ポッキーが先か「ペペロデー」が起源かを巡る、日韓の人気お菓子の物語

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本日11月11日は、韓国で「ペペロデー」と呼ばれている。友達や恋人、お世話になっている人にペペロを贈りあう日だ。

「ペペロ」とは、チョコのついた細長いスナック菓子のことで、日本の「ポッキー」にそっくり。韓国では日本のお菓子と似た商品が次々と登場しており、“模倣疑惑”もたびたび起こるが、ペペロもそのひとつに挙げられている。

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実際に過去には、ペペロの限定版「プレミア ペペロ」に対して、日本のグリコがデザイン権侵害禁止請求訴訟を行ない、原告勝訴の判決が下ったこともある。ペペロにとっては「黒歴史」(『聨合ニュース』)とされている。

女子プロゴルファーのファン・ユルリンもラウンド中にペペロを食べてプレーしたことも。

それでもペペロは韓国で根強い人気を誇っている。数字がそれを物語る。

ロッテ製菓によると、2017年のお菓子年間売り上げは950億ウォン(約95億円)。特に11月11日のペペロデー前後はペペロが飛ぶように売れ、『聨合ニュース』によれば11月11~13日の売上だけで、年間売上の27.1%に達したほどだったという。

韓国のお菓子ブームというと、数年前にはポテトチップスの「ハニーバターチップ」が大流行して売り切れ続出の社会的現象にまでなったが、盛り上がった期間はそれほど長くなかった。日本の商品が大人気となることも少なくないのだが、一過性のものが多く、すぐにゴタゴタが起きてブームが去ることも少なくない。

そんな韓国においてペペロの人気は根強く、何よりもペペロデーは韓国でバレンタインに匹敵するほどの記念日として定着した。

韓国の求人情報サイト『サラムIN』が2017年に成人男性1238人を対象に調査した結果によると、「大事にする記念日は?」という質問(複数回答可)に対して、「ペペロデー」と答えた人が77%、「バレンタインデー」が75.4%と、微差ながらペペロデーが上回っていた。
それだけにペペロデーに便乗する企業も少なくない。

韓国メディア『アジア経済』も、「毎年ペペロデーシーズンになると、製菓業界ではたった一日のためだけの製品を出してマーケティングを仕掛ける。コンビニエンスストアはもちろん、スーパーなども各種ペペロにきらびやかな改装をして、顧客の注目を集める」と紹介していた。

ペペロ自体を売るだけではなく、例えば韓国コンビニ大手のGS25は、ペペロデーを控えてジュエリーブランドと組んでペペロデー限定版のジュエリーを販売するという。また、KリーグのFCソウルは、ペペロデーに合わせて試合会場で「自分だけのペペロ作り」というイベントを開催したこともあった。楽しい記念日として、さまざまな盛り上がりを見せているということだろう。

興味深いのは日本でも11月11日は「ポッキーの日」とされていることだ。しかも、韓国ではこのポッキーの日が「韓国から輸出された」とされている。

『聨合ニュース』が以前に報じた「海外進出するペペロデー」という記事にも、こう書かれている。

「1993年、釜山・嶺南(ヨンナム)の女子学生がペペロのようにスリムになろうと、互いにペペロを分け合ったことから始まったペペロデー。お菓子をプレゼントして愛を伝える、この自生的な記念日は“ポッキーの日”という名で日本に“輸出”された」

日韓は何かと起源について論争を巻き起こすことも少なくない。毎年のように桜の季節には「ソメイヨシノ論争」が起こるし、韓国産イチゴの起源は日本にあったという“イチゴ戦争”が局所的な注目を集めていた。

(参考記事:「パクリだ!!」vs「解決済み」…日本と韓国の起源をめぐる“イチゴ戦争”が勃発してしまうのか)

日本の「ポッキーの日」(正確には「ポッキー&プリッツの日」)は平成11年(1999年)11月11日からスタートしたと言われている。そうなると、始まりが早いのはペペロデーということになるだけに、韓国が起源という主張にも一理はあるだろう。

複数の韓国メディアによると『ワシントンポスト』も、「ポッキーはペペロより17歳年上だが、11月11日を商業的な記念日にした時点については、論争の余地がある」と報じたそうだ。

いずれにしても、すっかり韓国で定着しているペペロデー。新型コロナも落ち着いてきたこともあり、今年はにぎやかな一日になりそうだ。

文=慎 武宏

*この原稿はヤフーニュース個人に掲載した記事を加筆・修正したものです。

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