韓国タクシー業界のシェア80%を手中に収めたカカオタクシーに募る不満

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韓国最大の無料通話メッセンジャーアプリ「カカオトーク」などを国内外に展開している韓国の最大手インターネット会社カカオは、2015年に子会社カカオモビリティを設立して、タクシー配車サービス「カカオタクシー」を開始した。

2021年8月の時点で、韓国国内のタクシー運転手の総数25万人のうち23万人がカカオタクシーに加入し、アプリ加入者数は2800万人、月間利用者数(MAU)は1072万人(モバイルインデックス、7月末現在)と過去最大を記録した。これは、韓国内では5人に1人の割合でカカオタクシーを使っていることを意味する。

SKテレコムから分社化したティーマップモビリティとウーバーの合弁会社である「ウティー」がこの市場で唯一のライバルだが、カカオのシェアは80%を上回るほどで、その格差が大きい状況だ。

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市場の独占を許すことは大きな問題につながる。それが、同サービスに加盟しなければ、まともに客を乗せるのも難しくなるということだ。利用客の多くがサービス利用可能な車両に乗るのが当たり前となっているため、タクシー運転手は有料プランに加入せざるを得ないのだ。

ちなみに、加盟プランもピンからキリまであり、優先的に配車指示を送る場合、売り上げの20%を手数料として取るプランまであるという。当然、こうした“搾取構造”に不満を持つ運転手も多い。8月22日には、5月から7月にかけて、乗客にカカオタクシー以外のプラットフォームを薦めたタクシー運転手33人が、カカオタクシー側から警告を受けたとタクシー業界からの告白で明らかになっている。

写真はイメージ

また、当然だが一般客がサービスを利用するにも呼び出し料などプラン別に利用料がかかるのだが、そこでも不満が爆発した。

8月2日、同アプリを通じてのタクシー呼び出しサービスの利用料が1000ウォン(約100円)から最大5000ウォン(約500円)にまで引き上げると発表されたのだ。距離や時間によって変動するため必ず最大料金になるわけではないが、それでも最大料金が5倍に引き上げられるのはやりすぎだ。

韓国内でも「いくらなんでも5倍はやりすぎ」「業界シェアを独占したからってこれはひどい」など、大きな反発が起きた。その結果、8月13日は現行の0~5000ウォンから0~2000ウォンへ再調整する事態となった。

カカオタクシーの普及によって、韓国内でも問題とされた乗車拒否や、不当な料金請求は格別に減少した。一方で市場の競争率は低下し、「カカオタクシーに登録しなければ、タクシー運転手をやることはできない」という状況にまでなったのは大きな問題だ。

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