世界中で旋風を巻き起こしているソーシャルARゲーム『ポケモンGO』。韓国にはまだ正式リリースされていないが、海外版のダウンロードしたユーザーが100万人を超えたらしい。
というのは、なぜか韓国の極一部の地域でポケモンが出現しており、SNSを通じて「あそこに行けばプレーできる」との噂が一気に広まったのだ。
その代表的な地域が、ソウルからバスで約2時間半の距離にある江原道・束草(ソクチョ)市。現在、韓国各地から『ポケモンGO』プレーヤーが殺到しており、「ポケモン名所」として脚光を浴びている。
観光客の誘致に長年悩んでいた束草市は早速、「ポケモンの聖地にようこそ」といったプラカードを掲げてゲームの活性化に力を入れているようだ。
イ・ビョンソン束草市長のFacebookプロフィールは、ゲームに登場するウィロー博士を真似て「イ博士」に変更された。
市長はポケモンボールを片手にドクターコートを着ている自身のキャラクターまで作り、実際にもキャラクターをコスプレして市内を歩き回っている。
『ポケモンGO』をマーケティングに利用しようとする企業も増えている。
例えば韓国電力公社は、公式Facebookに「韓国電力公社の束草研修院付近で強力なポケモン、“カメックス”が出没した」と掲載して自社をアピール。
韓国最大の通信機企業KTも公式Facebookに束草市内に存在する自社の無料Wifi区域のマップや、ポケモンが現れる場所を紹介している。
ネット通販サイト「G market」や「TMON」も、束草市の旅行商品を宣伝するためにゲームのロゴやプレー画面をそのまま使っている。韓国は今、まさに『ポケモンGO』マーケティング・ブームの真っ最中だ。
しかし、このような企業の『ポケモンGO』便乗ぶりに、国内では心配の声も上がっている。ゲームの画面やキャラクターを露骨に使っているほとんどの企業は、『ポケモンGO』の著作権に関する正式な契約を結んでいないのだ。
大手新聞『朝鮮日報』も、「誰でも『ポケモンGO』マーケティング、“著作権爆弾”爆発するか」と、警鐘を鳴らす。
記事の中で韓国のマーケティング関係者も言っている。
「多くの企業がゲームの人気に便乗しようとして、もっとも基本的な著作権の概念すら守っていない状況です」
ポケットモンスターの韓国内ライセンスを管理しているポケモンコリアの関係者によると、「協議なしにゲームの画像を使った企業に対して、警告の文書を送っている」らしい。また、「うまく改善されない場合、本社からは法律に基づいて対応する方針だ」とか。
韓国では近いうちに、著作権問題が大きな話題になりそうだ。
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