最近、韓国スポーツ界ではいろんな変化が見られる。その一つが、スポーツ選手の間で起こっている「タトゥー(刺青)ブーム」だ。
ピッツバーグ・パイレーツで活躍している韓国人メジャーリーガー、カン・ジョンホは、左足首に自身の肖像のタトゥーを入れている。女性プロゴルファー、アン・シネの左足首にも星柄のタトゥーが。どうやら「スターになりますように」という意味が込められているそうだ。
他にもタトゥーを入れているスポーツ選手は、野球のヤン・ヒョンジョン、チョン・グヌ選手、サッカーのチャ・ドゥリ選手など、枚挙にいとまがないほど。
そもそも、儒教の名残のある韓国では、長らく刺青やタトゥーはタブー視されてきた。「親からもらった体に傷をつけてはならない」という意識があったからだ。今も、テレビでは芸能人に対する“タトゥー規制”が行われている。
それなのに、スポーツ選手たちの間でタトゥーブームが起きている理由は何か。
その一つは、「傷跡を隠すため」だ。カン・ジョンホの場合、子供の頃からずっと残っていた傷跡を隠すのが目的だったという。タトゥーのデザインを自分自身の顔にしたのは、特に好きな模様がなかったから。普通、タトゥーといえば動物や単語、文章などが定番なだけに、彼のタトゥーはメディアからも注目を集めた。
そしてもう一つの理由は「自己表現」。彼らはアスリートという職業柄、言葉ではなく身体で何かを表現することが多い。タトゥーはその一環で、個性を表す良い方法だと認識されているようだ。中には、お酒やタバコを我慢するかわりに、タトゥーをストレス解消の手段にしている選手もいるらしい。
また、韓国では不思議なことに、普通のテレビ番組と違ってスポーツ中継においてはタトゥー規制が行われていないとか。従って、わざわざカメラによく映つるほうの腕にタトゥーを入れる選手も増えてきたそうだ。
韓国では、選手たちのタトゥーについて賛否両論が起きている。
「子どもの教育に良くない。厳しく規制すべきだ」といった批判もあれば、「韓国もいよいよ個性を大切にするようになってきた」と歓迎する意見も。
世界を見渡しても、サッカーのメッシやネイマールなど、タトゥーを入れている選手は少なくない。韓国にもその流れがきているといった感じだろうか。
いずれにせよ、スポーツ界も時代とともに変化し続けるということ。次は何の“ブーム”が来るのだろう。
文=慎 武宏
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