韓国女性たちの“キャリア断絶”が深刻に…表面化の原因とされる「黄金のブタ」とは

2016年01月03日 経済
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日本と韓国には意外な共通点がある。先進諸国に比べて、女性の地位が圧倒的に低いのだ。

一番わかりやすい事例は、賃金格差だろう。経済協力開発機構(OECD)によると、男性の賃金を100とした場合、女性との格差は日本が28.7%で、韓国が38.9%。不名誉なことに、ワースト2位、1位を記録している。

そんな現状を打破しようと、日本の安倍政権が女性の地位向上を盛んに訴えているのと同様に、韓国でも初の女性大統領が奮闘。朴槿恵大統領は、女性の雇用率が低い大企業を公開したり、中小企業に向けて女性雇用を促進したりと、指導を強化している。ただ、未だに解決できていない問題も多い。

特に2014年に顕著となったのは、結婚・妊娠した女性の再就職がかなわない“キャリア断絶”の問題だ。韓国統計庁の発表によると、同年4月までの18~54歳の既婚女性数は956万1000人。そのうち、出産や育児など家族のためにキャリアが断絶され、再就職できなかった女性の数は213万9000人にも上り、既婚女性の22.4%を占めたという。

600年に一度の「黄金のブタ年」とは

その深刻なキャリア断絶の原因と考えられているのは、2007年に浸透した「黄金のブタ年」の影響だ。

昔から韓国でブタは“縁起の良い動物”といわれており、日本の十二支であるイノシシ年の代わりにブタ年が採用され、多くの人に愛されている。

韓国の直近のブタ年は2007年。しかも、その年は600年に一度しか訪れないという「黄金のブタ年」だったという。縁起のいい年に子どもを産みたいとする女性が続出し、空前の結婚&出産ブームとなっている。

実際、2005年に超少子化国家の基準を大きく下回る出生率1.08人を記録した韓国だったが、「黄金のブタ年」効果によって、2007年の出生率は1.26人にまで回復した。
 
それから7年がたった2014年。「黄金のブタ年」生まれの子どもたちが小学校に入学すると、育児から解放された女性たちが再就職を求めて企業に殺到した。その数は、前年比10%増とも。

しかし、女性の雇用や働き方が社会ぐるみで解消されていなかったため、大量の「キャリア断絶」が生まれてしまったのである。韓国の少子化問題の回復に一役買った「黄金のブタ年」だったが、その弊害が最近になって表面化したというわけだ。

そもそも韓国では就職内定率の男女比にほとんど差がないのだが、再就職となると、女性は男性の半分にも満たないという現実がある。

そのため、子を産む行為は祝福を受けて当然のことなのだが、韓国では妊娠したことをギリギリまで隠す人まで存在するという。

その結果、キャリアを断絶したくない女性たちが増えて、少子化も加速。悪循環が生まれてしまっているといえるだろう。

韓国政府は「キャリア断絶」した女性の再雇用を促進しようと企業に働きかけているが、その効果があまり表れていないのが現実だ。

女性の地位が低い日韓両国。両政府の施策の行く末を、ともに注目したい。

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