弾劾審判を前に、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の拘束が取り消されたことで、早期大統領選挙の可能性を見ていた政界に緊張感が高まった。
与野党の有力政治家たちはすぐに立場を表明し、それぞれ異なる反応を示した。
最大野党「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)代表が党指導部の意見を集約した後に立場を表明すると述べるにとどめた一方、与党関係者らは裁判所の決定を歓迎した。
3月7日、ソウル中央地裁・刑事合議25部(チ・グィヨン部長判事)は、「内乱の首謀者」容疑で拘束されていた尹大統領について、拘束取り消しを決定した。
尹大統領は、ソウル拘置所で手続きを経た後、ソウル・漢南洞(ハンナムドン)の公邸へ移動する見通しだ。1月15日に逮捕されてから51日、1月26日に拘束起訴されてから40日が経過している。
「共に民主党」は、尹大統領の拘束取り消し請求が認められると、直ちに緊急最高委員会と議員総会の召集命令を出した。
李在明代表は同日、国会議員会館で開かれた「党ゲーム特別委員会」の発足式に出席した後、緊急会議に向かった。
李代表は、最高委員会の会場に向かう途中、記者団から尹大統領の拘束取り消しについて問われると、「我々も正確な状況を把握できていないため、緊急の最高委員会を開き、意見を収集した後に立場を表明する」と述べた。
与党の有力政治家たちも相次いで立場を表明した。
オ・セフンソウル市長はこの日、国会で開かれた改憲討論会で記者団に対し、「非常に望ましい決定が出た」と述べ、「今後、本格的に様々な裁判が行われることになるが、海外から見た韓国の地位や国格もある」と語った。
また、「以前から主張していたように、証拠隠滅の懸念はすでにすべて立証されており、逃亡の恐れもない。したがって、当然、不拘束のまま裁判を受けるのが適切であり、正しい」と付け加えた。
ホン・ジュンピョ大邱(テグ)市長は、「弾劾も当然棄却されるべきだ」と主張した。
ホン市長は、フェイスブックを通じて「これまで一貫して尹大統領の拘束は違法であり、拘束を取り消すべきだと主張してきたが、それを認めた裁判所の決定に深く感謝する」と述べ、「公捜処長と検察総長、ソウル高検長は違法捜査の責任を取り、直ちに辞任すべきだ」と強調した。
ハン・ドンフン前「国民の力」代表も「法は万人の前に平等でなければならない。大統領だからといって不利益を受けるべきではない」と述べ、裁判所の決定に共感を示した。
ハン前代表は尹大統領に向け、「これまで心身ともに相当な負担があったと思う。健康に気をつけながら、十分に防御権を行使できることを願う」と述べ、「裁判所が手続き上の問題があると判断したならば、拘束取り消しは当然だと思う」と語った。そのうえで、「混乱を招いた公捜処は廃止されるべきだ」と主張した。
「改革新党」のイ・ジュンソク議員も、公捜処と検察の不適切な対応を指摘した。
イ議員はフェイスブックで、「拘束後の逮捕適否審査期間の算入に関する検察の手続き上の誤りにより、尹大統領の拘束が取り消されたようだ」とし、「公捜処に関する法令の不備などが指摘されている以上、公捜処の存在自体が問題になっている」と指摘した。
また、「裁判所の判断は尊重されるべきだが、このような重大な事案に対する公捜処と検察の不適切な対応は非常に遺憾である」とし、「こうした混乱を引き起こした責任者である検察総長と公捜処長は、速やかに進退を表明すべきだ」と述べた。
ユ・スンミン元議員も公捜処の強引な捜査と職権乱用を批判した。ユ元議員は「大統領に対する公捜処の捜査は、当初から捜査権に関する問題があったにもかかわらず、公捜処が強引に捜査を進め、職権乱用の罪で立件した後、内乱罪で起訴した」とし、「検察も拘束期間を守らず、手続き上の欠陥があった」と指摘した。
さらに、憲法裁判所の一部手続きにも問題があったと主張した。
彼は、「憲法裁判所の弾劾審判でも、弾劾事由から内乱罪を除外した点や、ハン・ドクス代行に関する弾劾審判の争点である議決定足数の問題を放置した点など、手続き上の欠陥が多かった」と指摘した。続けて、「今からでも、こうした重要な問題について、検察の公訴維持と裁判所の審理、憲法裁判所の決定が、法と原則に一切の偏りなく進められなければならない」と強調した。
(記事提供=時事ジャーナル)
■「弾劾は棄却される。尹大統領は復帰後、改憲して途中退任する」と大統領室高官
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