約49億8000万円も使って“追悼公園”を作る?死者179人の韓国機事故と関連した造成事業、推進力失う

2025年01月11日 社会 #時事ジャーナル
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韓国の全羅南道が意欲的に推進している「チェジュ航空旅客機惨事」の犠牲者を追悼するための数百億ウォン規模の追悼公園造成事業に、注目が集まっている。

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連日の世論の批判により事業の勢いが弱まるなか、全羅南道知事が所属する政党からも強い批判が出ている。

今後の世論も否定的な方向に進む見通しで、追悼公園造成事業には赤信号が灯ったとの分析が優勢だ。一部では、推進力の低下により事業が停滞する可能性や、事業の再検討が慎重に議論される可能性も浮上している。

共に民主党まで知事を批判…異例の事態

最大野党「共に民主党」の全羅南道支部(全南道党)は1月9日、全羅南道がチェジュ航空惨事に関連する460億ウォン(約49億8000万円)規模の追悼公園の造成計画を発表したことに対し、正面から批判を展開した。

共に民主党が自党所属の知事が率いる広域自治体の行政を名指しで批判するのは、異例だ。

全羅南道・務安空港の待合室に設けられた旅客機惨事の弔問所
(写真=時事ジャーナル)全羅南道・務安空港の待合室に設けられた旅客機惨事の弔問所

全羅南道支部は同日午後、代弁人団の論評を通じて「航空惨事を機に、惨事の原因究明や被害者補償、全羅南道内の空港の安全対策を最優先とすべきだ」と主張。また、「1月6日に発表された全羅南道の『務安(ムアン)空港追悼公園造成』推進計画は、本末転倒の官主導による一方的な推進計画に過ぎない」と痛烈に批判した。

全羅南道支部は「航空惨事は決して忘れてはならない悲劇であり、それを追悼する空間は必要だ」としながらも、「惨事の原因究明、再発防止、被害者補償や支援といった緊急課題を解決した後、犠牲者や地域社会の声を反映して議論を経た上で推進するのが筋だ」と述べた。

また、「全羅南道が発表した7万平方メートル規模、460億ウォンの追悼公園造成計画は、実質的な慰労や再発防止対策よりも、大規模な施設建設に偏り、具体的な計画を欠いた事業だ」と指摘。「(全羅南道の計画は)犠牲者や地域社会の共感を得ることなく、官主導で一方的に推進されているという疑念を拭えない。この場合、追悼公園の実効性を担保するのは難しい」と述べた。

さらに「設備が劣悪な地域内の空港の安全問題を根本的に解決せず、見せかけの事業に集中するのは、今回の航空惨事対策の本質とはかけ離れている」と強調した。

共に民主党がこのように即座に強硬な反応を示したのは、航空惨事の原因究明や再発防止対策の策定前に、税金で数百億ウォン規模の追悼公園を建設しようとする計画に対する批判的な世論の影響を受けたとみられる。

事故現場
(写真=時事ジャーナル)事故現場

実際、あるオンラインコミュニティでは、追悼公園の造成自体には共感しながらも、その適切性や緊急性については不適切だとする反応が多数を占めた。

「追悼公園に460億ウォンもかけるなら、国費ではなく、現在使用中の空港で危険箇所を全面調査して改善するのが先だ。それでこそ第二、第三の惨事を防げる」「慰霊塔や追悼公園を作ること自体は悪くないが、それが本当にこれほど緊急な問題なのか。何が事故の原因で、どうすればその痛みを癒せるのかを考えるべきだ」といった批判が寄せられた。

他にも、「先走りすぎでは」「再発防止のために航空関連に予算を使え」「追悼碑を建てる程度にして、遺族支援事業にお金を使え」といった意見も多かった。一方で、「犠牲者を追悼し、遺族を慰める純粋な努力を軽視してはならない」「早計な非難は控えるべきだ」といった擁護の声もあったが、ごく少数にとどまった。

さらに、中央党の立場からも、大統領弾劾をめぐる厳しい政局のなかで、自党所属の広域自治体首長が推進する「本末転倒した」事業が世論の反感を買えば、政局運営に大きな負担となるとの判断があったとみられる。

「追悼公園造成」事業に暗雲…重要な岐路に

先立って1月6日、全羅南道のキム・ヨンロク知事は記者会見を開き、「チェジュ航空惨事の特別法制定を推進する」と表明した。セウォル号や梨泰院(イテウォン)惨事のように特別法を制定し、惨事の遺族を支援するというものだ。

キム・ヨンロク知事
(写真=全羅南道)キム・ヨンロク知事

全羅南道は特別法が制定されれば、国費460億ウォンを投じて務安空港付近に7万平方メートル規模の追悼公園を造成する計画だった。追悼塔や遺族を慰めるための森や庭園、訪問者センターを整備する予定だ。

全羅南道の関係者は「セウォル号惨事や梨泰院惨事でも特別法を通じて追悼空間が造成された、あるいは造成中だ」とし、「チェジュ航空惨事についても特別法の制定を提案し、追悼空間を作るつもりだ」と説明した。

しかしキム・ヨンロクが強い意欲をもって発表した追悼公園造成事業は、重要な岐路に立たされたとの見方が強い。

事業推進過程で「頼れるはずの共に民主党」が否定的な立場を示したことで、基本的な手続きさえも不透明になった。一部では手続きの遅延や内容変更が取り沙汰されており、事業規模が大幅に縮小されたり、さらには存続そのものが危ぶまれたりする事態も懸念されている。

今後の展開がどうなろうとも、追悼公園造成事業は大きく推進力を失うだろうという見方が優勢だ。

(記事提供=時事ジャーナル)

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