民主化以降初めて非常戒厳令が宣言されたことで、韓国の外交的地位にも打撃が及んでいる。
アメリカは異例の形で同盟国の首脳の行動を「誤算」と公開批判した。わずか6時間で失敗に終わった戒厳令の影響で、ユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領が任期中一貫して強調してきた「韓米同盟」までもが根底から揺らいでいる。
アメリカだけではない。各国の首脳は訪韓の日程を延期・キャンセルし、外国人観光客も韓国への訪問を避けるようになっている。
アメリカはユン大統領の非常戒厳令の宣言とその後の「意思疎通の欠如」に対する批判を日増しに強めている。
ポール・キャンベル米国務副長官は12月4日(現地時間)、ワシントンで開かれたアスペン戦略フォーラムで韓国の状況について、「ユン大統領が深刻な誤算をしたと思う」と述べ、「非常に違法(illegitimate)なものだ」と表現した。
また「韓国では過去の戒厳令の経験に対する記憶が深く、(戒厳令は)否定的な反響をもたらす」とし、「今後数カ月間、韓国は困難な状況に直面するだろう」と語った。
アメリカの高官が同盟国の首脳を公然と直接批判するのは異例のことだ。
これに先立ち、ジェイク・サリバン国家安全保障問題担当補佐官も同日、戦略国際問題研究所(CSIS)で、ユン大統領の戒厳宣言について「我々に深い懸念をもたらした」とし、「韓国国会が憲法的手続きを通じて尹大統領が戒厳を解除した」と評価した。そのうえで「韓国の民主主義を強化するため、引き続き公然と声を上げていく」と強調した。
アメリカはまた、戒厳令が韓米同盟に及ぼす影響にも言及した。
『ニューヨーク・タイムズ(NYT)』は12月3日、「ユン大統領が“親北反国家勢力の一掃”を理由に戒厳令を宣言し、米韓同盟は数十年ぶりに最大の試練に直面している」と報じた。
また「韓国が過去数十年間、アジアでアメリカの最も重要な同盟国の一つであり続けた理由は、韓国が民主主義の灯台のような存在だったからだ」とし、「バイデン大統領が民主主義の促進を優先してきただけに、韓国の戒厳事態は特に痛手である」と指摘した。
特にアメリカは、ユン大統領が唯一の同盟国であるアメリカにも事前通報せずに戒厳を宣言したことに対し、不快感を隠さなかった。
戒厳令解除後、ホワイトハウスが最初に示した立場は「事前に通知を受けていなかった」という戸惑いの混じった反応だった。その直後、アメリカ国防総省は、4日から2日間、ワシントンで予定されていた第4回韓米核協議グループ(NCG)会議と第1回NCG図上演習(TTX)の延期を発表した。
ユン大統領の戒厳宣言は各国首脳の訪韓日程にも直接的な影響を及ぼした。
スウェーデンのウルフ・クリステルソン首相は12月5日から予定されていた訪韓日程を延期した。日本を訪問中だったクリステルソン首相は「現在の状況では訪韓は適切ではない」と述べた。
また、日本の菅義偉元首相も、翌年の日韓国交正常化60周年記念事業を協議するための訪韓日程をキャンセルした。
特に、ユン大統領が戒厳を宣言した際、キルギスの大統領が訪韓中だった。サディル・ジャパロフ大統領は12月2日から12月4日までの3日間の日程で訪韓し、ユン大統領と首脳会談を行い、両国関係を「包括的パートナーシップ」に格上げすることで合意した。
キルギス大統領の今回の訪韓は2013年以来11年ぶりだった。しかし訪韓中、まったく予定になかった戒厳令を目の当たりにする結果となった。
また、外国人観光客の韓国訪問も途絶えつつある。
戒厳令後、韓国は世界的に「安全な国家」から「旅行リスク国家」に転落した。その余波で旅行業や航空業の株価も下落している。
戒厳令は解除されたものの、一部の国では依然として再度の戒厳宣言の可能性を警戒し、自国民に韓国旅行の制限を勧告している。
(記事提供=時事ジャーナル)
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