詐欺による被害額が約3兆円に増加した韓国 新手の詐欺が増加したことで検挙率は下落傾向に

2025年09月10日 社会 #時事ジャーナル
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韓国における詐欺犯罪による被害額が2024年、実に28兆1353億ウォン(約2兆9895億円)に達したことが明らかになった。

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近年、金融や通信の発達に伴い新種の詐欺が増加し、被害額も増える傾向にある。

大規模投資や不動産詐欺など高額被害事件は増えている一方、証拠確保や犯人検挙はますます困難となり、警察の検挙率が下落しているとの指摘が出ている。

韓国国会の行政安全委員会が発表した2024年度予算決算報告書によると、警察庁が2019年から2024年まで集計した詐欺犯罪による総被害額は155兆5415億ウォン(約16兆5260億円)に達した。

年別に見ると、被害額は増加傾向を示している。

2019年には24兆2114億ウォン(約2兆5724億円)だった被害額が、2020年には40兆3480億ウォン(約4兆2869億円)へと急増。その後、2021年は15兆844億ウォン(約1兆6026億円)、2022年は29兆2487億ウォン(約3兆1076億円)、2023年は18兆5137億ウォン(約1兆9670億円)と変動したが、2024年は28兆1353億ウォンに達し大幅に増加した。これは2019年比で16.2%の増加にあたる。

詐欺犯罪の被害額統計は、不送致件を含むすべての受付事件の被害額を合計したものだ。

警察
(写真=サーチコリアニュース編集部)

韓国警察庁は、詐欺犯罪を「10大悪性詐欺」類型に区分している。内容は①チョンセ(家を借りるときに、毎月の家賃を払う代わりに、まとまった大きな保証金を大家に預ける制度)詐欺、②電気通信金融詐欺、③保険詐欺、④サイバー詐欺、⑤投資・営業・取引など組織的詐欺、⑥高額被害詐欺、⑦仮想資産詐欺、⑧投資リーディングルーム詐欺、⑨恋愛を装った詐欺、⑩迷惑SMSなどスミッシングだ。

特にサイバー詐欺、投資リーディングルーム詐欺、恋愛詐欺などの新種詐欺が増加し、犯罪形態は組織化・非対面化・越境化が進んでいる。

新種詐欺の増加により、全犯罪の中で詐欺犯罪が占める割合も最も高かった。全犯罪件数に占める詐欺犯罪件数の比率は、2019年18.9%、2020年21.9%、2021年20.6%、2022年22%、2023年22.9%、2024年26.6%となっている。

警察庁はこれに対応するため、10大悪性詐欺に対する特別取り締まりを実施している。さらに詐欺容疑者の検挙活動や、詐欺犯罪の事前遮断など防止システムの高度化、被害者保護のための国民向け警報発令、国際共助の活性化など、多角的な戦略を進めている。

実際、2024年の詐欺犯罪検挙率が小幅ながら反騰したのは、これらの措置の効果によるものとみられる。

それでもなお、詐欺犯罪の検挙率は全般的に下落傾向にある。

検挙率は2019年の73.9%から2023年には57.0%まで低下。2024年には60.4%へと小幅に回復したが、それでも2019年比で13.5ポイント低い水準にとどまっている。

新種詐欺の増加により証拠確保が難しくなった点を考慮しても、警察庁の捜査人員不足や人員流出など構造的問題が続いているとの指摘が出ている。

また、地域間の捜査力格差も課題として挙げられる。2024年の地域別検挙率を見ると、蔚山(71.6%)、大邱(70.2%)、光州(67.1%)などは比較的高い成績を示した。

一方、全国で最も多い詐欺犯罪(8万3613件)が発生した京畿南部の検挙率は55.4%で、全国平均の60.4%に届かなかった。ソウルも全国詐欺犯罪件数の19.3%(8万1377件)を占めるが、検挙率は51.9%にとどまっている。

これに関連し、国会行政安全委員会は「地域別の検挙率の差は、詐欺犯罪発生件数や捜査人員の不均衡、捜査能力の差などが複合的に作用した結果だ」とし、「詐欺犯罪が集中した地域に対する効果的な人員配置と捜査能力の強化を通じたバランスの取れた対応が必要だ」と指摘した。

さらに警察庁に対して「短期的対応にとどまらず、捜査人員の安定化と専門性強化、業務過重の緩和に向けた体系的な人員運営方策など、詐欺犯罪検挙率向上のための総合的かつ実効性のある対策を講じること」を求めた。

(記事提供=時事ジャーナル)

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