尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が対国民談話で、中央選挙管理委員会の脆弱なセキュリティシステムについて指摘したことを受け、同委員会は昨年メディアに配布したプレスリリースを再配布し、事実上の反論に乗り出した。
中央選挙管理委員会(選管委)は12月12日、尹大統領の談話終了直後に、2023年10月に配布した「選管委の情報セキュリティシステムコンサルティング結果に関する立場」をメディアに再配布した。
特別な説明を付け加えないまま再配布されたものの、「北朝鮮のハッキングによる選挙システム侵害の痕跡は発見されなかった」という昨年の立場を再確認することで、関連疑惑を否定する格好となった。
まず尹大統領は、同日の談話で「昨年下半期、選管委を含む憲法機関および政府機関に対し、北朝鮮のハッキング攻撃があった」とし、「国家情報院(国情院)がこれを発見し、情報流出とシステムの安全性を点検するため調査を進めた」と明らかにした。
続けて「他のすべての機関は、自らの立会いのもと国情院が点検を行うことに同意し、システム点検が進められたが、選管委は憲法機関であることを理由に強く拒否した」と述べ、「国情院が選管委のシステム装置の一部だけを点検したが、その結果は深刻だった。国情院の職員がハッカーとして侵入を試みたところ、データの改ざんがいくらでも可能であり、ファイアウォールも事実上存在しないような状態だった」と説明した。
加えて尹大統領は「選管委は憲法機関であり、司法関係者が委員であるため、令状による押収捜索や強制捜査が事実上不可能だ」と述べ、「今年4月の総選挙を前に問題点の改善を要求したが、しっかり改善されたかどうか不明だ。そのため、私は今回、国防長官に選管委のシステムを点検するよう指示した」と付け加えた。
これに対し、選管委は国情院や韓国インターネット振興院(KISA)と共に、2023年7月3日から9月22日までの計12週間にわたり、選管委の情報セキュリティシステムに対するセキュリティコンサルティングを実施したと反論した。
当時、選管委は「選挙システムに対するハッキングの可能性が、すぐに実際の不正選挙につながるわけではない」とし、「技術的な可能性が実際の不正選挙になるためには、多数の内部協力者が組織的に関与し、システムに関する情報をハッカーに提供する必要がある。さらに、選管委のセキュリティ監視システムを無力化し、多くの人々の目を逃れながら操作したデータと一致するよう投票用紙をすり替えなければならず、事実上不可能なシナリオだ」と述べた。
続けて「もし内部協力者の関与を前提とするのであれば、どんな優れたセキュリティシステムでも安全性を完全に保証するのは困難だ」とし、「したがって単に技術的なハッキング可能性を強調し、選挙結果の操作の可能性を語ることは、選挙への不服を煽り、社会統合を妨げ、選挙システムへの信頼を低下させ、国民の不安や社会的混乱を引き起こしかねない。さらには、選出された権力の民主的正当性を損なうリスクがある」と強調した。
そして「韓国の選挙管理過程には、安全性と検証可能性を確保するための様々な制度的装置が設けられており、選挙結果の操作は事実上不可能」とし、「今回のセキュリティコンサルティングでも北朝鮮のハッキングによる選挙システム侵害の痕跡は発見されなかった」と付け加えた。
(記事提供=時事ジャーナル)
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