韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領の側近、鄭鎮碩(チョン・ジンソク)元大統領秘書室長が、公職者の不正を捜査する機関「高位公職者犯罪捜査処」に告発された。
背景には、いわゆる「12・3非常戒厳」事態に関連する証拠を隠滅するため、大統領室のパソコンの“破棄”を指示したとの疑惑がある。
6月9日、市民団体「司法・正義を正す市民行動」は、鄭氏を職権乱用、証拠隠滅、公用物損壊、大統領記録物法違反の疑いで高位公職者犯罪捜査処に告発したと発表した。
同団体によると、鄭氏は尹前大統領とともに「12・3非常戒厳事態」に関与した証拠を隠すため、大統領室の共有PCに保存されていた記録や文書を、すべて破棄するよう職員に指示したという。
さらに、鄭氏が「次の政権に引き継ぐつもりはない。物理的な方法を使ってでもPCなどを破壊しろ」と命じたという証言もある。これは大統領選挙期間中の5月27日、野党の「共に民主党」の選挙対策本部の報道官が公表していた内容だ。
また、鄭氏が政権移行に必要な大統領室職員をすべて解散させ、新政権が業務を引き継げないよう妨害したとも主張。加えて、大統領の記録物を破棄する場合は専門委員会の審議を経なければならないと定めた「大統領記録物法」にも違反したと指摘している。
鄭氏は現在、別件の“内乱容疑”で警察の捜査も受けている状況だ。警察庁・国家捜査本部の非常戒厳特別捜査団は、今年1月11日に鄭氏を被疑者として呼び出し、事情を聴いた。
この「非常戒厳」事態は、昨年12月4日未明に国会が戒厳解除を決議した直後、尹前大統領が国防省地下の合同参謀本部内で開いた会議が発端となったとされる。鄭氏はこの会議に出席しており、そこで「第2次戒厳」発動について協議されたのではないかとの疑惑が浮上している。
(記事提供=時事ジャーナル)
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