自動車産業の発展や進化を一目で見ることができるモーターショー。韓国では1995年から「ソウル・モーターショー」が国内最大規模の総合産業展示会としてスタートしているが、近年は今ひとつ盛り上がらない。
例えば、昨年4月3日に行われた「2015ソウル・モーターショー」。世界自動車産業協会(OICA)からも公認されており、主催するソウル・モーターショー組織委員会も「今年は国内外32の自動車メーカーが参加し、計370台が展示される。そのうち世界初公開が7モデル、アジア初公開が9モデル、韓国初公開が41モデルと計57モデルの新車が発表される」と大々的に宣伝したが、実際に足を運んだ人たちの間では落胆する声が多かった。
というのも、世界初公開されたのはヒュンダイ、起亜(KIA)、サンリョン(双竜)、ルノー・サムスン、韓国GMなど国産メーカーばかりで、メルセデセス・ベンツ、BMW、アウディなどの世界的な自動車メーカーのワールドプレミア(世界初公開)があったわけではなかったのだ。
「アジア初公開」「韓国初公開」という謳い文句はあったが、実際にはすでにほかのモーターショーで公開済みのものばかりで、とある自動車ファンは「輸入車のニューモデルを楽しみにしていたが、高級ホテルの駐車場や江南(カンナム)の街並みに路駐されている車とさほど変わらなかった」と皮肉るほどだった。
しかも、モーターショーなのに自動車の魅力をまったく味わえないものになっていた。
メルセデス・ベンツ、BMW、アウディ、ランドローバー、ポルシェ、ベントレー、マセラッティなど、海外メーカーの展示車のほとんどがドアロック。新型車は当然としても、すでに販売中のモデルまでドアがロックされていて内装などを確認することもできなかったという。
「これなら街のディーラーに行ったほうがまだマシだった」という不満の声が上がったのは言うまでもないだろう。
ちなみにトヨタ、日産などはドアロックせずに開放ししており、ホンダはロボット“アシモ”を投入してさまざまなイベントを行うなど、日本車メーカーの評判は上々の様子だったが、ランボルギーニ、クライスラー、ボルボなどは出展すらしていなかった。
ただ、それがソウル・モーターショーの現実だと指摘する意見も多かった。
ただでさえ市場規模が日本や中国に比べて小さい上に、ヒュンダイなど国産車がシェアのほとんどを占める韓国に総力を注ぐほど、世界の自動車メーカーたちは無能ではないというわけだ。
実際、ランボルギーニ、クライスラー、ボルボなどはソウル・モーターショーには出展しなかったが、同月22日に開幕した中国・上海モーターショーには出展した。それどころか上海では10数台のワールドプレミアもあった。
ジェノバ、パリ、フランクフルト、デトロイト、ニューヨーク、北京などのメジャーなモーターショーと比べると知名度は落ち、OICA未公認の上海モーターショーにも及ばないソウル・モーターショー。
美しくセクシーで、ときに過激な露出も多いレーシングモデルたちばかりが話題になり、一部では「ソウル・モーターショーではなく、ソウル・モデルショーだ」とも皮肉られる始末だった。
韓国ではこの「ソウル・モーターショー」と「釜山モーターショー」がそれぞれ隔年開催となっており、2016年は6月3日から12日まで「釜山モーターショー」が開催されることになっている。
はたして釜山もソウルの二の舞になってしまうのだろうか。
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