ドナルド・トランプ米大統領が、海外で生産されたすべての半導体に対し、100%の関税を課す方針を明らかにした。
半導体は自動車と並び、韓国にとって対米輸出の主力品目の一つ。今回の発言は、韓国経済にも大きな波紋を広げる可能性がある。
8月6日(現地時間)、トランプ氏はホワイトハウスで行われたAppleの対米投資計画発表イベントに出席し、「我々は半導体に約100%の関税を課すつもりだ」と発言。すべての集積回路や半導体が対象になると明言した。
一方で、アメリカ国内で半導体を生産している企業、あるいは今後、アメリカ国内での生産を確約している企業に対しては、適用しないとも述べている。仮に生産を開始していない場合でも、アメリカに工場を建設中であれば除外の対象になるという。
要するに、「アメリカで生産される半導体には関税を課さない」という姿勢を強調した形だ。
トランプ氏は関税導入の時期については具体的に触れなかったが、前日のCNBCのインタビューでは、来週にも品目別の追加関税措置を発表する意向を示していた。この中で半導体や医薬品を対象とする可能性に言及しており、早ければ来週にも正式な発表が行われる可能性がある。
半導体は韓国にとって自動車と並ぶ代表的な対米輸出品目であり、関税措置が実際に発動されれば韓国企業への打撃は避けられない。韓国貿易協会や産業通商資源部のデータによれば、2023年における韓国からアメリカへの半導体輸出額は約107億ドル、日本円でおよそ1兆5800億円にものぼった。公的な統計では対米輸出全体に占める比率は約7.5%とされているが、実際には台湾など第三国を経由してアメリカに到達するケースも多く、実質的な比率はこれより高いと分析されている。
サムスン電子は現在、アメリカ・テキサス州オースティンの工場でシステム半導体を生産しており、今回の関税免除対象になる可能性が高い。一方、DRAMやNAND型フラッシュメモリといった主要なメモリ製品は、主に韓国や中国で生産されている。SKハイニックスも同様に韓国や中国に製造拠点を置いているため、これらの製品に関しては関税の影響を直接受ける可能性が高いとみられる。
韓国政府は7月30日にアメリカとの通商協議を通じて、半導体について「最恵国待遇」を得たと発表している。しかし、関税率が最終的にどの水準で設定されるかは不透明であり、引き続き注意が必要な状況だ。
一方、トランプ政権は現在、通商拡大法232条に基づく調査を進めている。これは、大統領が国家安全保障に脅威があると判断した場合に、輸入品に関税を課すことを認める法律で、今回の措置の根拠とされている。調査対象にはスマートフォンを含む多数のIT製品も含まれており、今後の動向次第では半導体以外にも影響が広がる可能性がある。
なお、半導体は1997年に締結された世界貿易機関(WTO)の「情報技術協定(ITA)」により、加盟国間では無関税で取引されることが原則とされている。今回の方針がこの国際協定にどのような影響を与えるのかも、今後の重要な争点になりそうだ。
(記事提供=時事ジャーナル)
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