最近の韓国プロバスケットボールにおける最大の話題は、高陽(コヤン)ソノ・スカイガンナーズのキム・スンギ監督の辞任だった。
キム前監督は、11月10日に行われたソウルSKナイツとのレギュラーシーズン第2ラウンドの遠征試合のハーフタイム中、選手を叱責する過程で暴言を吐き、さらにホワイトボード用の消しゴムを投げた。この消しゴムが当たらなかったため、濡れたタオルを振り回して、その選手の顔を打ったとされる。
泣き面に蜂で、キム前監督は病院で診断を受けたこの選手に電話で暴言を浴びせ、事態をさらに悪化させた。所属チームの高陽ソノは内部調査の結果、11月20日にKBL(韓国バスケットボールリーグ)に財政委員会の開催を要請。同日、KBLの「クリーンバスケットセンター」にも関連事項が報告され、調査が開始された。
この問題は大きな波紋を呼び、ファンの怒りを買った。
最終的にキム前監督は、11月22日に自発的に辞任し、指揮権を手放すこととなった。一方で、KBLは暴行疑惑に関する調査を続け、長い議論の末にキム前監督に対して2年間のKBL資格停止、高陽ソノに対して厳重注意の処分を下した。
暴行事件が発覚するまで、キム前監督はKBL最高の指揮官の一人と称され、指導者として全盛期を迎えていた。
安養(アニャン)KGC人参公社(現・安養正官庄レッドブースターズ)で2016-17シーズンの統合優勝、2020-21シーズンのチャンピオンシップ制覇を達成し、名将の仲間入りを果たした。高陽チームに移籍後も、高陽キャロットジャンパーズや高陽デイワンジャンパーズといった難しい状況下でチームをまとめ上げ、プレーオフ進出を果たした。
その指導力が評価され、高陽ソノ・スカイガンナーズの初代監督に選ばれたが、不祥事によってその輝かしい指導者キャリアに汚点が刻まれることとなった。
実は、韓国バスケットボール界における暴言や暴力は今に始まった問題ではない。現在ではかなり改善されているものの、以前は学生スポーツから実業団、さらにはプロまで日常的に発生していた。
実業団時代、あるチームがあまりにも強すぎたため、他のチームが意図的にラフプレーで挑発し、暴力行為を戦略として利用することさえあった。
大学リーグで活躍していたある選手が実業団の先輩選手による暴力的なディフェンスで大怪我を負い、キャリアを通じて苦しんだことはよく知られている。この出来事はテレビ中継中に発生したため、今でも映像がネットに広がっている。こうした暴力が暗黙のうちに容認されていたことがうかがえる事例だ。
実業団時代の名将と呼ばれた指導者の多くも、暴力や暴言を用いてチームを統率していた。「練習中によく転がすと、試合でもよく転がる」というブラックジョークが飛び交うほどだった。
男子選手に限らず、女子選手の間でも暴力が蔓延していた。髪を手に巻きつけて逃げられないようにし、拳や足で殴る、縄跳びを拳に巻いて振り回す、うつ伏せの状態で手の甲を靴で踏むなどの行為が横行していた。
現代の視点から見ると信じがたい事態だが、当時はそれが当たり前とされていた。暴力や暴言に耐えられず、早期に選手生活を諦めた者も少なくなく、引退後もトラウマに苦しむケースもあった。しかし、結果さえ良ければ大きな問題にはならず、「愛のムチ」として美化されることもしばしばだった。
こうした風潮はプロバスケの黎明期まで続いた。プロ化されたばかりで、実業団出身の指導者がそのままプロチームを率いるケースが多く、暴力やしごきが依然として存在していた。
当時の外国人選手たちは、常識外れの光景が目の前で展開されることに文化的なショックを受けることもあったという。ある外国人選手Kは、ファンに見応えのある試合を見せるため、機会があれば積極的にダンクシュートを試みたが、見栄を張っているとして先輩に平手打ちを受けたという。
もちろん、すべての指導者や選手がそうだったわけではない。暴力を嫌い、理解を通じたコミュニケーションを好む者も多かったが、当時はそうでないスタイルが問題視されることも少なかった。
それでは、海外の状況はどうだろうか。
アルゼンチン人とのハーフで元プロバスケ選手のキム・ミンス氏(42歳、ケソン中学校コーチ)は、慶熙(キョンヒ)大学に入学する前までアルゼンチンでバスケをプレーしていた。
アルゼンチンの状況について尋ねると、「暴力やしごきはほとんどないと考えていい。ただし、暴言については程度の差はあるものの、どの国にも存在するだろう。指導中に声を荒らげることはどうしても避けられない。言い方一つでも受け取る側によって感じ方が異なるため、どの国でも一定の問題にはなると思う」と述べた。
では、言うことを聞かない選手や教え子にはどう対応するのか。この質問に対しては、「一方的な指示ではなく、互いに積極的にコミュニケーションを図ることで問題を解決する文化だ。ひどい場合には監督と選手がもみ合いになることもあるが、最終的に合わないと判断されれば、その選手は試合に出られない。結果に対する責任は監督が負う」と答えた。
実業団とプロの両方を経験した元プロ選手のチョ・ソンフン氏(51歳)は、「引退後も様々な現場で指導者として活動してきて、今は時代が完全に変わったと実感している。暴力やしごきは以前からダメだったが、今では誰も許容しない。近年では結果だけでなく、過程も重視されるようになっている」と、変わりゆく韓国のバスケ文化について語った。
しかし、「暴力やしごきは当然許されないが、暴言に関しては難しい部分もある。侮辱や人格否定を伴うならもちろん暴言だが、少し叱責するだけで翌日には保護者から抗議が入る場合もある。スポーツ指導では常に冷静でいることは難しい。お互いに理解し、調整する努力も必要ではないか」との見解を示した。
多くの関心と努力により、バスケをはじめとする韓国スポーツ界から暴力や暴言は急速に消えつつある。しかし、一部からは指導者を変えるだけでは限界があるとの指摘も上がっている。
選手自身も自主的に努力する必要がある。全員が変化のために力を尽くすとき、世の中は変わっていく。
(記事提供=時事ジャーナル)
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