「私たちの先祖の国籍は日本」の発言も…保守側の大統領候補で最も支持率の高いキム・ムンス長官、いつ動くのか

2025年02月08日 政治 #時事ジャーナル
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最大野党「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)代表に続く支持率を集めている“寡黙な大統領候補”、キム・ムンス雇用労働部長官が口を開いた。

【注目】「私たちの先祖の国籍は日本だった」キム長官が発言

言葉よりも「行動」、早期大統領選よりも「弾劾反対」の立場を強調し、強硬保守層の注目を集める「キム・ムンス大勢論」が続くのかに関心が集まっている。

早期大統領選の可能性を見据え、与野党の有力候補たちが次々と準備を進めているが、与党トップの支持率を集めているキム長官は、「閣僚序列16位」の立場にとどまり、その動向を明確にしていない。

最近の彼のメッセージもまた、非常戒厳を阻止できなかったことへの嘆きから始まり、弾劾棄却を求める言葉で締めくくられた。そうして大統領選出馬には距離を置き、「雇用労働部長官の職務に集中する」とするキム長官は、気象キャスター死亡事件などの時事問題へと関心を向けている。

出馬の意志を隠している彼がいつ大統領選に向けて動き出すのか、また与党内で「大統領候補の筆頭」としての地位をいつまで維持できるのか、注目が集まっている。

「野党議員の謝罪要求は人民裁判のようだった」

キム・ムンス長官
(写真=時事ジャーナル)キム・ムンス長官

『時事ジャーナルの取材』を総合すると、キム長官は最近、私的な席で「もし非常戒厳の国務会議に出席していたら、その場で横になってでも尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領に(非常戒厳は)ダメだと止めたはずだ」という趣旨の発言をしたことが確認された。

尹大統領の非常戒厳宣言に対し、国務委員が強く反対の意思を示したのは異例のことだ。

キム長官は昨年12月3日、尹大統領が戒厳を宣言した国務会議への連絡を受けず、出席できなかったという。その後、戒厳が発令されて約6時間後の12月4日午前4時30分頃、戒厳解除を審議する国務会議にのみ参加した。

戒厳に反対した理由は明確だった。キム長官は以前から、大統領が自身の権限で非常戒厳を宣言することは、いかなる手段でも適切ではないと強調していたという。

最近も国会で記者団に対し、「戒厳の正当性の有無を超えて、大統領は戒厳を宣言したことですべてを失い、刑務所にいる。はたして本当に(戒厳を宣言)すべきだったのか。もし私が国務会議に出席していたなら、強く反対していたはずだ」と改めて主張した。

ただし、非常戒厳の違憲・違法性については、司法および捜査機関が判断すべき領域だというのが彼の立場だ。

戒厳宣言後の彼の姿勢もまた確固たるものだった。

野党議員による「起立謝罪」要求を拒否したキム長官の態度は、弾劾政局においても野党に屈せず信念を貫くイメージを確立させた。最近、彼は私的な席で、当時の野党議員たちが国会で大声を上げながら国務委員らに謝罪を求めた様子について、「まるで人民裁判のようだった」と語ったという。

私的な場でキム長官は「強制された謝罪は謝罪ではないと考えている。当時、共に民主党議員らが結託し、国務委員らに行った行為は、人民裁判のような雰囲気だった。私はそうした状況を過去に何度も経験しているが、国務委員たちは立たざるを得ない圧力を感じていたはずだ」と述べたという。

これは、かつてキム長官が保守陣営に転向する前、労働運動などに身を投じ、投獄や激しい拷問を経験した過去を思い起こさせる発言だった。

昨年12月11日、戒厳事態に関する国会緊急質疑の場で、「戒厳を阻止できなかったことを反省し、国民の前で立ち上がって謝罪せよ」と繰り返し謝罪を要求した「共に民主党」のソ・ヨンギョ議員の言葉に、キム長官は応じなかった。

ハン・ドクス国務総理をはじめとする他の国務委員たちが席を立ち、頭を下げるなか、キム長官は「立ち上がってください!」と声を上げる野党議員たちの非難を浴びながらも、席を立たなかった。

これについて彼は国会で記者団に対し、「私も国会議員を3期務めた経験があり、(共に民主党のように)総理を演壇に呼び出して質疑するのは、国会議員の権利であることは認める。しかし、座っている国務委員全員を立たせて、無条件に謝罪しろ、頭を下げろと強要するのは、権限を逸脱した職権乱用だと考えている」と改めて強調した。

キム長官のこうした姿勢は、強硬保守層の関心を引きつけることにもつながった。その結果、各種世論調査で次期与党大統領候補の支持率「1位」に急浮上した。

最近、『時事ジャーナル』の依頼でJOWON C&Iが実施した「仮想大統領選一騎打ち」世論調査では、キム長官が46.4%の支持率を獲得し、李代表(41.8%)を誤差範囲内で上回る結果となった(詳細は中央選挙世論調査審議委員会のホームページ参照)。

キム・ムンス長官
(写真=キム・ムンス長官Facebook)

しかし、キム長官は「世論調査の結果には感謝しているが、それによって雇用労働部長官としての日常が変わる理由はない」と述べ、大統領選出馬には一線を引いた。

世論調査結果が報道された後、「国民の力」の議員をはじめ、多くの人々から激励や応援メッセージが寄せられたが、現時点では早期大統領選の可能性自体を封じる立場を取っている。

「気象キャスター死亡」職権調査を検討

では、「雇用労働部長官キム・ムンス」の関心はどこに向けられているのか。

『時事ジャーナル』の取材によると、キム長官は最近の幹部会議の場で、突然この世を去ったMBCの気象キャスター、オ・ヨアンナさんの事件に強い関心を示し、「彼女の悲惨な死に対して、我々が消極的・受け身の姿勢を取るのは適切ではない」という趣旨の発言をしたことがわかった。

そのためキム長官は、職権調査などを通じて事件を詳細に検討する必要があると強調したという。

オ・ヨアンナさんは昨年9月に亡くなった。彼女の死から約4カ月後の今年1月、彼女が書き残した文章の内容が報道され、彼女が生前、職場内でのパワハラに苦しんでいた疑惑が浮上した。

オ・ヨアンナさん
(写真=オ・ヨアンナさんInstagram)

これを受けて雇用労働部は2月4日、オ・ヨアンナさんに対する職場内パワハラ疑惑などについて、予備調査を進めていると発表した。これに先立ち、ソウル西部雇用労働支庁がMBCに対し、今回の事件について自主調査を行うよう行政指導を行うと、MBCは即座に外部委員を委員長とする「オ・ヨアンナ気象キャスター死亡真相調査委員会」を公式に発足させた。

このような雇用労働部の方針は、キム長官の強い主導によるものと解釈されている。

雇用労働部の主要関係者は『時事ジャーナル』に対し、「長官は基本的に青年問題に関して非常に確固たる原則を持っている」とし、「オ・ヨアンナキャスターの死亡事件についても非常に注意深く見ている」と語った。

キム長官が提案した職権調査の可能性については、「まだ検討段階だが、将来的に職権調査や特別労働監督を行うために必要な資料を事前に確保し、あらかじめ検討しておく必要がある」と説明した。

ただし、職場内のパワハラは労働基準法上の「労働者」に該当する場合にのみ適用される。そのため、気象キャスターがフリーランスであり、労働者として認められない場合、事件自体が成立しない可能性がある。

この点について、キム長官は「非正規職であっても、労使関係が正社員に近い性格を持っていたのか、具体的に精査する必要がある」と述べたという。雇用労働部は今回の予備調査で契約書などの資料を確保し、気象キャスターの具体的な業務提供の実態や人事・労務上の実質的な指揮命令があったかなど、様々な要素を確認する方針だ。

キム長官が注目するもう一つの重要案件は、「半導体特別法」だ。

政府と「国民の力」は2月4日、国会で半導体研究開発人材を対象に「週52時間労働制の例外適用」を含む、半導体特別法に関する与党・政府協議会を開き、2月中に法案を処理する必要があると強調した。

この法案は、「共に民主党」の李在明代表が従来の反対姿勢を撤回し、最近、「条件付きで受け入れる可能性」を示唆したことで、与野党と政府の交渉が急展開している案件だ。

これに関して、キム長官は「半導体産業の競争力強化が急務な状況で、労働基準法の改正を通じた特例導入は社会的な負担が大きく、時間もかかると予想される」と述べ、「週52時間労働制の特例は、半導体特別法に明記して処理するのが望ましい」と主張したという。

大統領選への動きはいつ頃に?

キム・ムンス長官は、政策課題に取り組みながらも、尹大統領への支持を明確に示している。そのため、政界ではキム長官が表向きは早期大統領選への準備を否定しているものの、強硬保守層を意識しているとの見方が出ている。

キム長官は国会で記者団と会った際にも、「大統領が早く釈放されることを願っている」「大統領が次々と弾劾され、不幸な歴史を繰り返すことを国民は誰も望んでいない」と述べ、尹大統領の復帰を支持した。与党内で尹大統領を擁護する発言が出ることはあったが、弾劾棄却を公に主張するのは珍しいケースだ。

キム・ムンス長官
(写真=キム・ムンス長官Facebook)

では、なぜキム長官は尹大統領を擁護するのか。「戒厳には反対だが、弾劾は認められない」という立場は、彼の信念なのか、あるいは政治的な計算なのか。

何よりも、現政権の閣僚が早期大統領選を前提に動くこと自体が難しい状況であるという見方もある。しかし、実際にキム長官は尹大統領から厚い信頼を受けているとされている。

取材によると、尹大統領は2022年に経済社会労働委員長の人選を検討していた際、自身のメンターの一人から「実務経験も現場経験も優れた人物」としてキム長官を推薦されたという。

当時、尹大統領は私的な席でキム長官と食事をし、彼の労働現場での経験談を黙々と聞き、食事の後にはエレベーター前まで見送って敬意を示したとされている。尹大統領はその後、キム長官を経済社会労働委員長に任命し、続いて雇用労働部長官にも指名した。

キム長官をよく知るある政界関係者は、『時事ジャーナル』の取材に対し、「尹大統領がキム長官の仕事ぶりを見ながら、側近に『この人が大統領をやるべきだった』と冗談交じりに言ったこともあると聞いている」と語った。

最近、キム長官の政治的影響力が急速に高まっているが、彼は記者からの「大統領選出馬を考えているか」という質問に対し、「まったく検討していない。弾劾審判が進行中であり、早期大統領選が確定しているわけでもない」と明確に否定した。

「もし弾劾が認められた場合、その時点で出馬を宣言するのか」という問いにも、「今そのような話をするのは、大統領と国民に対して礼を欠くことであり、自分自身の良心にも反する」と答えた。

また最近、与党議員らが尹大統領の面会に訪れたことに対する一部の批判について、「まだ1審判決すら出ていない。まるで有罪が確定したかのように扱い、面会すらしてはいけないというのは、あまりにも非人道的で厳しすぎる」と指摘した。

政界では、キム長官の大統領選出馬について様々な憶測が飛び交っている。

取材によると、「国民の力」の多くの議員が最近の世論調査の支持率を確認した後、キム長官に様々な方法で連絡を取り、「もし早期大統領選に出馬するなら支援する」との意向を伝えたという。

公には大統領選出馬の可能性を否定しているものの、実際にはキム長官自身も複数のシナリオを検討しているとの話もある。そのため、弾劾および早期大統領選の可能性がより明確になれば、キム長官が本格的に大統領選に向けた動きを見せるのではないかとの見方が広がっている。

(記事提供=時事ジャーナル)

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