日本と韓国政府は11月23日、「軍事情報包括保護協定(GSOMIA)」を締結、即日発効した。
北朝鮮の核やミサイル情報をはじめ2級以下の軍事機密を、米国を経由せずに共有するためのGSOMIAは、日韓両国にとって初の軍事協定となる。これまでは、2014年に締結した「日米韓軍事機密共有の了解覚書(MOU)」によって、必ず米国を経由しなければならなかったが、GSOMIAで迅速かつ優れた情報の共有が可能になったのだ。
韓国の国防部(日本でいう防衛省)の関係者によると、「米国からの情報と日本の情報が加わって、北朝鮮に対する情報の質が向上すると期待されている」という。日本が衛星で収集した北朝鮮の潜水艦や弾道ミサイルの基地、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)などの軍事情報が入手できるので、韓国にとっては有益な協定のはずだ。
しかし、韓国人の反応は冷ややかである。
韓国政府は、国民の関心が崔順実(チェ・スンシル)ゲートに集まっている隙を突いて、保留状態だったGSOMIAの交渉再開を発表。それからたった27日後、なぜか報道関係者も立ち入り禁止の“密室”で署名式が行われたのだ。
「日本側が署名式の公開を望まない」というのがその理由で、もともと国防部は、非公開の代わりに署名式の写真をマスコミに提供する予定だった。しかし、「部屋が狭いなら1人か2人だけでも、入れてくれ」という記者たちの要求に反発し、「写真提供も取りやめる」と宣言。現場にいた記者たちは抗議の意味でカメラを床に下ろし、腕を組んだまま駐韓特命全権大使の長嶺安政氏を迎えた。
韓国メディアの中では、「朴槿恵、とうとう韓国に日本の自衛隊を招き入れる」(プレシアン)、「日韓軍事情報包括保護協定、今回も“世論の反映”はなかった」(アジア経済)、「日本の顔色をうかがうために忙しかった国防部の“密室軍事協定”」(Mediaus)といった見出しをつけて報じたところも。
そしてネット民からも「韓国はまだ日本の植民地なのか? まったく理解不能だ」「慌ただしい政局を狙って締結するとは、卑怯だぞ」「どうこう言われても、政府が国を売ったのは事実」などいった、非難の声が相次いでいる。
野党も「国政運営の資格もない(朴槿恵)大統領による売国協定」と非難を浴びせている状況だ。
「朴槿恵退陣」に加え、「GSOMIA反対」のデモも行われている韓国。事態は収拾するどころか、ますます混沌としていくようだ。
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