尹錫悦(ユン・ソギョル)前大統領が罷免され、ソウル龍山区漢南洞(ヨンサング・ハンナムドン)の官邸を離れなければならない状況に置かれた。
これにより、尹前大統領夫妻がかつての自宅であるソウル瑞草区(ソチョグ)の高級マンション「アクロビスタ」に戻るとされ、警護レベルなどに関心が集まっている。
4月7日15時ごろ、本サイト提携メディア『時事ジャーナル』記者がアクロビスタ内で出会った住民たちは、尹前大統領の復帰にほとんど沈黙を守っている様子だった。
複数の住民に質問したが、いずれも返事を断られた。それだけ、尹前大統領の居住問題によって住民たちが疲弊している様子が伺えた。
尹前大統領が2022年3月10日の第20代大統領選挙で当選した際、アクロビスタは大統領警護処による最高段階警護「甲号(カプホ)」の対象となった。その一環として、アクロビスタ内のエレベーター1基が尹前大統領専用として使われたとされる。
青瓦台警護室出身で、朴槿恵(パク・クネ)政権時代に青瓦台公職機関秘書官室の行政官として勤務するなど警護処事情に詳しいとされるパク・グァンチョン元警正は同日、MBCラジオ『キム・ジョンベの視線集中』に出演し、「(尹前大統領が)当選人だった時期には、近隣住民たちが多く理解してくれていた」「尹前大統領がエレベーター1基を専用で使用していた」と述べた。
続けて、「当時は住民たちが理解してくれたが、(今も)それをすべて受け入れてくれるだろうか」「通常は任期を終えて復帰すれば歓迎式も行うが、今はそのような雰囲気ではない」と語った。
尹前大統領が受けることになる警護レベルについて、パク元警正は「前大統領の警護のためには、前大統領の居住地と同じ敷地内に警護棟が設置され、警護員の待機場所、前大統領、前大統領夫人それぞれの別途空間も準備されなければならない」「管制のための独立したCCTV(防犯カメラ)と、尹前大統領夫妻の警護を専門で担当する人員が24時間、20人規模で配置される」と説明した。
さらに、パク元警正は「アクロビスタは共同住宅なので警護の脆弱性が多く、さまざまな問題がある」「実質的に最も良い警護方法は、警護CP(指揮所)を尹前大統領の隣家に作ることだが、隣家で許容するかは疑問だ」と話した。
この日、大統領警護処はパク元警正のこのような発言に対し「事実と異なる一方的な主張」とし、「パク・グァンチョンが言及した警護関連の事項は、すべて現在の大統領警護処の警護システムとは関係がない」とすぐに反論した。
こうした状況でも、尹前大統領の復帰を否定的に考えない住民も一部いた。
アクロビスタの入居者であるA氏は記者に「尹前大統領がエレベーターを専用で使用していた時も不便ではなかった」「再び来て専用で使用しても不便ではない」と語った。
なお、尹前大統領は11日にソウル漢南洞の官邸から退去し、アクロビスタへ移動することがわかった。
大統領室関係者は「尹前大統領が官邸退去を準備している」とし、「ひとまず瑞草洞の自宅に移動した後、他の住居を探す可能性もあると理解している」と述べた。
(記事提供=時事ジャーナル)
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