新型コロナ感染拡大の影響で増加した無人店舗。当初は非接触・非対面の需要から導入が進んだが、コロナ収束後も大幅に減少することはなく、人手不足の解消やコスト削減、混雑回避、営業時間の拡大といった利点から、現在も多くの企業が導入を続けている。
こうした流れは韓国でも同様で、初期投資の低さや人件費削減のメリットに惹かれた経営者の参入が相次いでいる。
韓国では、アイスクリーム店や文具店を皮切りに無人店舗が広がり、カフェやデザート店、惣菜店などを経て、最近ではペット用品店や体育施設にまで業種が多様化している。
消防庁の資料によると、2024年3月時点で韓国内には計6323の無人店舗が運営されている。しかし、流通業界の推計では、消防庁の統計を大きく上回る約10万店以上の無人店舗が全国で営業しているとされる。
無人店舗の最大の問題点は、最大のメリットでもある「店員が不在」であることだ。店員がいないため、窃盗や財物損壊、ゴミの不法投棄などが横行し、犯罪の温床となるケースも多い。
最近も、深夜に無人カフェの店舗へ入店したカップルが、店内の電気を消し、持参したノートパソコンで映画を鑑賞した後、夜明けにタクシーで帰宅したというニュースが報じられ、物議を醸した。
この報道を受け、韓国のオンライン上では「必ず損害を補償させるべき」「モラルの欠如が恥ずかしい」「これが今の韓国の現実か」など、厳しい意見が相次いだ。
なお、韓国では無人店舗で代金を支払わなかった場合は「窃盗罪」、2人以上が共謀したり凶器を所持したりして犯行に及んだ場合は「特殊窃盗罪」、店内の物を破損した場合は「財物損壊罪」、無人店舗を占拠し他人の出入りを妨げた場合は「業務妨害罪」に該当する。
韓国警察庁によると、無人店舗の増加に伴い、無人店舗で発生した窃盗件数も増加の一途をたどっている。2021年(3~12月)は3514件、2022年は6018件、2023年には1万847件にまで増えた。
人件費の削減は経営者にとって当然の選択肢だが、「人がいない」ことが生むリスクについても慎重に考慮する必要があるだろう。
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