韓国で非常戒厳事態の余波が広がるなか、野党は毎週臨時国会を開き、大統領弾劾が成立するまで弾劾訴追案の採決を続けると明言した。
次回の弾劾案採決(12月14日)まで5日しか残されていない状況で、与党「国民の力」は12月9日、ハン・ドンフン代表と幹部議員らが相次いで会合を開き、打開策を模索し始めた。
現在、ハン・ドンフン代表は四面楚歌の状況にある。
最初の弾劾案が否決された際の国民の反応は芳しくなく、野党からは全方位的な圧力が加えられている。一方、党内では派閥を問わず弾劾に反対する声が強い。支持者は極少数派にとどまるうえ、ハン代表が提案した大統領の早期退陣案をめぐり党内対立も深まっている。
残された時間は5日。ハン代表はどのような選択をするのだろうか。
最大野党「共に民主党」は、ハン・ドンフン代表による「大統領早期退陣」に反対し、「即時弾劾」の方針を固持している。
憲法に定められた唯一の手続きとして「大統領職務停止」を挙げ、12月11日に弾劾案を再提出し、14日に再採決を試みる方針を検討している。また、臨時国会の会期を1週間単位で区切りながら、弾劾案を毎週推進する構えだ。
さらに共に民主党は12月9日、「内乱特別検察法」を提出し、弾劾政局を盛り上げている。ユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領の司法的処理や非常戒厳令の違憲性・違法性の真相解明を目的に、利用可能なすべての手段を講じる構えだ。非常戒厳事態をめぐり常設特別検察の捜査要求案を提出したうえで、国政調査の実施も予告している。
こうした圧力の中、ハン・ドンフン代表と与党も危機から脱却すべく奮闘している。
国民の力は12月9日午前、非公開の最高委員会、非常議員総会、幹部会合を連続して開いたが、具体的な結論には至っていない。特に、大統領退陣の方法や弾劾案採決をめぐる派閥間の対立が激化している。
与党幹部らによれば、党内の中堅議員やユン派の主流勢力は「弾劾反対」の立場を維持している。この日の幹部会合では、一部の幹部議員が「私たちの間で早期退陣か弾劾かという構図が出ていること自体が問題だ」と主張し、ハン・ドンフン派に対して「弾劾の雰囲気を作り、世論を誘導している」という非難が出たという。
彼らは、大統領の任期短縮を伴う改憲を通じた「2026年地方選挙以降の退陣」が最善策と考えているようだ。
大統領の辞任後、60日以内に大統領選挙を実施する必要があるが、この案の場合は、弾劾審判が進行しても与党が態勢を立て直す時間を確保できるという論理だ。この間に、共に民主党イ・ジェミョン代表の“司法リスク”に関する判決結果次第で、与党が復活する可能性もあるという論理だ。
一方、ハン・ドンフン派は世論を考慮し、大統領の「迅速な辞任」に重点を置いている。退陣時期を6カ月から1年以上引き延ばすべきではないと主張している。
キム・ジョンヒョク最高委員は、MBCラジオ『キム・ジョンベの視線集中』に出演し、「ハン・ドンフン代表の立場は『(弾劾よりも)辞任が適切だ』というものであり、親ユン派の多くが早期退陣に反対し、一部議員は1~2年後の退陣を主張しているが、それは国民感情とまったく合わない」と指摘した。
ハン・ドンフン代表とハン派の人物たちは、国民が安心できる大統領退陣のロードマップを12月14日の採決前までに策定する必要があるとの立場を示している。
ハン・ドンフン派のある議員は『時事ジャーナル』との通話で、「親ユン派が意見の相違を続ければ、国民の心からさらに遠ざかる可能性がある」と述べ、「ハン代表を中心に団結すべきだ」と強調した。
また、別のハン派の核心関係者も通話で「ゴールデンタイムは(弾劾案採決まで)5日しか残っていない。それまでに国民を安心させる案を打ち出すべきだ」と指摘した。
もし12月14日の弾劾案採決までに、党内の意見対立によってロードマップが策定されなければ、採決結果がどうなるか予測がつかない状況だ。
現時点でハン・ドンフン派は、国民世論を考慮して採決自体を阻止してはならないという立場が優勢だ。この場合、「弾劾案否決」を党論として掲げたとしても、一部の議員が「賛成」に回る可能性がある。ハン・ドンフン派の核心関係者は、「様々な変数を考慮すれば、今回の弾劾案採決は前回よりもさらに危機的な状況だ」と表現した。
与党が危機の中で内紛を続ける一方で、党の支持率は底なしに下落している。
リアルメーターが12月5~6日に全国の有権者1012人を対象に実施した政党支持率調査(95%の信頼水準、標本誤差±3.1%p)によると、国民の力は26.2%を記録し、共に民主党(47.6%)に21.4ポイント差をつけられた。
これは現政権発足以降、両党の支持率の差が最大に広がった結果だ。
(記事提供=時事ジャーナル)
■圧倒的な支持率…韓国の次の大統領は誰か、“反日”ともされるイ・ジェミョン代表が1位
前へ
次へ