新型コロナウイルスの感染拡大に悩まされる世界のスポーツ界。そんななか、今年の韓国プロ野球KBOリーグでは、中南米の政治的リスクが春季キャンプの正常進行に支障をきたすと見られている。
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ハンファ・イーグルスのカルロス・スベロ監督、斗山(トゥサン)ベアーズのホセ・フェルナンデスがその例だ。
ハンファは1月18日、スベロ監督の入国が遅延していることを伝えた。指揮官がパスポートの配送問題により、来る2月1日の春季キャンプ開始日に合わせて韓国に入国できない事態が発生したのだ。
昨年、ハンファはスベロ監督のパスポート期限満了を事前に認知し、2021シーズン途中に再発給の手続きを進めた。結果、同年11月30日にパスポート発給が無事完了していた。
ところが、スベロ監督の母国ベネズエラ現地の行政状況によってパスポートの配送が遅れ、スベロ監督は未だパスポートを受け取れずにいる。そのため当然、入国スケジュールにも遅れが生じている。
ベネズエラは去る2018年の大統領選挙における不正選挙騒動によって、現在も現職大統領のニコラス・マドゥロ氏、暫定大統領のフアン・グアイド氏の2人が共存する体制が続いている。それ以前にも、経済難や独裁政権による腐敗で国家が政治・経済・社会的に大きな混乱に陥っている。
パスポート配送問題もこれらが影響しているとみられる。ハンファ側は「ベネズエラ外交部の正常的な行政手続きが遅延しており、パスポート発送を待っている」と説明した。
指揮官の入国遅延を受け、ハンファはダリル・ケネディコーチを監督代行に据えて春季キャンプを実施することを決定した。また、「現地ネットワークを最大限活用し、スベロ監督の入国案を多角的に模索する」と明かしている。
斗山のフェルナンデスはまた違ったケースだ。
発給されたパスポートの配送を待っているスベロ監督と違って、フェルナンデスはそもそもパスポートが発給すらされていない。
昨年にパスポートが満了することを適示に認知できず、急いで再発給を進めているが、フェルナンデスの母国であるキューバ国内での大規模な反政府デモによって、行政が円滑でない。
このため、アメリカでパスポート発給を進めようとしたが、新型コロナの影響で駐米キューバ領事館は閉鎖されてしまっている。
結局、フェルナンデスは直接母国に向かい、パスポート問題を解決することにした。今後、キューバ入国に必要な行政手続きが終わり次第、韓国行きの飛行機に搭乗する予定だ。同時に、フェルナンデスのエージェントもパスポート発給のため現地であらゆる努力を傾けている。
もっとも、本人が直接乗り出したからと言って、パスポートが春季キャンプ前までに発給される保証はない。
斗山の関係者は「パスポート発給過程自体は大きな問題はなさそうだが、春季キャンプ合流日程が遅れるのではないかという憂慮がある」と懸念を示した。
時ならぬラテンアメリカの政治的リスクが、韓国プロ野球の球団に思わぬ影響を及ぼしている。
(記事提供=OSEN)
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