これから、国民の時間が始まる。韓国で6月3日に予定されている早期大統領選挙が持つ意味は、これまでとは明らかに異なる。
【注目】“1000日天下”に終わった尹前大統領…自滅するまで
民意が今回の大統領選挙でどのような判断を下すかによって、韓国の運命は大きく変わることになる。
実際、尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領に対する弾劾訴追案が可決された後、政界では「憲法裁判所の第一次判断よりもさらに重要なのは、国民が下す第二の審判である大統領選挙だ」という声が広がった。
2017年の国民の審判は断固としていた。朴槿恵(パク・クネ)元大統領の弾劾後に行われた早期大統領選挙で、文在寅(ムン・ジェイン)元大統領(41.1%)は、当時の「自由韓国党」(現・国民の力)候補であるホン・ジュンピョ(24.0%)を、約2倍の得票差で破った。
朴槿恵元大統領の弾劾訴追で、「セヌリ党」(現・国民の力)の議員128人のうち半数近くが賛成票を投じ、その後、自暴自棄のような状態で戦った選挙だった。
だが、当時と今では状況がまったく異なる。保守も結束している。8年前とはまったく異なる現在の保守勢力の動きは、再び「壊滅」を経験することは許されないという意思の現れであるとの分析が多い。
まだ表面化していない民意は、はたして何を思っているのか。
バラの季節の大統領選を分ける核心の変数としては、①与党の大統領選予備選(中道層を取り込める候補が出てくるか、保守を再結集する予備選になるか)、②保守系勢力の候補一本化(分裂を防げるか、イ・ジュンソク改革新党議員との一本化が実現するか)、③有力候補たちの司法リスク(李在明代表に残された裁判と、与党に降りかかるミョン・テギュンリスク)などが挙げられる。
まずは、弾劾後に行われる世論調査によって民意の方向性を推し量ることができそうだ。
政局が大統領選の局面に突入したことで、これまで沈黙していた中道層が票の意志を示すのか、示すとすればその票が誰に向かうのかに、政界の関心が集まっている。
まずは弾劾直後の世論調査結果がどう出るかが、与党「国民の力」の候補が誰になるのかを占う最初の手がかりになる見通しだ。
これまでのところ、最大野党「共に民主党」の李在明代表(イ・ジェミョン)との仮想一騎打ち調査では、キム・ムンス雇用労働部長官が最も競争力を示しているが、中道層が積極的に意思表示を始めた場合、各大統領候補の支持率に変化が生じる可能性もある。
中道拡張性を備えた与党側の大統領候補としては、ハン・ドンフン前「国民の力」代表、オ・セフンソウル市長、ユ・スンミン元議員などが挙げられる。
「国民の力」としては、大統領選の予備選こそが事実上、最後に巻き返しを狙える唯一のチャンスであるという評価もある。弾劾への賛否をめぐって内戦レベルの内紛を経験している与党が、もし大統合と手に汗握る予備選を実現できれば、逆説的にそれだけ大きな注目を集めることになるからだ。
李在明代表が独走する「共に民主党」の予備選は安定しているが、その分、ドラマ性には欠ける。現在の与党の対立状況を見ると、可能性は低いが、低い分だけ逆転のドラマが大きく描かれる余地もある。
与党側にとっては、イ・ジュンソク議員との保守陣営の一本化が実現するかどうかも、重要な変数だ。進歩陣営は、「祖国革新党」や「進歩党」が独自に大統領候補を擁立したとしても、最終的には「共に民主党」と進歩系の一本化が成されるだろうとの見方が支配的だ。
イ・ジュンソク議員の支持率が意味ある水準まで上がってくれば、「国民の力」としては何としてでも「李在明 vs 反・李在明」の一本化構図を作らなければ勝率を上げられないため、イ・ジュンソク議員との一本化に全力を傾けると見られる。
イ・ジュンソク議員側としても、「国民の力」が「共に民主党」に惜敗した場合、自身に矛先が向くことを警戒し、最後まで一本化を天秤にかけるとの見方もある。
李在明代表は、公職選挙法控訴審で無罪判決を受け、大統領選への道で最大の障害を乗り越えた。これにより、司法リスクを根拠に候補交代論を口にしていた非・李在明系の声を封じ込めただけでなく、中道・保守層に向けた外延拡張にも勢いがついている様子だ。
しかし、まだ乗り越えるべき山はある。公職選挙法事件の最高裁の判断時期が新たな変数になる可能性があり、偽証教唆・対北朝鮮送金疑惑など他の事件に関する裁判によって司法リスクが再燃する可能性も指摘されている。
尹前大統領の弾劾に対する民意のバロメーターとされた4月2日の再・補欠選挙の結果は、与党の惨敗だった。基礎自治体長5カ所のうち、「国民の力」が勝利したのは地盤とされる慶尚北道・金泉市長選のみで、「共に民主党」が3カ所、「祖国革新党」が1カ所で勝利した。選挙前は与党が4カ所、野党が1カ所を持っていた構図が完全に逆転したのだ。釜山市教育監の再選挙でも進歩系候補が当選した。
投票率は26.55%で、2017年以降の再・補欠選挙の中では最も低い投票率だったが、民意を読み取るには十分だったとの解釈もある。与党の牙城とされてきた慶尚南道・巨済(コジェ)市長を「共に民主党」候補に奪われたのは、「国民の力」支持層の相当数が保守を審判した結果と受け止められている。
非常戒厳と弾劾政局を見つめる嶺南地域の有権者の視点が反映されたという分析だ。
「国民の力」ユン・ヒソク報道官は、再・補欠選挙の結果について「ナ・ギョンウォン、キム・ギヒョン議員が(選挙遊説に)行ったが大敗した。チョン・ハンギル講師が釜山駅広場から全国を回ったが、むしろ逆効果になった。国民の力がこの方向に進むべきではないという、国民からの強烈な警告だと受け止めている」と述べた。
12月3日の非常戒厳以降、尹前大統領が司法的な危機に直面するたびに、支持率は逆説的に上昇傾向を見せてきた。保守の強硬支持層が結束した結果だ。
尹前大統領の罷免直後にも同様の現象が現れる可能性はあるが、一時的なものにとどまるだろうという見方が出ている。オム・ギョンヨン時代精神研究所長は「罷免後に似たような流れが出ることもあり得るが、尹前大統領の党内影響力は1週間もあれば消滅するだろう」とし、「(大統領選の局面に入れば)再び51対49の接戦になる」と予測した。
結局、大統領選の勝敗のカギは中道層が握っているという分析だろう。将来の政治指導者の好感度を問う世論調査では、中道層で李在明代表が圧倒的な1位を記録しているが、特定の人物を挙げなかった回答者も39%に達した。
韓国ギャラップが4月1~3日に全国の有権者1001人を対象に、「自分は中道寄り」と答えた層に対して、次期大統領にふさわしい人物を尋ねたところ、李在明代表が38%で最も高く、キム・ムンス雇用労働部長官が5%、ハン・ドンフン前「国民の力」代表が4%、ホン・ジュンピョ大邱市長が3%、チョ・グク前「祖国革新党」代表が2%、オ・セフンソウル市長、イ・ジュンソク「改革新党」議員、イ・ナギョン元国務総理はいずれも1%だった。
特定候補を挙げずに保留と答えた割合は39%で、10人中4人がまだ決めかねていることになる。与党関係者の間で、「李在明代表だからこそ勝負になる選挙だ」と語られているのも、こうした中道層の未決定票が大きな割合を占めているためだ。
これにより、「国民の力」が中道層への拡張性を備えた候補を立てた場合、未決定の中道層を吸収できるという分析がある。チェ・ジン京畿大学政治専門大学院教授は、「親・尹錫悦系が党の主流を占めているが、大統領選では親尹候補では絶対に中道層の支持を得られないだろう」と語った。
政治評論家のパク・サンビョンは「オ・セフン市長の存在感が最近かなり落ちており、最終的にはキム・ムンス長官またはホン・ジュンピョ市長とハン・ドンフン前代表が予備選で接戦を繰り広げる可能性が高い。ハン前代表は党内の人気はないが、国民的な人気が高いため、候補になる可能性は大きい」と述べた。
保守強硬支持層に引っ張られているとの批判を受けている「国民の力」の主流・親尹勢力が、大統領選よりも党内権力の掌握に集中しているという観測もある。
ポリコム(選挙コンサル会社)のパク・ドンウォン代表は「親尹中心でキム・ムンス候補を押し立てて、たとえ負けても党権を握る戦略を考慮する可能性がある」とし、「オ・セフンまたはハン・ドンフン候補が大統領選に出れば、たとえ敗れても(その後)党内で影響力を持つことになるが、親尹系はそれを許容しないだろう」と分析した。
キム・ムンス長官が中道拡張性の高い候補に「大きな譲歩」をして政治的な突破口を開く可能性も取り沙汰されている。元『中央日報』論説委員のキム・ジンは、CBSラジオのインタビューで「キム長官の選択にかかっている。中道拡張性の高い候補に席を譲り、自分は強硬支持層をなだめる役割に回れば、勝負は可能になるのではないか」と語った。
誰が与党候補になるかによって、イ・ジュンソク「改革新党」議員との候補一本化の可能性も変わってくると見られる。オム所長は「キム・ムンス長官が候補になれば、イ・ジュンソク議員も最後まで独自出馬を続けるだろうし、オ・セフン市長が候補になれば一本化の可能性が最も高い」と分析した。
さらに「現在の支持率は高くなくても、大統領選の局面では意味ある数字になる可能性がある。51対49の接戦になれば、イ・ジュンソク議員がキャスティングボートを握る存在となり得る」と述べた。
与党のある核心関係者は「キム・ムンス候補であっても、イ・ジュンソク議員との連携を試みるだろう」とし、「キム・ムンス長官は外見上は強硬に見えるが、柔軟な面もあり、イ・ジュンソク議員に手を差し伸べる可能性は高い」と語った。
パク・サンビョン政治評論家は、イ・ジュンソク議員が一本化なしで大統領選を戦った場合について、「3位、得票率15%程度であれば成功だが、それ以上は期待しにくいだろう」と見通した。
公職選挙法違反事件の控訴審で無罪判決を受け、「翼を得た」李在明代表を脅かす変数は、党内には実質的に存在しないというのが政界の大方の見方だ。それでも、国民の10人に4人が依然として司法リスクが解消されていないと認識している点は障害となる。
李在明代表の司法リスクに対する認識を問う世論調査では、「司法リスクは解消された」と答えた割合が50.2%、「解消されていない」は43.9%だった(メディアトマト調査、3月31日~4月1日、全国の成人男女1062人対象)。
パク・ドンウォン代表は「李在明代表の司法リスクは依然として存在する」とし、「また、手段を選ばず突き進むタイプの李在明代表が当選すれば、国家をどこに導いていくのかという『フォビア(忌避感)』も確実に存在する」と述べた。
(記事提供=時事ジャーナル)
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