかった。
李代表に「好感が持てる」と回答した割合を見ると、1月第2週37%、1月第3週37%、1月第4週34%、2月第1週37%、2月第2週37%と推移した。
この結果に政界では、李代表が「共に民主党」を通じて見せた「一極体制」や、立法権を行使することで示した「国会掌握力」などが、「大統領・李在明」に対する中道層の恐怖感を高めたとの分析が出ている。
加えて、李代表が抱える5件の裁判により、「犯罪者リーダー」が政権を握る可能性があるという司法リスクが最大の難題として指摘されている。
一方で、李代表の低迷する支持率は、過去に朴槿恵(パク・クネ)元大統領の弾劾局面で野党第一党の大統領候補として浮上した文在寅(ムン・ジェイン)前大統領(当時、「共に民主党」常任顧問)の姿とも比較される。
文前大統領は当時、アン・ヒジョン元忠清南道(チュンチョンナムド)知事、李在明元城南(ソンナム)市長らとの多者対決構図で始まった汎進歩陣営の大統領候補レースにおいても、支持率40%台を維持していた。
現在、野党単独候補として浮上している李代表が「30%台」に閉じ込められている状況とは対照的だとの見方がある。
ただ、一部では最近の世論調査結果について錯視効果だと指摘する声もある。各候補および政党の支持率だけを基に進歩・保守の民意を測るには、保守層の過大集計、流動的な与党候補の状況、不安定な政局などによる限界が大きいという分析だ。
これに先立ち、光云(クァンウン)大学のチン・ジュングォン特任教授は、YouTubeチャンネル「時事ジャーナルTV」の番組『時事終結』で、「(現在の世論調査で)次期大統領選挙の政治地形を把握するうえで重要な2つの指標は、『政権交代vs政権維持』、そして『与党候補支持vs野党候補支持』だ」と述べ、「この2つの観点から見ると、依然として共に民主党が(汎進歩陣営全体として)国民の力を7~8ポイント程度リードしている」と指摘した。
リアルメーターが2月10日に実施した「次期汎進歩・汎保守候補の適任度」調査によると、汎進歩陣営では李代表が40.8%を記録し、独走状態だった。
一方、汎保守陣営の候補では、キム・ムンス雇用労働部長官が25.1%で1位となった。その後に続くのは、「国民の力」ユ・スンミン元議員(11.1%)、オ・セフンソウル市長(10.3%)、ホン・ジュンピョ大邱(テグ)市長(7.5%)、「国民の力」ハン・ドンフン前代表(7.4%)、「国民の力」アン・チョルス議員(5.1%)、「改革新党」イ・ジュンソク議員(4.0%)という順位であった。
(記事提供=時事ジャーナル)
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