韓国のインターネット銀行3社、軒並み過去最高の業績も笑ってばかりいられない理由

2025年02月11日 経済 #時事ジャーナル
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韓国のインターネット銀行3社(カカオバンク・トスバンク・ケーバンク銀行)は昨年、過去最高の業績を記録すると予想されているが、今年から成長戦略に関する悩みが深まる見通しだ。

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韓国政府の家計向け融資の管理方針が継続するなか、2024年の業績の大部分を支えた利息収益の拡大が制約を受けることとなった。

インターネット銀行各社は、非利息収益の強化やポートフォリオの多角化を進めているが、目立った成果は少なく、「簡単な利ざやビジネスに依存してきたのではないか」という指摘も出ている。

過去最高の実績が確定的だが

2月10日、金融業界によると、インターネット銀行3社はいずれも昨年、年間ベースで過去最高の業績を記録すると予想されている。

最初に業績を発表したカカオバンクは昨年、4401億ウォン(約461億円)の当期純利益を計上した。前年と比べて24.0%増加し、創業以来最大の業績を達成した。

上からケーバンク銀行、カカオバンク、トスバンク
上からケーバンク銀行、カカオバンク、トスバンク

ケーバンク銀行とトスバンクも同様の状況だ。ケーバンク銀行は2024年の第3四半期までに累積純利益1224億ウォン(約128億円)を記録。年間最高業績だった2022年の通年純利益(836億ウォン)を、第3四半期の時点で400億ウォン近く上回った。

トスバンクも2021年の設立以来、初めて年間黒字を目前にしている。昨年の第3四半期までに345億ウォン(約36億円)の純利益を計上しており、業界では事実上の年間黒字転換を達成したとの見方が強い。

インターネット銀行が好調を維持できた要因として、「貸出の成長」が大きく寄与している。家計向け融資を積極的に拡大し、利息収益を大幅に増やしたからだ。

特に住宅担保ローンを中心に融資を拡大し、安定的な収益源を確保した影響が大きい。昨年、より低い金利で住宅ローンを借り換えられる「住宅担保ローン借り換えサービス」が開始され、より有利な金利条件を提供するインターネット銀行が、市中銀行の借り手を大量に吸収することができた。

実際、金融監督院の金融統計情報システムによると、インターネット銀行3社の家計向け融資残高は、2023年9月の57兆7551億ウォン(約6兆473億円)から2024年9月には69兆5098億ウォン(約7兆2781億円)へと、1年間で約12兆ウォン増加した。

このうち、住宅担保ローンの残高は24兆953億ウォンから34兆4783億ウォンへと、約10兆ウォン増加した。

こうした流れを受け、住宅担保ローンはインターネット銀行の事業ポートフォリオの中核を占めるようになった。カカオバンクの場合、住宅担保ローンが総融資に占める割合は2023年末時点で23.5%に過ぎなかったが、昨年末には29.3%に増加した。

ケーバンク銀行では、昨年第3四半期末時点で48.3%に達し、総融資の半分が住宅担保ローンとなっている。まだ住宅担保ローンを取り扱っていないトスバンクを除けば、住宅担保ローンを中心とした「利ざやビジネス」がインターネット銀行の好業績に大きく貢献したといえる。

家計向け融資の鈍化が成長減速の兆しに

インターネット銀行が住宅担保ローンに依存する傾向が強まるなかで、副作用も生じている。融資を拡大する余地が減少したことで、成長が鈍化しつつあるのだ。

特に、政府が増加する家計債務を管理するために本格的な家計向け融資の引き締めを開始した昨年第3四半期を境に、状況が一変しつつある。

カカオバンクの場合、昨年第3四半期まで右肩上がりを続けていた営業利益が、第4四半期を境に減少に転じた。第4四半期の営業利益は1150億ウォン(約120億円)で、前四半期(1737億ウォン)と比較して600億ウォン近く減少した。

販管費などの各種費用の増加も影響したが、政府の家計融資管理の影響で融資成長のペースを調整したことが、営業収益の減少につながったと分析されている。カカオバンクの第4四半期の営業収益は7473億ウォン(約782億円)で、前四半期比0.13%の増加にとどまった。

住宅担保ローンを積極的に拡大してきたケーバンク銀行も、昨年第3四半期から貸出金利の上乗せ(加算金利)を引き上げるなど、政府の管理方針に沿った対応を取っており、同様の動向が見られると予想されている。

金融当局は、家計債務を一貫して安定的に管理する方針を維持するため、インターネット銀行が昨年のように爆発的に融資を拡大するのは難しい状況となっている。

このため、「インターネット銀行が本来の設立趣旨であるイノベーションと包摂金融をおろそかにし、利ざやビジネスにばかり集中しているのではないか」という批判の声も上がっている。

もちろん、インターネット銀行各社も様々な事業革新を通じて非利息収益源の拡大に奮闘している。カカオバンクの場合、プラットフォーム事業の収益が成長し、非利息収益の割合が昨年30%まで拡大した。さらにインターネット銀行3社は、いずれも一定割合以上の中低信用者向け資金を供給し、包摂金融の実現に向けた努力を続けている。

しかし、インターネット銀行のイノベーションと包摂性が不足しているという批判は、金融業界内外で依然として根強い。昨年、金融研究院の主催で行われたインターネット銀行発足7周年の中間評価でも、「イノベーションや包摂とは程遠く、住宅担保ローンに偏った営業スタイル」という指摘がなされた。

金融当局もこの問題を認識し、インターネット銀行間の競争とイノベーションを促進するため、第4のインターネット銀行の設立を推進している。中小企業や個人事業主向けに特化した銀行を前面に掲げた6つのコンソーシアムが、今年3月に許認可申請書を提出し、競争を繰り広げる見通しだ。

(記事提供=時事ジャーナル)

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