【データで読む韓国大統領選】李在明「優勢」も保守「逆転の芽」あり 数字で占う終盤の行方

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韓国大統領選挙が終盤に差し掛かっている。

【注目】「コーヒー1杯の原価は12円」李在明の失言?

今回の大統領選挙は、戒厳令布告と弾劾審判に繋がる「政権審判論」の性格が強い。このため、革新系野党「共に民主党」イ・ジェミョン候補は早い段階で「中道保守論」を掲げ、支持層拡大戦略を試みた。その結果、中道層の先取りはもちろん、保守層の一部も吸収し、圧勝を狙っている。

反面、保守系与党「国民の力」キム・ムンス候補は、ハン・ドクス元国務総理との一本化の不発による波紋を抱えている。前大邱(テグ)市長のホン・ジュンピョ氏も離党までしてアメリカ・ハワイに渡るなど、「ワンチーム」構成を難しくしている状況だ。ハン・ドンフン前代表も支援遊説を躊躇しており、単独遊説で“不便な同行”を続けている。

そして、尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領が5月21日、不正選挙をテーマにした映画を観覧したことが、キム・ムンス候補の中道層吸収に致命的な影響を及ぼすものと見られている。

こうした流れの中で「イ・ジェミョン一強論」は続いている。

エンブレインパブリックがYTNの依頼で5月18~19日に実施した調査では、「明日が大統領選挙の投票日なら誰に投票するつもりか」という質問がなされた。

全体の結果は、イ・ジェミョン候補50%、キム・ムンス候補36%、保守系野党「改革新党」イ・ジュンソク候補6%となった。イ・ジェミョン候補がキム・ムンス候補を14%ポイント上回る。

中道層に限るとイ・ジェミョン候補61%、キム・ムンス候補23%、イ・ジュンソク候補8%で、上位2候補の差は実に38%ポイントにもなっている。

釜山・蔚山・慶南で「圧倒的優位」を見せられないキム・ムンス

今回の大統領選挙は、イ・ジェミョン候補の嶺南(ヨンナム)圏攻略と「国民の力」一本化による波紋のため、大邱(テグ)と慶北(キョンブク)の「TK」、釜山(プサン)、蔚山(ウルサン)、慶南(キョンナム)の「PK」など嶺南圏の勢力図がより重要になった。

「TK」ではイ・ジェミョン候補が30%、キム・ムンス候補が58%と現れた。キム・ムンス候補がリードしているとはいえ、イ・ジェミョン候補の善戦も目立つ。

一方、PKでは保守陣営に赤信号が灯っている。今回の調査で、PKではイ・ジェミョン候補が43%、キム・ムンス候補が44%と大きな差がない。8年前の朴槿恵(パク・クネ)前大統領弾劾直後に実施された大統領選で、当時の文在寅(ムン・ジェイン)候補は釜山と蔚山で1位を獲得したが、慶南ではホン・ジュンピョ候補と大差なかった。ただ今回、保守候補が慶尚道(キョンサンド)地域の票を総なめできなければ、大統領選の勝利は夢のまた夢だ。

「固め」に入ったイ・ジェミョン候補と比較すると、キム・ムンス候補には「逆転」のきっかけとなるカードがいくつかある。その一つがイ・ジュンソク候補との一本化だ。

支持率で劣勢にあるキム・ムンス候補にとって、一本化は算術的に支持率を拡大できるチャンスだ。これに加え、ハン・ドクス候補との一本化不発で得られなかった“一本化シナジー効果”と“コンベンション効果(政党や政治家が政治イベントを通じて支持率を高める効果)”も期待できる。これといった問題が生じていない今回の選挙戦で、終盤に有権者の視線を集める決定的な瞬間になり得る。

イ・ジュンソク候補は選挙期間、一貫して一本化の質問に線を引いてきたが、「政治は生き物」だ。「絶対に一本化にならない」という法はどこにもない。

イ・ジュンソク候補が一本化に線を引く最大の理由は2つあると見られる。

一つは、大統領選のような大きな政治的イベントで最後まで候補の座を獲得する場合、政治的経験と立場が確保できる点だ。これは誰しもが持てる経験ではない。

もう一つは選挙費用の補償だ。現行の公職選挙法では、10%以上の得票で選挙費用の半額、15%以上で全額が返還される。

韓国大統領選
(写真=国会写真取材団)

キム・ムンス&イ・ジュンソクの一本化、討論に逆転の芽あり?

では、一本化に対する国民の世論はどうか。

エンブレインパブリックの調査で「キム・ムンス候補とイ・ジュンソク候補の一本化についてどう思うか」と尋ねた結果、全体の回答は「一本化すべき」が37%、「一本化すべきでない」が45%と出た。

重要なのは「国民の力」支持層と「改革新党」支持層の判断となるが、「国民の力」支持層では「候補を一本化すべき」が77%の一方、「改革新党」支持層では「候補を一本化すべきでない」が57%と、「一本化すべき」よりも高いことがわかった。

「国民の力」支持層は、キム・ムンス候補逆転のためのカードとして一本化を切実に望んでいる。テレビ討論会でイ・ジェミョン候補を脅かし、中道層を確保し、イ・ジュンソク候補との一本化によって、劇的な逆転を期待しているわけだ。

大統領選挙はイ・ジェミョン候補の「固め」で勝負が決まるのか、それともキム・ムンス候補の「逆転」で状況が一変するのか。

ビッグデータ深層分析ツール「サムトレンド」で、5月12日から21日にかけて、イ・ジェミョン候補とキム・ムンス候補に関するビッグデータ感性連関語を抽出してみた。

まず、イ・ジェミョン候補に関するビッグデータ感性連関語は「支持する」「訴える」「批判する」「論争」「懸念」「信頼」「危機」「犯罪」「期待」「疑惑」「希望」「嫌疑」「違反」「葛藤」などが出た。

キム・ムンス候補に関しては、「支持する」「訴える」「論争」「批判」「信頼」「期待」「希望」「葛藤」「懸念」「危機」「犯罪」「真心」「不正選挙」「真剣さ」などが出た。

イ・ジェミョン候補に関するビッグデータ感性連関語では、「嫌疑」「違反」などに注目する必要がある。事実上、解消されたように見えるが、“司法リスク”が依然として残された変数と見られる。

キム・ムンス候補に関するビッグデータ感性連関語では「葛藤」「懸念」「危機」「犯罪」「不正選挙」などが現れ、ハン・ドクス前国務総理やハン・ドンフン前代表、ホン・ジュンピョ前市長の選挙支援が円滑に進まない否定的要因と共に、尹前大統領の行動による負担が表れたと分析される。

もっとも、いくら途中経過でイ・ジェミョン候補優勢の流れが見えるとはいえ、選挙の結末を中途半端に予断することは難しい。選挙はまだ終わっていないからだ。

イ・ジェミョン候補の選挙勢力「固め」と、キム・ムンス候補の選挙終盤「逆転」、どちらに重みがかかるのかを見守ろう。

(記事提供=時事ジャーナル)

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