何かと日本を意識する韓国テレビ業界がそれでも日本ドラマをリメイクしたがる理由

2016年07月16日 韓流
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韓国では近年、日本のドラマのリメイクが増えている。

古くは、酒井法子主演のドラマ『星の金貨』は2005年に『春の日』のタイトルでリメイクされて、最高視聴率30.5%を記録しているし、2007年には不朽の名作『白い巨塔』が同名タイトルでリメイクされた。

2015年には『LAIR GAME』や『深夜食堂』などがリメイクされるなど、その数は枚挙に暇がない。

なぜ韓国では日本のドラマがリメイクされるのか。

「今でも日本ドラマの版権を買いこんでいる韓国の制作会社は少なくない。日本ドラマのリメイク作品を売り出したい制作会社は以前からあったと思いますよ」

そう話すのは韓国でドラマ制作に携われる関係者だ。

日本ドラマには内容や設定だけなく意外な魅力も

同氏によると、日本のドラマは設定や脚本がユニークで面白いこともあるが、それ以外にも韓国側には意外な狙いがあるという。

(写真提供=SPORTS KOREA)ドラマ『その冬、風がふく』の制作発表記者会見

「韓国のドラマコンテンツ事業は、海外展開することで収益が見込まれるビジネスモデルになっています。中国や台湾、東南アジアにも輸出されているのは、周知の事実でしょう。

なかでも日本はダントツのトップクライアント。番組輸出総額で見ると、2位台湾の4倍以上です。 “日本ドラマ”の版権を買ってリメイク作品を作る人たちは、最初から日本へ逆輸入することを狙っているんじゃないでしょうか。日本で人気だった作品をリメイクしたほうが、拒否感を少なくできるはずですからね」

この関係者によると、日本ドラマの版権は「1話あたり約165万~約265万円。最近では少し高くなって約265万~350万円」で取引されているという。10話なら2600~3500万円というわけになるが、投資メリットは十分にあるという。

というのも、韓国ドラマ人気作の場合、1話あたり約3000万円が制作費として拠出される。リメイク作品を作るのなら、そのうちの約10%を版権に費やすことになるわけだが、それが成功への種になるケースもあるらしい。

日本への逆輸入でビジネス収益も増大

例えば『その冬、風が吹く』の成功だ。

もともとは広末涼子と渡部篤朗が主演した日本ドラマ『愛なんていらねえよ、夏』のリメイクである同作は、人気女優ソン・ヘギョと韓流スター、チョ・インソンの主演で2013年に韓国で放映。最高視聴率18.2%を記録したが、ビジネスでも大きな成功を収めた。

その数字を知って納得だ。

韓国メディアの報道によると、韓国制作会社が日本に版権使用料として支払ったのは約880万円。しかし、日本に逆輸入された際は1話あたり約1950万円の値がついたという。

ざっと計算しても総額で30倍以上で取引されたことになる。まさに、日本ドラマをリメイクして日本に売り込むという逆輸入に成功したわけだ。

ただ、日本ドラマをリメイクすれば無条件で逆輸入に成功するわけでもない。また、リメイクに奔走する制作会社やテレビ局に対して「“日本ドラマ”の翻訳専門制作会社たち」と批判するネット住民たちも多い。

リメイクはやはりリメイクに過ぎず、オリジナルコンテンツを凌駕することはないというわけだ。

日韓で増加するドラマ・リメイク。それぞれの国でヒットはしても、不朽の名作とまでにはならない理由が、そこにある。

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