司法の公平性はどこへ? 李在明には許され、尹錫悦には許されない「証人尋問権」…韓国国民の不信感高まる

2025年02月08日 社会 #時事ジャーナル
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韓国で法官は、職業倫理が憲法に別途規定されている唯一の職種だ。

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「法官は憲法と法律により、その良心に従って独立して審判する(憲法第103条)」。それだけ裁判が重要であるということだ。

ところが最近、最高司法機関である憲法裁判所の「尹錫悦(ユン・ソンニョル)弾劾審判」は、法律に基づいておらず、個人の良心よりも集団のコードを基盤とした政派的な進行がなされているのではないかとの疑念を招いている。

もちろん、尹大統領側が政治的目的で疑念を作り出し、それを広めている側面もある。そうだとしても、多くの国民にその疑念が浸透しているうえ、尹大統領の罷免に賛成する人々のなかにも、憲法裁判所の一方的で拙速な進め方に問題を指摘する者が増えている。

尹錫悦大統領
(写真=写真共同取材団)尹錫悦大統領

1987年の民主化以降、司法の信頼がこれほど集中的かつ広範囲に揺らいだことはなかったように思われる。これは最高司法機関にふさわしくない憲法裁判所の異常な振る舞いとその構成が、自ら招いた部分が大きい。

李在明には許された「証人尋問権」

憲法裁判所は2月4日の裁判で尹大統領に対し、国会側の証人を尋問することを禁じた。

ムン・ヒョンベ憲法裁判所長代行は、「8人の裁判官の会議で決定された」と強調した。しかし、これは刑事訴訟法の「証人は…検事、弁護人または被告人が尋問する(第161条の2)」という、被告人の証人尋問権を定めた条項に反するものだ。

憲法裁判官たちが合意すれば、まるで何事もなかったかのように法律違反が許されるのだろうか。

尹大統領の証人尋問権の剥奪は、昨年、最大野党「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)代表が無制限に行使した証人尋問と対照的といえる。

「偽証教唆事件」の被告人であった李代表は、ソウル中央地裁刑事33部(キム・ドンヒョン部長判事)において、キム・ソンジン証人を執拗に尋問した。証人は「圧迫を受けた」とまで表現した。

最終的に1審では、キム・ソンジンによる「偽証」は認められたものの、李代表の「偽証教唆」はなかったとして無罪判決が下された。

李在明代表
(写真=李在明代表Instagram)

李代表に許された証人尋問が、尹大統領には許されないという不公平な扱いをどのように理解すればいいのか。このような不公平な事例が積み重なり、憲法裁判所の最終決定を国民が受け入れられなくなる事態が発生した場合、憲法裁判官たちはどのような責任を取るつもりなのか。

この日の裁判で、憲法裁判所が何かに追われるかのように証人尋問の時間を各45分に制限したことも納得しがたい。裁判官が審理過程で証言の方法に介入する例は見聞きしたことがあるが、そもそも最初から証言時間を制限する例は聞いたことも見たこともない。

「公正に見えること」が憲法裁判所を救う

拙速と適法性をめぐる論争で騒がしい「マ・ウンヒョク憲法裁判官候補の不任命」問題も同様だ。

マ・ウンヒョク憲法裁判官候補は、偏った理念に基づく判決で公正性に疑問を抱かせた「ウリ法研究会」出身の人物である。

そもそも憲法裁判所の裁判官8人のうち、3人が「ウリ法研究会」出身であり、偏向論争が絶えない状況で、急ぐ必要のないマ候補者の不任命問題をなぜ憲法裁判所があえて早急に判決しようとしたのか。

世論の反発が高まると、ひそかに判決日程を延期したが、それによって深まった憲法裁判所への不信を回復するのは容易ではないだろう。

裁判
(写真=Pexels)

先行する本質的な争点といえるハン・ドクス国務総理の弾劾が違憲かどうかを判断しないまま、唐突にマ・ウンヒョク憲法裁判官候補の問題を持ち出すという、滅茶苦茶な順序も状況を悪化させた。

憲法裁判所はなぜ理解しがたい行動を繰り返すのか。なぜ、自ら違法・不公正の泥沼にはまり込んでいくのか。

史上初めて現職大統領が拘束されたことで生じた憲政危機を早急に克服し、民心を速やかに収拾しようとする意図がないわけではないだろう。しかし問題は、その意図の純粋さを国民がすんなりと受け入れられないことだ。その意図が純粋だったとしても、あまりにも強引なスピード戦が繰り広げられている。

ついに憲法裁判所は「特定の政党、特定の政治家の早期大統領選挙勝利に加担する機関へと堕落したのではないか」という疑問に直面した。

意図も重要だが、本分こそが根本だ。裁判の本分を守る範囲内で、意図の純粋性が発揮されるのが正常だ。「裁判は公正であるだけでなく、公正に見えなければならない」という法格言がある。「公正に見えること」こそが、今の憲法裁判所を救う徳目だ。

(記事提供=時事ジャーナル)

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