どこでも成長し、切り取っても再び生えてくる。目立たない場所で密かに発生し、素早く拡散して深刻な被害を及ぼし、生態系を破壊する。
違法に流通するコンテンツを「毒キノコ」と呼ぶ理由がここにある。運営者が摘発され、違法サイトが閉鎖されても、類似サイトは絶えず登場し、ドメインを変えながら利用者を持続的に引き寄せる。
摘発も処罰も容易ではないなかで、流通されるコンテンツのジャンルはウェブトゥーン、ウェブ小説、映画、放送など幅広い分野に拡大している。最近人気のドラマ『ジョンニョン:スター誕生』とその原作ウェブトゥーン、シーズン2が公開されたNetflixオリジナルシリーズ『地獄が呼んでいる』、韓国文学を世界に広めたノーベル賞作家ハン・ガンの小説まで、違法サイトで消費されているのが現実だ。
闇ルートで流通する違法コンテンツが市場を荒らし、正当な収益源を失った韓国コンテンツの生態系が深刻な危機に陥っている。
11月9日、違法ストリーミングサイト「noonoo TV」の運営者が摘発された。その逮捕により、「noonoo TV」の閉鎖後に運営されていた違法ストリーミングサイト「TVWIKI」やウェブトゥーンの違法サイト「OKToon」も閉鎖された。
問題は、「摘発」と「閉鎖」にもかかわらず、違法なコンテンツの流れが止まらない点だ。「TVWIKI」はすぐにインターネットアドレス(URL)を変更してサービスを再開し、11月13日現在もアクセスとストリーミングが可能だ。
コンテンツ産業が成長するなかで登場した闇市場は、無料コンテンツを求めるトラフィックと違法広告収入によって規模を拡大してきた。「noonoo TV」(映像)や「バムトッキ」(ウェブトゥーン)に代表される違法コンテンツサイトのしぶとい存続力や、絶え間なく生まれる亜流サイトの存在が、韓国のコンテンツ産業を揺るがしている。
2016年から3年間、ウェブトゥーンを違法に転載した「バムトッキ」の月間訪問者数は3500万人に達した。運営者が著作権法違反で摘発され、サイトは停止したが、ウェブトゥーンプラットフォームや作家は「バムトッキ」によって7000億ウォン(約773億円)以上の損失を被った。
「noonoo TV」はNetflix、ディズニープラス、TVING、WavveなどのOTTプラットフォームで配信されているドラマ、映画、バラエティ番組を無料で提供し、利用者を急速に引き寄せた。サブスクリプションなしで最新コンテンツを見られる闇市場に人々が集まり、その影響はOTTプラットフォームにも及んだ。
業界は「noonoo TV」による著作権被害を約4兆9000億ウォン(約5400億円)と推定している。コンテンツの二次ライセンスや海外輸出を考慮すると、被害額はさらに膨らむ。
サイトが閉鎖された後も類似した営業は続いている。亜流サイトのトラフィックが合法プラットフォームのトラフィックを脅かしている。
国会・文化体育観光委員会に所属するカン・ユジョン議員室が8月に違法ウェブトゥーンサイト5カ所とウェブ小説サイト1カ所のトラフィックを分析したところ、総訪問回数は2億6000万回、ページビューは22億5000万ビューに達した。特に現在、代表的な違法ウェブトゥーンサイトとされる「ニュートッキ」が63%のトラフィックを占めていることが明らかになった。
違法サイトは大半が海外サーバーを利用しているため、取り締まりが難しく、運営者を特定することも容易ではない。
そのため放送通信審議委員会による接続遮断件数は、2021年の3517件から2023年には7176件に増加するなど、規制件数も増えているが、違法サイトが他の場所で再生されるスピードはさらに速い。遮断措置が取られると、一時サービスを中断し、ドメインを一部変更して再登場する手法だ。
「noonoo TV」は2023年4月、科学技術情報通信部がURL遮断に踏み切るとサービスを終了し、3日後にドメインを変えて「シーズン2」として再開した。「TVWIKI」も「tv51」のドメインが遮断されると、「tv52」「tv53」に変更して代替サイトを稼働させていた。
特に違法流通の中心にあるのはウェブトゥーンだ。キャプチャーなどを通じて簡単に複製でき、容量も小さいためサイトにアップロードしやすいという理由がある。合法プラットフォームの有料エピソードのウェブトゥーンを無料で読みたい利用者の需要が根強く存在している。
このように拡大した「違法市場」の規模も相当なものだ。韓国コンテンツ振興院によれば、ウェブトゥーンの違法市場規模は7215億ウォン(約796億円)に達し、合法的なウェブトゥーン市場規模(1兆8290億ウォン=約2019億円)の40%に近い割合だ。ウェブトゥーン作家のうち39.5%が自身の作品が違法共有サイトに掲載された経験がある。
韓国著作権保護院が2023年8月25日から10月18日にかけて、海外の違法流通サイトにおける韓国コンテンツの流通実態を調査した結果、ウェブトゥーンが2億3900万件、映画・放送などの映像コンテンツが1億1100万件流通していることが明らかになった。違法流通量全体のうち、2023年に放映・公開・連載されたコンテンツが30%以上を占めていた。
最新コンテンツの違法流通は、韓国コンテンツ産業にも悪影響を及ぼしている。コンテンツの売上だけでなく、輸出にも影響を与えるためだ。産業が盛り上がっているにもかかわらず、2023年の年間コンテンツ産業売上高は151兆585億ウォン(16兆6780億円)で前年より0.01%減少し、コンテンツ産業の輸出額も129億6295万ドル(約2兆48億円)で前年比2.1%減少した。
『地獄が呼んでいる』や『D.P. -脱走兵追跡官-』などを制作したClimaxスタジオのピョン・スンミン代表は、「特にウェブトゥーンや映画は違法に流通した場合、創作者の収益に大きな影響を与える分野だ。OTTの場合、プラットフォームの加入者減少といった影響を受けることもある」と述べ、「一部の作品がバイラルで正規プラットフォームに利用者を誘導する場合もあるが、違法に様々な作品が流通することでコンテンツ産業に打撃を与える事実は変わらない。政府レベルでの積極的な対応が必要だ」と指摘した。
コンテンツ制作会社や流通会社が違法流通を遮断するための方法を模索するのもそのためだ。
ウェブトゥーン専門プロダクションのコンテンツラボブルーのイム・ミンヒョク理事は、「違法流通に対する懸念は制作・流通会社に常に存在している。『バムトッキ』などを取り締まっても類似サイトが増え続けている状況」と語り、「制作の負担は大きいが、違法に作品が翻訳され、流通する可能性を根本的に遮断するため、余裕のある企業は複数言語で同時リリースしている」と述べた。
コンテンツラボブルーは現在、ウェブトゥーン『ネクロマンサー学園の天才召喚士』を韓国語、英語、日本語、タイ語などで同時リリースして連載している。
違法コンテンツを利用する理由は、やはり「お金」だ。
韓国著作権保護院の「2024年著作権保護年次報告書」によると、利用者の意識が明らかになっている。18.4%が違法な映画コンテンツを、15.4%が違法ウェブトゥーンを利用した経験があると回答した。「無料または安価だから」「希望する最新コンテンツを手に入れられるから」が主な理由で、「すでに多くの人が利用しているから」という理由も続いた。
映画の場合、20代と40代で20%以上の利用経験があったが、50代(17.5%)や60代(10.7%)でも違法サイトでコンテンツを視聴した経験が少なくないことが判明した。違法流通コンテンツが消費される現象は、全世代にわたっている。
違法コンテンツは「視聴」で終わらず、「共有」にもつながっている。ほとんどの人は作品名や「無料ウェブトゥーン」を検索して違法サイトにたどり着くが、友人や同僚から紹介されて訪れる人も多い。そのため、10人に3人が違法コンテンツサイトのリンクやウェブトゥーンの画像を共有している。
SNSやインターネットのブログコメントを通じてリンクを共有するケースが最も多く、USBなどを利用してコンテンツ自体をオフラインで共有するケースも20%以上あった。
すでに一部の利用者は、違法サイトを無料コンテンツサイト程度に認識している。しかし、ここには多くのリスク要因が潜んでいる。正当なコンテンツへの対価を節約する代わりに、違法な金を支援することになる場合もある。
違法コンテンツサイトの「金の流れ」は、賭博やアダルトサイトだ。賭博・アダルト広告を多数掲載し、無料ウェブトゥーンでトラフィックを誘導して収益を得る構造だ。業界関係者によると、違法サイトに掲載されるバナー広告の費用は1件あたり100万~300万ウォン(約11万~33万円)。「バムトッキ」はアダルトサイトや賭博サイトなどを広告し、不当な収益として10億ウォン(約1億1000万円)を得たことがある。
コンテンツを求めて訪れる人々を「闇のルート」につなぐ役割も果たしており、青少年保護の観点からも懸念がある。
実際に違法ウェブトゥーンサイトの利用者の32.3%が、有害サイトにアクセスした経験がある。アクセスサイトは、個人運営のスポーツ賭博や違法オンライン賭博サイトが67.3%、アダルトサイトが58.3%、アダルトグッズショッピングモールが44.7%だった(複数回答)。有害サイトにアクセスした人のうち、24.1%はアダルトコンテンツをダウンロードまたは視聴し、15.1%は違法賭博サイトで実際に賭博に参加していた。
違法コンテンツサイトとバナーを介してつながる賭博・アダルトサイトは、セキュリティが脆弱な場合が多く、ランサムウェア感染や個人情報漏洩などの被害を受ける可能性がある。
重要なのは利用者の意識だ。大衆が利用しなければ、トラフィックによる広告収益も発生しないためだ。
利用者の「合法的」なコンテンツ利用を奨励するため、著作権保護院と韓国漫画家協会に所属する作家たちが手を組んだ。ネイバー(NAVER)ウェブトゥーンの『最愛のそらまめ』のキム・インジョン、『剥製する時間』(原題)のイ・オン、カカオウェブトゥーンの『ヒロインの初恋を奪いました』のウンミン、『笑い』のスクスなどの作家がリレーウェブトゥーンに参加し、コンテンツ著作権保護のメッセージを伝えた。
著作権保護院は違法コンテンツサイトに対応するため、コンテンツプラットフォームなどと実務協議体を立ち上げ、協議を続けている。「バムトッキ」などによる被害が拡大した際には、業界関係者の意見を集約し、協力を強化しながらサイト閉鎖に大きな役割を果たしたという説明だ。
ネイバーやグーグルなど検索ポータルの協力を通じて違法サイト検索を遮断し、放送通信審議委員会にもモニタリング情報を提供している。
著作権保護院の関係者は「ほとんどの違法サイトは広告収入を基盤に運営されている。運営者の収益を減少させることが著作権侵害根絶に有効と考え、広告遮断措置を進めている」と述べ、「デジタル広告協会と協力して2023年には約4000件の広告を停止した」と説明した。
また、「コンテンツ保護技術を導入したいが、コスト面で困難を抱えている中小の零細コンテンツ制作会社のために、保護技術支援事業を通じてファイル流出を防止している」と伝えた。
(記事提供=時事ジャーナル)
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