岡山県がツキノワグマの狩猟について、県内の狩猟者に自粛を要請したという。
【注目】韓国の天然記念物“ツキノワグマ”、「多すぎる」の懸念
今年は熊の出没件数が前年を上回るペースで推移しているが、岡山、兵庫、鳥取県にまたがる「東中国地域個体群」の捕獲数の上限(120頭)を超えてしまうためだ。
人的被害が懸念されているなかで、この判断には様々な意見が出ている。
日本では環境省のレッドデータブックで絶滅の恐れが指摘されているツキノワグマだが、お隣・韓国では「天然記念物(第329号)」に指定されている。
ただ、天然記念物であるにもかかわらず、韓国ではツキノワグマの多くが現在地を把握できない状態だという。
国会・環境労働委員会に所属するイ・ヨンウ議員が環境部などから提出を受けた資料によると、智異(チリ)山などのツキノワグマ89頭のうち、位置追跡装置がつけられ作動している個体は32頭に過ぎないことが明らかになった。
つまり6割以上にあたる57頭の居場所がわからないのだ。
その57頭のうち、19頭は位置追跡装置がつけられてはいるが、バッテリー切れや機械が破損・脱落した状態だ。また38頭は、増殖させるために野生に放たれた個体が産んだ子供で、位置追跡装置が取り付けられたことのない個体だという。
問題は、学界などが智異山内の適正な個体数を56~78頭と見ており、野生のツキノワグマが多すぎるのではないかという懸念が出ていることだ。
実際に野生から生まれた個体が増加する状況まで加わり、ツキノワグマが事故で死んだり、事故を引き起こしたりする事態が続いている。
2005年から今年までに死亡したツキノワグマのうち、11頭が罠にかかるなどの事故で命を落とした。また、ツキノワグマが被害を与え、保険で処理された件数は2005年から今年までで588件となり、今年を除いた補償額は約10億2800万ウォン(約1億1400万円、572件)に上った。
韓国におけるツキノワグマの復元事業は、朝鮮半島の生物多様性の保全を目的として、2004年にロシアから導入した6頭を智異山に放したことをきっかけに本格的に始まった。つまり今年で20周年を迎えたわけだ。
日本でも韓国でもツキノワグマへの対策に変化が求められているかもしれない。
(文=サーチコリアニュース編集部O)
■車にはねられた野良猫を救助して…通報受け現場に駆け付けた韓国業者、その猫を殺害
前へ
次へ