韓国の全羅南道・潭陽郡(タミャングン)の郡守が有罪判決で辞職となり、地域社会に衝撃が広がるなか、郡守専用車の「無神経な駐車」問題が論争を呼んでいる。
潭陽郡庁の新庁舎裏にある専用駐車場で、高級ワゴン車が駐車スペース2台分を占有している写真が報道され、批判が集まったのだ。
この高級車は郡庁の1号公用車として使用されていたもので、郡守の権力に便乗し、特権的な扱いを受けているように映るという声が上がっている。
公開された写真には、黒のキア・カーニバル Hiリムジンが2つの駐車スペースを独占する様子が写っていた。この車は、2月13日午前に最高裁判所の確定判決により、職を失ったイ・ビョンノ(64)前潭陽郡守が使用していた専用車両だ。
郡守1号車は、イ前郡守の就任翌年に約8000万ウォン(約847万円)で新たに購入されたものだった。
「専用車両駐車区域」と書かれたこの場所には4台分の駐車スペースがあり、郡守と副郡守の車両用に確保されているため、公務員や一般の訪問者の駐車は制限されている。副郡守の車も同様に2台分の駐車スペースを占有していた。
郡庁を訪れたある市民は、「郡守と副郡守の専用車両の特権駐車は、この日だけでなく普段から繰り返されている」と語った。
この写真を見た市民の間では、「運転手が停めたとしても、郡守や幹部が注意すべきだった」「まさか今でもこんな権威主義的な儀礼が残っているとは思わなかった」といった批判が相次いだ。一方で、「先に建物に入っていたなら、郡守は駐車場での出来事を知らなかったかもしれない」「運転手のミスであり、郡守が責められるべきではない」と擁護する声もあった。
職務を失った郡守の専用車両は、翌日の午前まで同じ状態で駐車されていたが、本誌が取材を始めると、急いで1台分のスペースに移動された。一方、副郡守の車両は、市民の厳しい視線にもかかわらず、依然として2台分のスペースを占有していた。
潭陽郡の関係者は「郡守は庁舎の正面玄関で降車し、その後、運転手が不注意でこうした駐車をしたようだ。結果として市民の皆様にご迷惑をおかけし、申し訳ない」と説明し、専用車の運転手の責任であることを強調した。
潭陽郡の説明にもかかわらず、市民の間では「無神経な駐車」「特権駐車」との批判が続いている。特に、市民中心の行政を掲げてきた郡庁幹部の権威主義や特権意識を非難する声が高まっている。
こうした特権駐車の慣習は、郡守や郡庁幹部にとっては些細なことかもしれないが、市民の目には「郡守の権力を利用した特権階級の振る舞い」と映っているという指摘だ。
住民のイ・ヤンス氏(仮名・58)は「郡庁を訪れるたびに駐車スペースがなく苦労しているが、一方で高級公用車が広いスペースを独占しているのをよく目にする。市民の模範となるべき郡守が、自ら特権駐車をしているのは、権威と特権意識に囚われている証拠ではないか」と不満を漏らした。
また別の住民、キム氏(67)は「最近、郡庁の駐車場で2周回ってようやく狭い駐車スペースに停めたことがある。高官の車両は特別扱いされるべきだという意識が、郡の行政を腐敗させる要因になっている。特権駐車は些細なことに思えるかもしれないが、郡庁の幹部たちの市民に対する姿勢を象徴している」と指摘した。
続けて「郡守自身が専用駐車スペースを設けるよう指示したわけではないと主張するかもしれないが、今回の問題は、市民よりも自身の利便性を優先していることを示している。4月の再選挙では、市民を重視するリーダーシップが求められる」と述べた。
なお、イ・ビョンノ前潭陽郡守は2月13日、最高裁で1・2審の判決が維持され、当選無効となる罰金500万ウォン(約53万円)の判決が確定し、郡守職を失った。
イ前郡守は、公職選挙法違反の疑いで共に捜査を受けた共犯8人のために弁護士を代理で選任し、法律サービスを提供した容疑で起訴された。これは、選挙区の住民に対する寄付行為が発覚し、選挙運動員らが捜査を受けることになった際に、イ前郡守側が弁護士を手配したものだった。
(記事提供=時事ジャーナル)
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