韓国を代表する海苔の産地である全羅南道(チョンラナムド)では、数千トンもの生海苔がそのまま海に廃棄されている。
海苔の豊作により、加工工場が処理しきれないほど生産量が急増したことが原因だ。産地で水揚げされずに廃棄される状況は、しばらく続く見通しとなっている。
全羅南道の水産当局は、産地価格の適正な維持を目指し、政府に貯蔵事業の推進などを提案しながら、需給の安定化に向けた対策を模索している。
2月17日、全羅南道によると、1月末時点で全羅南道の産地卸売市場で廃棄された生海苔は5296トンに達し、全国で廃棄された生海苔(5989トン)の88.4%を占めた。
地域別では、珍島(チンド)が2285トンと最も多く、高興(コフン)で1733トン、海南(へナム)で800トン、莞島(ワンド)で240トン、新安(シナン)で158トン、長興(チャンフン)で80トンと続いた。
全羅南道などの水産当局によると、今年の生海苔の生産量が全羅南道内の海苔加工業者(265社)の需要を上回り、競りにかけられず、廃棄される生海苔が増えていると分析している。
韓国海洋水産開発院によると、2025年産の生海苔生産量は2月6日時点で25万2859トンとなり、前年同時期(21万6496トン)比で17%増加した。
生海苔の廃棄量が増えた背景には、2024年12月から海苔の生育に適した水温が形成されたことや、韓国内の生海苔・乾燥海苔の価格上昇による需給安定策として海洋水産部が新たに養殖場の許可を出したこと、さらには違法な生海苔養殖の横行などの影響で生産量が急増したことなどが挙げられる。
海洋水産部はこれまで新規の海苔養殖場の免許を制限してきたが、2024年は全国で2700ヘクタール(1ヘクタール=1万平方メートル)の新規海苔養殖場の造成を許可した。
これは海外市場での海苔の人気上昇による輸出量の増加や、日本での海苔の不作が重なり、韓国内の生海苔・乾燥海苔の価格が上昇したことから、需給を安定させる必要があると判断したためだ。
実際、全羅南道では既存の養殖場の再配置を除けば、新規の養殖場の許可は13年ぶりだった。養殖場の施設がすべて整えば、新たに造成される養殖場の面積(1658ヘクタール)はサッカー場約2335面分に相当する。さらに、需要を見越した違法・無許可の養殖場も急増し、生海苔の生産量増加に拍車をかけている。
生産量の増加に伴い価格は急落した。
今年1月の競り価格は、1袋(120kg)あたり8万9000ウォン(約9370円)となり、前年同時期の価格(19万8000ウォン=約2万円)の半分以下にまで下がった。
ただ、2月に入って需給が安定し、1袋あたり16万3000ウォン(約1万7000円)で競りが行われるなど、生海苔の価格も落ち着きを取り戻しつつあると全羅南道は説明している。
一方で供給量が多いにもかかわらず、乾燥海苔の価格は平年の1.5倍の水準を維持している。
韓国農水産食品流通公社(aT)によると、2月11日時点の乾燥海苔の価格は1枚あたり145ウォン(約15円)で、平年比55.5%、前年比31.9%上昇している。
全羅南道はこうした状況を踏まえ、生海苔の採取量を自主的に削減することで生産量を調整し、乾燥海苔の備蓄試験事業を推進するとともに、政府に対し、競り割当制度の導入、大規模保管倉庫の拡充による備蓄事業の推進など、価格安定策の実施を要請した。
国会農林畜産食品海洋水産委員会のソ・サムソク議員は最近、海洋水産部に対し、海苔などの主要養殖品目を「備蓄事業」に追加し、過剰生産時に一定の費用を支援する需給安定制度の導入を提案した。
海洋水産部は生海苔の廃棄を減らし、安定的に供給するため、一部の全羅南道の生海苔養殖漁家を対象に契約栽培を試験導入する方針を地域の漁協と協議中だ。
先立って2024年4月、海洋水産部は海苔の需給安定策の一環として、果物のように契約栽培品目に指定する案を検討したが、最終的に導入はしなかった。
韓国内で最も生海苔の廃棄量が多い珍島郡は、価格下落に苦しむ海苔養殖漁民を支援するため、緊急対策を実施する。珍島郡は、生海苔の廃棄支援金として、珍島郡水協の3億ウォンを含む5億9000万ウォン(約6200万円)を緊急支援すると発表した。
郡は、過剰生産により競りにかけられず廃棄される生海苔に対し、1袋あたり最大4万ウォン(約4200円)を支援する。また、違法施設の取り締まりや、海苔施設量の20%自主削減も進める方針だ。
さらに、海苔の需給調整のため、乾燥海苔の政府備蓄買い取り事業や乾燥海苔加工工場の設備費支援などを海洋水産部に要請した。
海南郡も急落した生海苔の価格安定策の準備に乗り出した。海南郡の2025年産生海苔の生産量はこれまでに3万301トン、金額にして493億ウォン(約52億円)余りとなり、前年同期比でそれぞれ27%、38%増加している。
しかし、全国的な生海苔の生産量増加に伴い競り価格が下落し、これまでに約800トンの生海苔が海に廃棄された。
海南郡では独自に海南郡水協と連携し、生海苔が競りで売れ残った場合、1袋あたり最大4万ウォンを支援する「生海苔出荷調整支援事業」を推進している。
ミョン・ヒョングァン郡守は「漁民の被害を最小限に抑え、生海苔の出荷調整事業の拡大を通じて価格を安定させるため、水協や郡議会と緊密に協議していく」と述べた。
(記事提供=時事ジャーナル)
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