韓国では10月29日、ハロウィンによってソウルの梨泰院(イテウォン)に多くの人が密集し、現在までに156人が亡くなる大規模な雑踏事故が起きた。
あまりに凄惨な事故であり、命を落とした人も多いだけに、いまだその影響は大きい。
そんななか、韓国政府は雑踏事故犠牲者に葬礼費などの支援金を支給することを明らかにしたのだが、それに対する賛否両論が噴出している。
10月31日、韓国行政安全部はブリーフィングを開き、事故犠牲者に葬礼費を最大1500万ウォン(日本円=約150万円)まで支給するなど、移送費用支援などの内容を盛り込んだ被害者支援対策を発表。
遺族に対し自治体専担公務員がマンツーマンで必要な支援を行うほか、全国31カ所の葬儀場に公務員を派遣し、円滑な葬儀を助ける予定であることを伝えた。
また、負傷者に対しては実治療費を健康保険財政で優先的に代納する。このほかにも、遺族や負傷者などについては救援金とともに税金や通信料金などを減免したり、納付を猶予したりすることにしている。
こうした支援が発表された後、韓国では匿名のオンラインコミュニティでアンケート調査(351人)が行なわれた。
その結果、支援金の支給に対し「不当」と感じる人が95.4%(335人)に上り、「適切」と感じる人がわずかに4.6%(16人)しかいなかったことがわかった。
アンケート回答のなかには「梨泰院に集まった人は遊びに来た人たちだ。それに税金を投入するのはどうかと思う」「不謹慎だと思うが、税金の正当な使い方とは思えない」など、さまざまな意見が挙がっていた。
凄惨な事件だったが、国民感情を考えると難しい問題だ。それでも、すべての国民が満足できる落としどころを準備することは難しいだろう。
(文=サーチコリアニュース編集部)
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