「大統領に当選すれば裁判は停止される」多くの裁判を抱える李在明代表、彼の“読み”は真実か

2025年02月25日 政治 #時事ジャーナル
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刑事事件で裁判を受けている人物が大統領に就任した場合、その裁判は中止となるのだろうか。

【注目】多くの裁判を抱える「被告人」が大統領候補でいいのか

また、刑事事件で裁判を受けている途中で大統領になった場合、その裁判は大統領の任期である5年間は停止されるのだろうか。

現在、5件の裁判を抱えている韓国最大野党「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)代表は最近、テレビ番組で「大統領に当選すれば裁判は停止されるというのが多数説だ」と主張した。

しかし、これは事実とは異なるというのが法曹界の一般的な見解だ。大統領には在職中の刑事上の不訴追特権があるものの、「当選前に進行中の裁判」にもこれを適用するかどうかについては解釈が分かれているためだ。

李代表の発言は、早期大統領選挙の局面で再燃した「司法リスク」を意識したものとみられる。もし憲法裁判所が尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領に対する弾劾訴追案を最終的に認め、罷免した場合、60日以内に大統領選挙が実施されなければならない。

憲法裁判所の決定時期は3月中旬頃になると予測されている。

「共に民主党」李在明代表
(写真=時事ジャーナル)「共に民主党」李在明代表

このような状況のなか、2024年の1審で「当選無効刑」が言い渡された李代表の公職選挙法違反事件が争点として浮上している。原則として、選挙法違反事件の最高裁判決は6月までに出なければならない。

法曹界の予測が正しければ、5月の大統領選挙日程と重なることになる。李代表としては、大統領に当選したとしても最高裁の判決を注視せざるを得ない。このため「大統領になれば既存の裁判が中断される」という主張が出てきたのだ。

選挙法違反事件、6月までに最終決着の見込み

「“訴”は起訴を意味し、“追”は訴訟の遂行を意味するので、(大統領に当選すれば)裁判は停止されるというのが多数説だ」(李在明代表、2月19日 MBC『100分討論』より)

大統領の刑事不訴追特権を定めた憲法第84条が弾劾政局のなかで議論の的となっている。野党の有力な大統領候補であり、刑事事件の被告人である李在明代表の司法リスクが要因だ。

憲法第84条には「大統領は、内乱または外患の罪を犯した場合を除き、在職中は刑事上の訴追を受けない」と規定されている。しかし、大統領就任前に起訴された事件についての明確な規定は存在しない。5件の裁判を抱えている李代表が大統領になった場合、既存の裁判が中断されるかどうかが争点となっている。

李代表は2月19日の討論で、この問題に関する質問が交わされるなか、「裁判の中断が多数説」と主張した。

李代表にとって最大の不確定要素は、公職選挙法違反事件だ。2024年11月15日、1審で今後10年間選挙に出馬できない刑(懲役1年、執行猶予2年)が言い渡された。この事件は現行法上、「6・3・3原則」(1審6カ月、2審3カ月、3審3カ月)が適用されるべきだ。

しかし李代表の1審判決は、2022年9月の起訴から約2年後に出た。チョ・ヒデ大法院(最高裁)長が強調したように、選挙法違反事件の処理期限が守られるならば、控訴審は今年3月、最高裁の判決は6月までに出ることになる。

控訴審の判決が大統領選挙前に出たとしても、最終審判の結果を見守らざるを得ない。大統領選挙後に最高裁の判決が出る可能性もあるからだ。

また、李代表が抱えるその他の4件の裁判(大庄洞・白峴洞・慰礼・城南FC疑惑、偽証教唆、北朝鮮への送金、京畿道法人カード不正使用)もリスクとされてきた。現職大統領が毎週法廷に立たなければならないという負担が問題視されている。李代表の司法リスクを問題視する声は、こうした点に基づいている。

李代表が「裁判中断説」を説明した背景も、これと無関係ではないと解釈されている。

「文言通りに解釈すれば裁判進行」だが

「共に民主党」李在明代表
(写真=時事ジャーナル)「共に民主党」李在明代表

しかし、法曹界や学界の見解を総合すると、李在明代表の主張は事実とは異なる。大統領になれば既存の裁判が中断されるという明確な「多数説」は存在しないのだ。

むしろ、「刑事訴追」の意味を文言通りに解釈し、起訴のみを指すとする立場と、立法趣旨を考慮し、大統領が刑事法廷に立つこと自体を避けるべきだとする立場が対立している。

「『被告人である大統領』を前提とした憲法条文は存在せず、この問題が争点となってから長い時間が経っていないため、十分な議論がなされていない」という点だけが共通の見解だった。

高麗大学法学専門大学院のチャン・ヨンス教授は「文面上、大統領は在職中に刑事訴追を受けないとされているので、訴追以外の裁判はこれに該当せず、裁判は続行され、その結果により大統領職を失う可能性もある」と説明する。

しかし同時に「憲法第84条は、国家元首である大統領を刑事訴追し法廷に立たせることが国家の品格問題につながることを考慮したものだ」とし、「この趣旨に照らせば、訴追だけでなく裁判手続きの進行も排除しようとするものと解釈できる」と述べた。

朴槿恵(パク・クネ)元大統領の事例を基にした解釈もある。

高麗大学法学専門大学院のチャ・ジンア教授は「過去、憲法第84条の解釈をめぐる対立は、刑事上の訴追を受けないという文言が訴追のみを禁止するのか、それとも訴追を前提とした捜査も禁止されるのかという問題だった」と指摘する。

「この点で多数説とされるのは、形式的に公訴の提起のみを禁じるのではなく、公訴提起を目的とした捜査も禁止されるべきだという見解だ」と述べた。実際、朴元大統領に対する捜査も罷免後に本格化した。

問題は、大統領当選前に起訴された場合だ。現時点で学界の統一見解はなく、関連する先例もない。

チャ教授は「文言通りに解釈すれば、刑事訴追の意味は『起訴』と解釈すべき」としつつ、「国政運営の安定、大統領職への信頼確保、国家の品格保持といった立法趣旨を尊重するなら、大統領の刑事裁判も中断されるべきだとする見解もある」とした。

ただし、法制処が2010年3月に発刊した憲法注釈書では、「憲法第84条の『刑事上の訴追』とは起訴を意味する」と明記されている。すでに起訴された事件は例外とするのが法曹界の説明だ。

明確な規定も前例もない以上、最終的にこの論争に終止符を打つのは最高裁の役割だとする見方もある。李代表の選挙法違反事件を審理することになる最高裁が、最終的な判断を下すべき問題だということだ。

この事件の控訴審判決は3月中に出ると予測されている。2月26日には、検察の求刑や李代表の最終陳述を聞く結審公判が開かれる予定だ。法曹界の予測通りであれば、4月には最高裁での審理が始まる見通しだ。

(記事提供=時事ジャーナル)

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