増加する“非婚化宣言”女性、歯止めの利かない韓国少子化問題の裏側

2021年08月29日 ライフ
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近年、韓国では生涯結婚しないと宣言する“非婚化宣言”を出す女性が増えている。

実際、日本でも馴染み深いK-POPガールズグループ少女時代メンバーのサニーの“非婚化宣言”に始まり、人気女優ムン・グニョンなど、独身・非婚主義を表明する著名人も多い。

こうした事態は、オンライン上の検索ワードにも反映されている。

グローバルビッグデータ研究所は、2018年7月1日から2021年6月30日までの3年間、ニュースやオンラインコミュニティ、インスタグラム、YouTube、企業や政府など、大手オンラインサイト22万を対象に、“非婚化”のキーワードでのオンライン投稿数の集計データを公表した。

データによると、“非婚化”というキーワードは、2018年7月から翌年6月まで13万793件だったのだが、2019年7月から翌年6月では、15万9649件に増加したという結果が出た。

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また、同研究所によると“非婚化”を表明している割合は、男性が23.1%であるのに対して、女性は76.9%になることも明かした。

当然、これらはインスタグラムやフェイスブックなど、自身の身上をオンライン上に投稿している人に限られるデータだが、“非婚化”に興味をもつ女性が増えているのは、まぎれもない事実だ。

※写真はイメージであり本文とは関係ありません

こうした事態は、韓国の人口減少問題にも繋がっていく。

実際、韓国統計庁が公表している「2020婚姻離婚統計」によると、2020年の婚姻件数は21万4000件で、前年より2万6000件、10.7%の減少が見られている。

それに伴い、出生率も低下している。なんと、公表されている2020年の韓国の合計特殊出生率(一人の女性が一生に産む子供の平均数。以下、出生率)は、0.8とG20国家間で最も低い数字となった。

実際、韓国は2010年から2020年の間に出生率が1.23から0.84と32%減少したが、これはG20と主要国の中で最も急減少した結果だ。

ちなみに、代表的な高齢化国家といわれた日本は、2010年から2020年に出生率1.38から1.35と、およそ2%の減少にとどまった。

韓国ではコロナ禍による不安や不動産価格の高騰等が原因で若者が結婚に踏み出せず、未婚化・晩婚化が加速している。それに加えた“非婚化宣言”女性の増加。まさに、泣きっ面に蜂と言える。

たしかに、韓国では儒教の影響から男尊女卑の思想が根底に根付いているが、近年ではそうした思想も薄れはじめ、自立を掲げる女性も少なくない。“非婚化宣言”もその一貫だと思うが、このまま結婚率が低下すれば回り回って、自分たちのクビを締める結果にもなりかねない。

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