テレビ局の人気女性アナウンサーたちが雑誌のグラビア企画などに登場することが珍しくはない今日この頃だ。
韓国でもかつて、雑誌グラビアを飾って話題になった女性アナがいる。国営KBSのスポーツ専門チャンネル『KBS Nスポーツ』の元局アナだったチョン・イニョンだ。
彼女が表紙とグラビアを飾った男性誌は完売した伝説もあるほどだ。現在は独立してフリーアナとなり、タレント活動もしている。
ちなみに彼女が表紙とグラビアを飾った男性誌『MAXIM KOREA』は今月号でもスポーツ専門チャンネル『SBS SPORTS』で活躍し、“次世代スポーツ女神”と呼ばれるホン・ジェギョンをグラビアに起用。「タイトなワンピースで明らかになった“黄金の骨盤”」(『デイリーアン』)などと韓国のメディア各紙で報じられた。
このように韓国でも女子アナ、特にスポーツ女子アナたちが雑誌グラビアで人気なのだが、数年前までなら考えられなかったことでもある。
というのも、韓国で女子アナといえば「品行方正のキャリアウーマン」とイメージが強く、かつてはセミショートの髪型でニュースや教養番組の進行を務めるのが主な仕事だった。
プライベートを公開したり、グラビアを飾るなどはもってのほか。
かつて地上波3局(KBS、MBC、SBS)の若手女子アナがとある雑誌のグラビアを飾ったときには、「放送人として品位がない」として波紋を呼び、ちょっとした社会問題になったこともある。事態の収拾のために該当雑誌社と各テレビ局が謝罪したほどだった。
だが、近年は状況一変。日本同様にバラエティ番組やスポーツ番組を彩る女子アナが増え、個人プログを開設する女子アナや、マニアが集まるファンサイトも増えている。韓国でも女子アナのタレント化が進んでいるのだ。
ただ、誰もが女性アナウンサーになれるわけではない。
近年はケーブルテレ局のチャンネルが増えて、各チャンネルごとに独自にアナウンサーを採用しているため、その採用枠は増えていると言われるが、例えば前出のチョン・イニョンが最初に入社した『KBS Nスポーツ』の場合、公募すると800人を超える応募があり、その中から選ばれるのは毎年3~5人ほどだという。
地上波テレビ局のアナウンサーの競争倍率はもっと厳しく、「100倍」とも「1000倍」とも言われるほど。実際、“韓国の笹川友理”とも言われる若手人気アナのチャン・イェウォンは、190倍の倍率を勝ち抜いて民放地上波SBSの女子アナになったことで有名だ。
それでも韓国では女子アナ希望者が絶えず、人気も高い。まさしく日本に負けず劣らない韓国の女子アナ人気。国は違えど女性アナウンサーへの憧れと好感度は、日本ともあまり大差ないようだ。
(文=慎 武宏)
前へ
次へ